遺言状の種類と注意点!間違えると無効になる!?

遺産相続の際の相続人同士の争いが起きないようにすることや、相続をスムーズに進めるために欠かせないのが遺言状です。遺言状は法律に基づいて作成されるものですが、相続を行う際に定められている相続人や分割割合よりも優先されます。作成方法を間違えると無効になる場合がありますので、今回は遺言状の種類や注意点、無効になってしまうケースなどを詳細に説明していきます。

遺言状はどのような効力がある?


遺言状という言葉は、殆どの方が一度は耳にしたことがあると思いますが、そもそも遺言状とはどんなのものなのか、どんな効力があるのかはっきりと内容を認識している方は少ないかもしれません。遺言状は、被相続人において自分が死んだ後に自分の財産を誰にどのように分配するのかを記載し明確にしておくもので、その効力は強力なものです。しかし、効力を発揮させるためには法律の定めに従って作成されたものでなければならず、どのように記載しても効力があるわけではありません。遺言状を作成する場合の内容は、下記のようになっています。

相続分の指定

被相続人に対して相続人となっている一人一人の相続分は、法定相続分と言い一定の割合が法律で定められています。しかし、遺言者である被相続人が遺言状で自由にその配分を指定することか可能となります。また、法定相続分の指定ばかりでなく、相続人以外の者に財産を取得させることも可能となり、第三者を始め公的機関や団体に対しての寄付もその一つです。

相続人の廃除

法定相続人とされる人は複数いる場合が一般的ですが、被相続人に対する虐待や重大な侮辱、その他の著しい非行などがありその相続人に財産を渡したくないという時は、該当する相続人の相続権を消失させ相続人から廃除することが可能です。

廃除する場合は、遺言執行者が遅延なく家庭裁判所に請求しなければならず、その効力は被相続人の死亡の時に遡って生じるとされています。

遺産分割方法の指定や分割の禁止

遺言者は、遺産の分割方法を自分の意思で決めることや第三者を指定し委託することも可能となっています。また、相続開始後5年を超えない期間において遺産の分割を禁止することもできます。遺産相続には複雑且つ専門的な事務手続きが必要となる場合も少なくありませんので、遺言者は、遺言執行者を指定し委託することが可能と定められていることに加えて、相続人には遺言状があった場合でも、最低限の相続分いわゆる遺留分が決められていますので、遺言状の内容が遺留分を侵害する内容であった場合には、遺言状により遺産を受け取った者に対して遺留分減殺請求ができるようになっています。更にこの場合は、遺言状によって遺留分減殺方法の指定をすることも可能です。

遺言状の種類


遺産相続をスムーズにするメリットがある遺言状で、被相続人が遺産に対する明確な意思表示という大きな意味合いがあり、生前に自分の財産の配分を自由に扱える文書です。これがある時と無い時では遺産分割のスピードに大きな差が出てくる場合が少なくありません。遺言状は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、遺言者はこの中のいずれかの方法を選んで遺言を残すことになります。それぞれの特徴は以下のようになっています。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、その名の通り自分で遺言状を作成することです。この遺言状の特徴は、自筆によるものでなければ効力が発揮されない点です。従って、パソコンやワープロを利用して作成したものは無効となりますので注意が必要です。また、遺言者が全文及び日付、指名を自筆で署名することに加えて、押印をすることも重要なポイントです。いつでも作成でき費用が掛からないのがメリットですが、様式不備で無効とされたり遺言状が発見されない、自筆かどうかの争いなどが生じる事例が少なくなく、遺言保管者又は発見者は家庭裁判所に検認手続き請求をしなければならないなどの定めがあります。

公正証書遺言

遺言状の中でも、自筆証書遺言と共に一般的に行われているのが公正証書遺言です。公正証書遺言とは、文字通り遺言状を公正証書として公証人役場に保管してもらうという方法です。特徴は遺言者と公証人双方の記名と押印が必要であることで、2人以上の証人の立ち合いがあること、遺言者が遺言の趣旨を説明し公証人が書面化した後遺言者に読み聞かせ又は閲覧させること、双方が内容を承認後に署名及び押印しなければならないと民法にも定められています。遺言者が記名・押印できない場合はその旨を付記して代わりに公証人が署名することが可能となっています。この遺言方法は保管が確実で、家庭裁判所においての検認が不要で自書である必はがありませんが、証人要件を満たした2人の証人が必要ですし財産の価格に応じて費用が掛かかります。

