生命保険の死亡保険金で相続税は発生する?

独身の場合には、生命保険といっても実感がないかもしれませんが、家族を持っているなら生命保険はマストと言えるかもしれません。生命保険の死亡保険金は気になるもので、特に子供がいる場合は死亡保険金の額は重要となり、生活費だけでなく教育費の問題もありますので十分に検討しておく必要があります。しかし、死亡保険金の額を高額にしておいても税金が多くかかってしまっては何にもなりませんので、今回は生命保険の中でも死亡保険金の税金について視ていきます。

そもそも死亡保険金に税金はかかる?


生命保険に加入することで受け取れるものは、貯蓄目的の生命保険であれば保険金の他に満期金が受け取れますし、解約返戻金がある保険の場合には解約の際には支払った金額に応じて反戻金が受け取れます。また、医療特約などを付けている場合は病気やけがで入院した際に給付金が受け取れますが、死亡保険金は受取る金額が高額となる場合が少なくありませんので、税金にはしっかりと目を向ける必要があります。

生命保険の死亡保険金についての税額については、契約者・被保険者・受取人がそれぞれ誰なのかが大きなポイントとなり、保険の権利を持ち保険料を負担する契約者、保険の対象になる被保険者、保険金を受け取る受取人の3者が存在しまので、それぞれに該当する人が誰なのかによって掛かる税金に違いがあります。その種類は相続税、贈与税、所得税などが一般的です。

相続税の対象となるのは、契約者と被保険者が同じで、受取人が法定相続人の場合です。また、贈与税の対象となるのは、契約者・被保険者・受取人がそれぞれ異なる場合で、契約者と受取人が同じ時は所得税が掛かかります。このように、受け取れる保険金は契約の仕方や保険の種類によって様々ですが、掛かってくる税金に関しても異なってきます。これらを把握しておかないと払わなくてもよい税金を払うことにもなりかねませんので、よく理解しておくことが重要です。

相続税が必ずかかるわけではない


相続税には、課税対象となる財産と対象とならない財産があります。課税対象となる財産には、現金や預貯金、有価証券などの金融資産、家屋や土地などの他借地権や賃借権などの不動産、貴金属や自動車などの動産、特許権やゴルフ会員権などの各種権利などがあり、事業用財産も相続税の課税対象になっています。課税対象にならないものは、生命保険の死亡保険金や死亡退職金など被相続人が死亡したことより相続人が受取る財産の他、墓石などの祭祀に関わる財産に加えて、公益事業に使用される場合も対象から外れますが、生命保険の保険料を被相続人が負担していた時は、相続税の課税対象となります。

このように、相続税とはいえ必ず掛かる税金ではなく、生命保険の死亡保険金は非課税枠内であれば税金が掛からないようになっています。受取人が被保険者の相続人であった場合の非課税枠は、500万円×法定相続人の数が適用され、死亡保険金の場合でもこの非課税枠を超えない場合は、相続税は掛かりません。

ただし、受取人が被保険者の相続人でない時は、非課税枠は適用されませんので注意しましょう。死亡保険金の他にも生命保険からの給付金がある場合が少なくありませんが、入院給付金や手術給付金、がん診断給付金、リビング・ニーズ特約保険金など病気やけがで受取る医療給付金に関しては金額に関わらず非課税となります。満期金や解約返戻金などは一時所得と見なされ所得税の課税対象となりますので、契約形態は十分検討する必要があります。生命保険を熟知していないと、相続人同士で思わぬ事態となったり、高額な税金の負担を強いられたりする場合もありますので、よく見直しておくと安心です。

非課税枠を超えた場合でも税金がかからないこともある

非課税枠を超えたからといって慌てることはありません。非課税枠を超えても、「基礎控除」や「債務控除」によって税金が掛からなくなることもあり、基礎控除に生命保険の死亡保険金控除が加わることで、相続が発生した際の非課税分が更に増えるというメリットが得られます。

基礎控除額の計算方法は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で決まり、この基礎控除の計算方法は、平成27年から改正されています。基礎控除に加えて債務控除も認められています。債務控除とは、相続財産の税金を計算する際に、プラスの財産からマイナスの財産を差し引くことを指し、マイナスの財産を引くことを債務控除といいます。借金や葬式費用などは債務控除の対象となりますが、被相続人が生前に購入した非課税財産や保証債務などは対象にならない場合もあります。

配偶者がいる場合は更に税金が控除

生命保険の死亡保険金の税金負担を軽くしてくれるのは、非課税枠と基礎控除だけではありません。配偶者が受取人の場合は「配偶者の税額軽減」と呼ばれている「配偶者控除」が受けられます。

