「要介護5」の判定目安と利用可能な介護サービス

要介護5にあたる症状と状態


介護保険制度には要介護という要支援1~2および要介護1~5までの7段階に分けた介護状態の区分けがありますが、そのうち要介護5は次のような状態を指します。

最重度の介護を必要とする状態

要介護5は「前段階である要介護4と比べてさらに症状が進行して、身体能力はもとより意思の伝達も極めて困難となって、日常生活ほぼ全ての場面で介護なしでは成り立たない状態」とされています。厚生労働省が定めている「要介護認定の最上級」とあって、介護なしでは生活は成り立たない状態といえます。

寝たきりの状態

要介護者の身体能力が低下して、自分で立ち上がりや歩行は極めて困難となります。そのため、寝たきりの状態となりやすく更なる筋力低下などを招いてしまう負のスパイラルともいえる状況が起きやすい環境となります。

また、寝たきりになることで終日要介護者の家族による介護が発生します。その結果、家族の方が健康を害するほどの負担が発生する恐れがあります。よって、要介護5ともなると、要介護者だけでなくその家族も含めて今後の生活設計を考えなくてはならないリスクも考えなくてはなりません。

特に次の状況では介護で苦労するといわれています。

● ベッドおよびソファからの起き上がりや立ち上がり
● 階段の上り下り
● 食事や着替えやおむつの交換
● 排泄

意思の伝達がほとんどできない

身体能力の低下に加えて、要介護3あたりからでも確認できた意思の伝達もままならなくなります。それは、要介護者からの意思の伝達だけでなく家族や友人、介護事業者などから発せられた意思を理解することもできないということになります。

明確な意思の伝達が困難となり、要介護者が受けるストレスもまた大きいため、さらなる症状の悪化も懸念されるといえるでしょう。

公的介護保険給付額と利用できるサービス例


要介護5と認定された場合の介護保険制度の給付額と利用できるサービス例について紹介します。

支給限度額は360,650円/月

介護保険制度は、原則として要介護認定のレベルに応じた支給限度額が定められています。そのうちの要介護5は月額360,650円と定められています。また、要介護5以上の要介護認定のレベルは現時点では定められていないため、これが実質的に介護保険制度で支給される最高額となります。

この支給限度額は、介護保険制度が施行されて以降4回ほど改定が行われています。そのうち直近の4回目の改定は、2014年4月1日より消費税増税に伴うことを理由に行われています。

このため、今後も支払限度額が変動する可能性があるとみて、随時確認しておくことをおすすめします。

平日1日3回の訪問介護

訪問介護とは、ホームヘルパー2級や介護福祉士など介護関連資格を保有したスタッフが決まった日時に訪問して介護を行うサービスです。

主な特徴は次の通りです。

●平日1日3回とかなりの回数が利用できる
●食事、着替え、入浴、排泄、体位変換、通院、外出する際の同行など生活介護、掃除や洗濯、衣類の整理、買い物など生活援助などが受けられる
●医療行為は原則として行えないが、次の行為は介護保険法改正の影響もあって医療行為ではないと判断されている
●爪切り
●体温調整
●血圧測定
●耳垢の除去
●ストーマ装着のパウチに蓄積された老廃物の廃棄
●医薬品使用をする際の介助
●家族の食事の用意や掃除、庭の草むしりやペットの散歩など介護の範囲を超えた行為は行えない

週1回の訪問看護

訪問看護とは、看護師、保健師、医師、理学療法士、作業療法士など看護関連資格を保有したスタッフが決まった日時に訪問して看護を行うサービスです。

主な特徴は次の通りです。

●週1回利用できる
●訪問看護を行うスタッフは訪問看護ステーションや病院などに所属している
●看護内容としては、血圧、体温、呼吸、脈拍のチェック、利用者の観察、ガーゼやオムツの交換、薬の服用指導やその確認、たんの吸引、人工肛門やパウチの交換など介護スタッフでは行えない行為などが挙げられるが、食事、入浴、排泄など介護関連のことも行うことはできる
●介護保険制度の利用以外にも、民間の医療保険や自費での利用も可能である
●利用をする際は、事前に要介護認定をもらった後にケアマネジャーなどに相談をして、主治医から訪問看護に必要な書類に基づいた指示を受けて訪問看護ステーションと契約する形となる

週1回の訪問入浴

訪問入浴とは、看護関連資格および介護関連資格を保有したスタッフが決まった日時に訪問して入浴を行うサービスです。

主な特徴は次の通りです。

●週1回利用できる
●利用する際は「入浴可否意見書」を主治医から事前に入手しておくことが望ましい
●原則としてスタッフは3人で1チームとして動く
●移動式入浴車で訪問する
●利用時間は業者によって異なるが浴槽の準備、要介護者の体調チェック、入浴、片付けなどがおおむね1時間程度で行われる
●バスタオルや着替えなどは要介護者側で用意してもらう
●業者によっては、シーツ交換、保湿クリームを塗る作業などを受け付けている場合があるので、事前に相談することが望ましい
●要介護者の体調が悪化しているなど、何らかの事情で入浴が行えないと判断されたら中止する場合もある
●要介護認定によって同じサービスでも料金が異なる
●使用する水は、訪問先のものを利用するが湯沸かしは入浴車で行うことが多い
●使用済のお湯は訪問先の浴室またはトイレで排水する