秘密証書遺言

遺言状を誰にも見せたくないという場合は、秘密証書遺言という方法もあります。この方法は、遺言者が自筆又は第三者が書いた遺言状を公証役場に提出すれば本人のものであることを証明できるのが特徴です。遺言状を封印し遺言状に押印したものと同一の印鑑で封印して、証人2人が立会いのもと公証人役場に提出します。この時には、公証人が決められている事項を封筒に記載し、公証人を始め遺言者及び証人2人が署名・押印しなければならないとされています。この方法は、遺言は秘密にできるものの、保管は自分でしなければなりません。また、公正証書遺言と同様に証人2人が必要で費用も掛かり、家庭裁判所への検認手続きが必要となります。

遺言状は民法の定めた方式に従わないと無効になる

強力な効力があり残しておくと様々なメリットがある遺言状ですが、その作成方法や効力は民法に定められた方式に従って作成されたものでなければ、効力が発揮されないばかりか無効となってしまいます。いざという時にそんな状況に陥らないためにも、どのような遺言状が無効になるのか視ていきます。

パソコンで作成された遺言状


自筆証書遺言の遺言状は、自筆であることが必要です。従って、パソコンで作成されたものは無効となります。また、ワープロやタイプライターなどでの作成も同様で、テープレコーダーに録音した遺言書も無効です。しかし、カーボン紙などを用いて複写によって作成されている場合は有効となります。

他人に書かせた遺言状

被相続人本人ではなく他人に書かせた遺言状も無効となり、遺言者の指示で他人が書き自分の遺言として署名・押印した場合も無効です。ただし、他人が書いた下書きを遺言者本人が書いた場合、遺言者本人が自筆で書けない場合に他人が補助して書いたものは自書として有効になり、押印も同様とされています。

日付が入っていない遺言状

遺言状は、作成した日付が重要です。従って、日付が無いものは言うまでもなく、日付印を押したもの、年月のみで日付が無いもの、日付が特定できないものも無効となります。遺言作成の日付ではない日を記載した遺言状も同様です。

動画での遺言

被相続人本人の相続に対する意思が明確でありながらも、本人が自筆できない場合は動画を残しておきたくなるものです。しかし、遺言状は書面で残しておくことが鉄則となっており法律で定められていますので、動画での遺言は現時点では無効となっています。

2人以上の共同で書いた遺言状

遺言状は、2人以上での共同によって作成されたものも無効となります。民法でも定められており、遺言者の意思表示の確認や遺言の撤回を自由に行わせるという趣旨があります。

押印がない遺言状

遺言状には遺言者本人の署名と押印が必ず必要となりますので、当然のことですが押印の無い遺言状は無効となります。押印する際の印鑑は、実印である必要はなく認印や拇印でも有効とされています。

遺言状を書く際の注意点

それぞれの種類の遺言状の効力を発揮させるためには、法律に定められている様式に従って書くことがポイントとなります。せっかく作成した遺言状が無効となることが無いようにするためには幾つかの注意点があります。

民法の定めた方式に従う

自筆証書遺言では特に証人を必要としないため、思い立ったらいつでもどこでも作成できるのがメリットです。しかし、手軽ではあるものの偽造や改ざんなどの心配もありますので、法律の定めに沿った確かなものを作成することが必要となります。公正証書遺言や秘密証書遺言でも民法による定めがありますので、その方式に従うことが重要です。

曖昧な表現を使わない

遺言書を作成する場合には、誰に何をどれだけ相続させるのかを明記しますので、曖昧な表現をせず、渡したい相手や相続の内容を明確に表現することが重要です。相続させたい者が誰なのかによっても使用する言葉に違いが見られますので、作成する場合はしっかりと把握しておくと誤解を招かず安心です。本文とは別に「付言」と言われるものを明記しておくと、余計な争いを防ぐ効果が高くなります。

口座番号や不動産登記内容は正確に

大口の不動産などが財産にある場合は「登記事項証明書」を取得して確認した上で遺言書に記載しましょう。また、高額の預貯金がある場合は、口座番号などの漏れや間違いが無いかどうか確認しながら行いましょう。預貯金の場合は、残高証明書などの残金が分かるものを取得しておくと良いでしょう。

遺言執行者を指定しておく

被相続人が残した遺言状を基に、各種財産の継承事務手続きを実際に行う者を遺言執行者と言いますが、スムーズに遺言書による相続を進めるためには事前に指定しておくことが大切です。しかし、信頼できる人を選ぶのが難しい場合もありますので、事前によく話し合いながら家族に託すことも一つの方法です。

まとめ

いかがでしたか?いつ起こるは分からないのが相続ですので、遺言状を作成しておくと自分の財産に対する争いを避けることが可能となります。
遺言状の作成には様々な方法がありますので、それぞれの定めに従って無効とならないように注意しましょう。

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