配偶者控除は1億6,000万円までは実質非課税となる非課税枠が設けられており、法定相続分の額によって非課税になるかどうかが決まります。実際に相続した相続財産の額が1億6,000万円以下の場合は非課税になり、実際に相続した相続財産の法定相続分の額が1億6,000万円以下でも非課税になります。どちらを選ぶかによりますが、配偶者控除を上手に利用すると相続税を軽減できるだけでなく、利用の仕方によってはゼロにすることも可能となります。死亡保険金の受取人を配偶者に指定しておくと、相続税の節税においては大変メリットがあります。

実際に死亡保険金の税金を計算してみよう

生命保険の死亡保険金の税金を計算する際には、様々な控除を受けられることはお分かり頂けたと思いますが、以下のような条件で税金の計算方法を説明してみます。

■死亡保険:7,000万円
■法定相続人の数:3名
■死亡した方が300万円の借金。また葬式費用が200万円
■その他の財産はなし

非課税枠の計算

まずは非課税枠の計算です。

法定相続人が3名なので500万円×3人=1,500万円が非課税枠となります。死亡保険金の7,000万円から非課税枠の1,500万円を引くことで課税枠の金額が算出されます。これをまとめると以下のようになります。

500万円×3人=1,500万円非課税枠
7,000万円-1,500万円=5,500万円が課税枠

基礎控除の計算

次は基礎控除を計算します。基礎控除の額は3,000万円に600万円をプラスし、法定相続人の数をかけて算出します。上記で算出した課税額から、基礎控除額を引き課税対象額を算出します。まとめると以下のようになります。

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円基礎控除額
5,500万円-4,800万円=700万が課税対象

債務控除を計算

債務控除は、借金や葬式費用が対象となっていますので、ここでは借金300万円と葬式費用の200万円をプラスした500万円が債務控除の対象となり課税対象額の700万円から差し引くことができます。よって計算方法は以下のようになります。

700万円-500万円=200万円課税対象額

債務控除には、控除できる債務と控除できない債務があります。控除できる債務は、葬式費用や借金の他、銀行の借入れ、未払い医療費、固定資産税や事業税といった公租公課など相続開始後に支払ったものが挙げられ、控除できない債務は生前に購入した墓所やお墓など維持や管理のために生じた債務は、ローンの残債がある場合以外は対象となりません。

また、被相続人の債務ではないため保証債務は控除の対象となりません。しかし、債務者が弁済不能の状態且つ支払いを求めても返してもらえる見込みがなく、保証人が返済しなければならないという場合は、債務控除の対象となります。葬式費用でも香典返戻費用や仏具代、遺体解剖費用など控除できない費用もありますので注意しましょう。債務控除については下記を参照して下さい。

債務控除について

最後に相続税を算出


最後に相続税を算出します。相続税には、課税金額によって相続税に掛かる税率が決められています。この例の場合は、課税対象額が200万円となり他の財産はありませんので、課税対象額が1,000万円以下であれば10%の税率となっていることから、20万円が支払う相続税額です。計算方法は以下のようになります。

200万円×10%=20万円相続税額

課税対象額による相続税率は以下のようになっています。

課税金額    相続税率 税金控除額
1,000万円以下  10%   なし
3,000万円以下  15%   50万円
5,000万円以下  20%   200万円
1億円以下    30%   700万円
2億円以下    40%   1,700万円
3億円以下    45%   2,700万円
6億円以下    50%   4,200万円
6億円より多い  55%   7,200万円

死亡保険金の相続税対策を考える上では、一般的な計算方法や順番をしっかりと把握しておく必要があります。その順番は以下の通りとなっています。

1.被相続人の総財産を計算する
2.基礎控除額を算出し課税対象額を決める
3.法定相続分に準じて各人の相続税額を算出する
4.各人の相続税額の合計を実際に相続した相続分で割当て直す
5.各人毎に最終的な相続税額を決定する

生命保険の死亡保険金は、相続する際に相続財産と思われがちですが、死亡保険金は、指定された受取人が受取れるお金ですので、受取人は法定相続人でなくても良いことになっており、相続税においては見なし財産として課税対象となってはいるものの、民法上は受取人の固有財産と見なされ相続財産分割の対象には含まれません。換金しにくい不動産やその他の資産などがある場合は、納税や遺産分割の際のサポート役となり、生前から計画的に相続対策が可能となりますので、このような点を踏まえ相続を考えると、生命保険の死亡保険金は税金対策に大きなメリットあると言えそうです。

まとめ

いかがでしたか?脂肪保険金にかかる税金のことをしっかり知っておかないと、払う必要のない税金を払わなくてはいけなくなってしまいますので、非課税枠など利用しながら上手に保険を活かしましょう。また、被保険者や保険料支払者、受取人がそれぞれ誰なのかによっても税額や課される税金の種類が異なってきますので、内容をよく把握しておくことも重要です。全ての方に当てはまるわけではありませんが、相続対策にも強い味方となってくれますので、メリットを活かして節税や減税に利用してみてはいかがでしょうか?

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