介護保険制度とは?受けられるサービスや仕組みを理解しよう

介護保険制度とは?

介護保険制度とは、2000年4月より施行された国の制度の一つです。制度開始から2017年4月をもって丸17年目となり、後述に記載されている制度の成り立ちと現状、そして利用者数の増加もあり、今後も日本の介護の根幹を成す制度となっていくことでしょう。

介護保険制度で受けることのできるサービス


現時点の介護保険制度で利用できるサービスを紹介します。

居宅サービス

介護保険制度において利用者が自宅で受けられる介護サービスです。

主に次のようなサービスを受けることができます。

● 訪問介護:ホームヘルパーによるサービス
1. 身体介護:食事、排せつの介助、おむつや着衣、寝具の交換などの介助などがある
2. 生活援助:洗濯、掃除、調理、買い出しなどがある
● 訪問入浴:通常は1チーム3人となって入浴時の介護を行う
● 訪問看護:利用者の心身の観察、ホームヘルパー同様に排せつの介助やおむつ交換
※痰の吸引、胃瘻からの水分、人工栄養剤、医薬品の投与といった行為は、本来なら医師と看護師だけが認められているが、在宅療養者に対する介護においては、要介護者と同居している家族のみ例外的に認められている。
● 訪問リハビリテーション:理学療法士や作業療法士などによるリハビリテーション

その他、施設への通所(主にデイサービス)、ショートステイ、福祉用具のレンタルまたは購入なども居住サービスとして認められています。なお、それらの詳細は後述に記載しています。

日帰りで施設、事業所に通って受けるサービス


日帰りによる施設への通所を「デイサービス」といいます。

主に次のようなサービスを受けることができます。

● 食事
● 入浴
● 機能訓練:運動のことで、筋力やバランスといった身体機能の向上を図る)
● レクリエーション(楽しみや気晴らし、娯楽などの意味を持つ)

本サービスの主な狙いは次の通りです。

● 被保険者の生活機能の維持と向上
● レクリエーションによる被保険者同士のコミュニケーションの促進
● 被保険者の家族の負担軽減
● 生活リズムの形成

例えば、家族が買い物や仕事で外出しているとき、入浴での付き添いのときなど被保険者とその家族の心身の負担が大きい家族のために、専門の施設スタッフが代わりに食事、入浴、機能訓練、そしてレクリエーションなどを提供します。

ショートステイを利用

ショートステイは、介護福祉の分野では「短期入所生活介護」と称されています。具体的には、短期間、施設に入所してデイサービス同様の介護や機能訓練などを受けながら生活を送るサービスです。

主な利用目的は次の通りです。

● 家族で旅行や仕事で出かける
● 家族が体調を崩した

このように、被保険者の介護が困難になった場合に利用することがほとんどです。

ただし、次の点に注意しましょう。

● 利用期間は、要介護認定期間の半数までが可能(180日なら90日まで)だが、最大連続利用可能日は30日までとなる
● 利用者は、要介護1~5までの被保険者のみである
※40~64歳までの被保険者は16種類の特定疾病の場合のみとなる
● 利用期間についてはやむを得ない事情があれば延長が認められる場合がある
予約が取りづらいことが多いため利用日の1~2か月前まで予約することをおすすめする
● 最大連続利用可能日を超えた場合は全額自己負担となる(31日からの利用)
● 被保険者にとっては精神的な負担が大きいことがある

また、ショートステイは特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどが主に受け入れてくれますが、そのタイプも次の通り2種類に分けられます。

● 単独型:ショートステイが専門のタイプ
● 併設型:特別養護老人ホーム、有料老人ホームに併設されているタイプ

予約の取りづらさや被保険者の負担などは考慮しなければならない点はあるものの、他の介護サービスと同様に、家族の介護負担の軽減にも繋がるため積極的な利用をおすすめします。