福祉用具のレンタル


介護に必要となってくる次の福祉用具のレンタルが、介護保険制度を利用することでかかった費用の1割を自己負担することで可能となります。そして、要介護5の場合はこれらを全て利用することができます。

●移動用リフト
●認知症老人徘徊感知機器
●車いすおよび付属品
●床ずれ予防用具
●特殊寝台および付属品
●体位交換器
●手すり
●スロープ
●歩行補助杖
●歩行器
●自動排泄処理装置

ただし、福祉用具をレンタルする際はケアマネジャーを通じてレンタルの有無や発生する費用などを確認することをおすすめします。

施設へ入所の検討も


要介護5ともなれば、在宅での介護よりも施設へ入所させることを検討することが必要不可欠となりますが、要介護者を受け入れる施設には多数の種類があるため要介護度と現状を考慮して決める必要が出てきます。

ただ、もっとも勧められるのが特別養護老人ホームとなります。

ここは、待機者が多いこともあって入所自体が困難なイメージがありますが、後述の説明でも記載してある通り、要介護5であれば比較的早めに入所することも可能です。そのため、まずは空いている施設の検索、施設の見学、ケアマネジャーとの相談などを行いながら申込に向けた準備を進行させることをおすすめします。

在宅介護は難しくなる

要介護5となった要介護者は終日介護が必要な状態になりますが、要介護者の家族が日々の仕事や旅行などで外出することは考慮すると、家族による在宅での介護は極めて難しくなります。また、前述の通り、家族の健康面の悪化も懸念されます。中には「介護疲れ」で刑事事件に発展して、ニュースや新聞を賑わす事例や、高齢者が高齢者の介護をする「老老介護」と呼ばれる状況になることも珍しくないため慎重にならなくてはなりません。

よって、やはり施設へ入所させて介護および看護などを一任する選択が最良であるといえます。

特別養護老人ホームへ申し込む

要介護認定の最上級である要介護5は、要介護3以上の認定を受けた高齢者だけが入所できる特別養護老人ホームへ申し込むこむことをおすすめします。

主な特徴は次の通りです。

● 「特養」とも呼ばれる病気や障害などで在宅生活が困難な高齢者向けの施設である
● 原則として入所期間に制限はない
● 介護保険制度が適用されるため比較的安価である
● 月額費用のうちの半分が医療費控除となる
● 安価だが医療体制が不安定な場合があり、医療への依存が高い高齢者は入所を断られる場合がある
● 施設内には、居室、医務室、食堂、トイレなど一通りの環境が整っている
● 居室は、通常の個室を意味する従来型個室、複数のベッドがある多床室、設備が一通りそろったユニット型個室、ユニット型と同類ながらも多床室を改装などしたユニット型準個室の4種類ある
● 介護関連または医療関連の資格を保有しているスタッフが常時対応している
● 待機者は多いといわれているが、申し込みは先着順ではなく要介護の高い人を優先しているため、要介護5であれば数か月以内で入所できる可能性がある

民間の有料老人ホーム

有料老人ホームとは、民間事業者や社会福祉法人が運営している高齢者向けの施設です。

主に次の特徴があります。

● 「特養」と比べたら高いが、特養への入所待ちが多い現状もあって その受け皿として期待されている
● 介護付、在宅型、健康型の3種類の施設の種類がある
● 介護サービスは充実している
● 入所費用は、家賃、食費や光熱費、生活費などが必要である
● 介護保険制度を利用する際は1割の自己負担額(一定以上の所得であれば2割)がかかってくる
● 月額利用料としては10~30万程度の範囲が多い
● 原則65歳以上が入所要件だがそれよりも低い年齢で入所可能な施設もある
● 夫婦で入所することも可能な施設もある
● 部屋は個室が多いためプライバシーの保護の観点では良い
● 要件が揃えばデイサービスとの併用も可能である
● 利用権、賃貸借、終身建物賃貸借の3種類の入所形式がある

まとめ

要介護5までとなると、在宅での介護は困難となり施設での入所で対応してもらうことが不可欠となります。しかし、最高の支給限度額にはなるものの費用はそれ以上かかることも考慮しなければなりません。よって、要介護5になるまでに施設の入所および発生する費用などの準備が求められます。ただし、どんなに症状が進行したとしても要介護者に対しては一人の人間として変わらず接していくことも忘れないようにしましょう。

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