介護保険制度改正の経緯と2018年の見直し内容

これまでの介護保険制度の改正


介護保険制度とは国が行なっている公的制度で、高齢者対する治療や介護にかかる費用負担の軽減などを目的とし、社会全体で支援するために設けられた保険制度です。日本でこの制度が設けられたのは17年程前で、1997年(平成9年)の12月に介護保険法が制定され、2000年(平成12年)4月に施行されています。その後、幾度かの見直しや法律改正が進められ、現在のような制度となっています。

介護保険制度改正の経緯

高齢化が叫ばれ始めてから長い年月が立ち、介護保険制度も何回かの改正を重ねています。その経緯を見てみますと、2005年(平成17年)の改正では、予防重視型システムへの転換や施設給付の見直しなどを行ない、地域支援事業を実施するようになったり低所得者に対しては補足給付を設けています。

2011年(平成23年)の改正では、医療と介護の連携の強化、介護人材の確保とサービスの質の向上に加えて、高齢者の住まいの整備、認知症対策の推進、市町村による主体的な取り組の推進などが見直され、サービスのクオリティーの向上や人材確保、認知症対策や地域との連携を強化するなど主に地域包括ケアシステムの実現を図っています。このような経緯を踏まえて、平成27年度の介護保険法改正に伴い改革をすすめ現在に至っています。

2015年の介護保険法改正について

介護保険制度は、スタートから幾つかの大きな変更が見られます。介護サービスの内容や利用者に対する負担など様々な点が大きく変わりましたので、現場でも対応に苦慮する場面見られます。2015年(平成27年)の介護保険法の改正について詳しく視ていきますと、改革のポイントは以下のようになっています。

1.要支援1、2は給付の一部を市町村の事業へ移行
2.認知症対応の支援事業もすべて市町村で行う
3.特養ホームの入所者を原則的に要介護3以上とする
4.一定以上の所得者の負担を増やす
5.介護従事者への処遇改善

具体的にはこのような改正が行われたことになり、低所得者の施設負担軽減なども行われましたが、全体的に見て利用者の負担や自宅介護者の負担が増えたようにも見受けられます。

介護保険法等の一部を改正する理由

介護保険法が制定されてから、これまで5年に1回制度の見直しが行われていることに加えて、3年に1回介護報酬と診療報酬の改定も行われており、体制を一体化する狙いがあったとされています。将来的に、高齢化に伴い介護に携わる人材確保も急務となりますので、介護を総合事業として市町村で柔軟に取り組んでいく必要があり、保険料の増加や財政の悪化なども心配されますので、介護保険制度の維持を図るために改正を行う必要があったことが理由に挙げられます。

地域包括ケアシステムの強化

介護保険制度が施工されて以来、高齢者の医療費が財源を圧迫しており、介護を必要とする前に予防しようという予防重視型へのシフトの重要性が指摘されていたことから、介護区分をより細かく分けたり、新たに介護予防給付が新設されたことに加え、各市町村での福祉の拠点となる地域包括センターの設置が義務付け、総合事業として介護を行っていこうというのが一つの理由とされています。そのためには、地域事業所との連携を通して地域包括ケアシステムを強化していくことで介護サービスも多機能型とすることが必要で、在宅介護の推進や訪問看護などを組み合わせた複合型サービスの提供が導入されています。

介護保険制度を持続させるため


超高齢化に伴い制定された介護保険制度ですが、高齢者に対する医療費は年々増加傾向となっています。そのため、介護保険制度の維持も危ぶまれていたことも改正の理由の一つと考えられます。今後、ますます少子高齢化が進み総人口も減少することが予想されており、介護保険制度の財源の確保を中心に、継続的な運用に重点を置くことが必要となります。

また、働き盛りの人口が減少することに伴い、介護サービスを支える職員や専門知識を持った人材の確保も急務となることから、制度の改正が必要であったと言えます。

2018年の介護保険見直し内容

高齢化の一途をたどっている日本に於いては、介護保険の見直しが定期的に行われています。2018年度に再度改正を行う法案が審議されており、介護保険制度が更に変わって行くことになっており、地域ケアシステムの強化を柱に大きな変革があることが予想されます。では、どんな点が変わるのでしょうか?具体的にポイントをまとめてみます。

保険者機能の強化

現在、介護に関する事業は各市町村による保険者によって完全実施されています。そのため、活動実績に応じた交付金や助成金などを出すことで、各市町村の保険者に対して機能的な強化を図るとしています。このことにより、居住する地域によって福祉サービスの内容に格差が生じることが懸念されており、更なる審議が必要とされています。

新しい介護保険施設の創立

治療を目的としていない長期入院の状態である社会的入院が、医療費を圧迫している原因であるとして、介護療養病床の廃止が決定されてから時間が経っていますが、転換がスムーズに運ばないことが問題となっています。そのため、6年間の移行期間が設けられ、今までの介護療養病床を治療が必要な高齢者を介護する目的である「介護医療院」として創設することになります。

地域共生社会への取り組み

地域共生社会への取り組みの強化もポイントで、共生型サービスと銘打ちホームヘルプサービスやデイサービスに加え、ショートステイなどに力を入れ、障害福祉と介護保険事業の一元化を図っています。また、障害福地事業所や介護保険事業所の指定を受けやすくする見直しも行われ、人材不足を補い最大限に活用できるようになります。

所得による利用者負担割合の見直し

現在の介護保険利用者の自己負担割合は、原則として1割負担となっており、一定の所得のある方は2割負担に引き上げられています。しかし、65歳以上でも現役並みに所得のある高齢者も少なくありませんので、所得による利用者負担割合の見直しも行われることになっており、一定以上の所得のある高齢者が介護保険を利用する場合の自己負担割合は、3割負担が導入されることにもなりそうです。

保険料計算に総報酬割導入

40歳以上64歳までの介護保険第2号被保険者の場合は、毎月の給与から介護保険料が加入する医療保険に応じて徴収されています。サラリーマンやOLなどが加入する医療保険は、一般的に協会けんぽ又は健康保険組合の2種類となっており、保険料は同じではあるもののその負担割合は実質的に不公平感が否めない状態です。そのため、今回の改正では介護保険の保険料計算に報酬額に「総報酬割」を導入され、これによって大企業や公務員などの高所得者の負担割合が増えることになります。このシステムは、数年間かけて段階的に全面導入される予定となっており、保険料の支払い年齢の引き下げや介護保険料の引き下げなども検討されています。

福祉用具貸与価格の見直し


要介護者にとって日常生活を送るために必要なものに、車椅子・介護用ベッド・歩行補助杖などの福祉用具があります。現在の介護保険では福祉用具は実質貸与となっていますが、今回の改正では要支援1及び2までの軽症者を対象に、福祉用具について価格の見直しを行い原則自己負担に切り替える方針とされています。

まとめ

介護保険制度は、介護が必要な人のための制度として制定されましたが、幾度かの改正によって介護予防に重点が置かれるようになり、地域全体で見守るシステムに移行してきています。予防のためには、食事や運動などに気を配ることが大切ですので、できるだけ長く健康寿命を維持できるように社会性を持ち楽しく過ごしましょう。

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