施設の利用ができるサービス

施設に通所して次のサービスを受けることができます。

● 介護老人福祉施設:自力での生活が困難な高齢者向けの施設
1. 通常は「特別養護老人ホーム」と呼ばれている
2. 入所費用が安いこともありもっとも定着して人気も高いタイプの施設である
3. 食事、排泄・入浴・就寝・健康管理に加え、付き添い、介護保険が適用されるサービスに関する相談など多岐に渡る範囲を網羅している
4. デイサービスやショートステイはこの施設でも対応できる

● 介護療育型医療施設:症状を安定させて自力での家庭復帰を目的とした施設
1. 通常は「老健」「老人保健施設」と呼ばれている
2. 目的の性質上、リハビリスタッフや看護師、医師等の配置基準が介護老人福祉施設よりも多いため、介護報酬は高めで
3. 入所期間は3か月ごとの判定があるなど有期である
4. デイサービスやデイケアはこの施設でも対応できる

● 介護療養型医療施設:治療後も長期間の療養が必要な高齢者向けの施設
1. 介護保険が適用される
2. 病院内に併設されている施設である
3. 国の方針で今後施設数を減らすまたは他のタイプの施設(介護老人福祉施設や介護老人保健施設など)の転換などが行われていく見込である

福祉用具のレンタルや購入について

介護保険制度では、要介護・要支援のレベルに応じた支給限度額の範囲内で福祉用具のレンタルや購入が可能です。特にレンタル時は次の流れで行うことになります。

① ケアマネジャーに相談する
② ケアマネジャーから事業者へのレンタル申込をする
③ 後日商品が届いてレンタル契約を行う

なお、購入時およびレンタル時は次の点に注意して下さい。

● 市区町村の基準に該当している販売店や業者でレンタルまたは購入できる
● 購入またはレンタル時に介護保険の対象となるものとならないものがある
● 購入時の介護保険の対象限度額は1年間で10万円となるが、年度は4月から翌年3月までとなる
● 自己負担額は1割である
● 購入は一旦全額支払、後日費用の9割を払い戻しする償還払いを採用している

必要な福祉用具を事前に購入の方がいいのか、レンタルの方がいいのかを把握しておくことが重要です。

介護サービスを利用するには


介護サービスを利用するための主な流れや介護保険料の支払いなどを紹介します。

まず要介護認定を受けること

要介護認定を受ける主な流れは次の通りです。

① 電話または市区町村の役所の窓口に相談する
② 本人(被保険者)または家族が市区町村に申請する
③ 市区町村役所が被保険者宅に調査員を訪問させて認定調査を行うが、同時期に主治医へ「主治医意見書」の作成を依頼する
④ 介護認定審査会による所定の審査(一次および二次)を通じて要介護レベルを決定する
⑤ 介護認定審査会の決定に基づいて、市町村から要介護認定の結果を被保険者に通知される

なお次の点に注意しましょう。

● 申請するためには、要介護・要支援認定申請書、介護保険被保険者証などが必要になる
※第2号被保険者の場合は健康保険被保険者証も必要
● 審査の結果、非該当と認定される場合もある
● 要介護認定期間は、介護保険法に基づいて介護認定審査会が定めているが、その期間は、いずれの申請内容に関わらず1カ月かかる
● 原則30日以内に結果通知はしなければならないが、申請処理に時間、主治医意見書の入手が遅れた、認定調査票の作成が遅れたといった事態によって実際は30日以上要する場合が多い

なお、申請後30日以内に結果および延期に関する通知がないまたは延期通知の処理見込期間が経過しても結果通知がされない場合は、被保険者は申請が却下されたとみなすことができます。

なお、申請をする際は、本人及び家族だけでなく介護施設の職員、ソーシャルワーカーによる申請代行も可能です。むしろ、一般的に申請時点で医療や福祉関係のサービスを受けている場合はその事業所が申請をすることが多いです。

以上のようなことを踏まえて、申請から認定までの流れを作っていきましょう。

介護保険料の支払い開始時期

介護保険料は「満40歳(40歳の誕生日の前日であり、その日が属する月)」となった時点で徴収が開始されます。

主な事例は次の通りです。

● 11月2日生まれの方が40歳となった場合
誕生日の前日が11月1日のため、誕生日の前日が属する月である11月分より健康保険料とともに介護保険料が徴収される(11月3日から11月30日生まれの方も同様)
● 11月1日生まれの方が40歳となった場合
誕生日の前日が10月31日のため、誕生日の前日が属する月である10月分より健康保険料とともに介護保険料が徴収される

月の最初の日に生まれた方は前月から徴収されることに注意しましょう。

16の特定疾病の種類

特定疾病とは「加齢による心身の変化によって、要介護状態の原因となる心身の障害を生じさせると認められる疾病」と定義されており、現在、次の16種類が厚生労働省より認定されています。

① がん(医師の診断によって回復が見込めないなど一定の要件を満たしたものに限る)
② 関節リウマチ
③ 筋萎縮性側索硬化症
④ 後縦靱帯骨化症
⑤ 骨折を伴う骨粗鬆症
⑥ 初老期における認知症
⑦ 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
⑧ 脊髄小脳変性症
⑨ 脊柱管狭窄症
⑩ 早老症
⑪ 多系統萎縮症
⑫ 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
⑬ 脳血管疾患
⑭ 閉塞性動脈硬化症
⑮ 慢性閉塞性肺疾患
⑯ 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

ちなみにこのうち、①、②、⑪に関しては、2006年4月に追加と見直しが行われているなど、年度ごとの定期的な見直しが行われています。そして、ポイントは「加齢によるものかどうか」であるということです。

ただし、特定疾病と認められるには加齢に加えて次の項目を満たすことも要件となります。

① 65歳以上の高齢者のみならず40歳以上65歳未満においても発生が認められる
② その医学的概念を明確に定義できる
③ 3~6ヶ月以上継続して要介護状態または要支援状態となる割合が高い

以上のことから、今後も特定疾病の認定に関する変動が行われることが想定できるため、随時チェックをしていき動向を見守ることが重要です。

介護保険で受けることのできるサービス

介護保険で実際に受けられるサービスについて紹介します。

介護保険法の成り立ちと仕組み

本制度の第一の条文には、制定された目的が次の通り明記されています。

「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」

要約すると「加齢によって、トイレの利用、入浴、食事、その他の行為など、生活を送るうえで欠かせない行動が自身で行えず介護サービスが必要となった時に、所定の要件と手続きによって給付を受けることができるようになることを通じて、福祉と医療の環境の良い発展を実現させる」というものです。かつて、介護と言えば高齢者向けのものとして老人福祉法がありましたが、介護保険制度ではドイツの介護保険制度をモデルにそれまでの体制では対応できない範疇も網羅したものとなっています。

すでに2017年4月時点で制度開始から丸17年を迎えて、利用者は、開始時は149万人だったのが2015年ごろには400万人以上と激増しています。

介護保険の施設の数

厚生労働省のまとめた「平成28年介護サービス施設・事業所調査の概況」によれば、主な介護保険の施設の数は2016年10月1日時点では次の通りです。

● 介護予防訪サービス事業所
訪問介護:34,113(前年度は33,977)
通所介護:41,448(前年度は41,181)
● 介護サービス事業者数
訪問介護35,013(前年度は34,823)
通所介護23,038(前年度は43,406)
● 介護保険施設
介護老人福祉施設7,705(前年度は7,551)
介護老人保健施設4,241(前年度は4,189)
介護療養型医療施設1,324(前年度は1,423)

これは、前年と比べても介護療養型医療施設など一部を除いて増加しています。少子高齢化の影響もあって今後も施設を増強させて、施設関係者の雇用を促進させていき介護を要する方々の受け入れ体制を万全とすることが急務であることが伺えられます。

まとめ

介護保険制度の基本、受けられるサービス、そして介護施設に関するビックデータを紹介しました。介護は長期化する傾向もあり、被保険者と家族それぞれに大きな負担がかかります。そのため、国が介護保険制度を実施して現在も進行している超高齢社会に向けた対策が進んでいることを良く理解しながら、今後の介護の在り方を考えていくことが重要です。

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