生前贈与について詳しく解説!非課税で行う方法や税率の計算方法は?

遺産相続は自分が亡くなった後に行われる財産の分割ですが、生前贈与は財産の所有者が生存している時に、家族や親族に遺産を分配してしまいます。今回は最近多くなっている生前贈与についての詳しい紹介と共に、非課税で行う方法や税率の計算方法などが分かる内容になっています。知っているようで知らないことが多い財産に関する知識は、是非この機会に多くの情報を収集することをおすすめします。今後に活用してみてはいかがでしょうか。

目次

生前贈与とは


生前贈与は、相続人の相続税の負担を減らすために生前から財産を相続することを指します。財産所有者が亡くなった後に行う遺産相続との違いや、生前贈与の良い点や悪い点を理解しておきますと、実際に自分が贈与する立場備なった時にも役立つ上に、贈与される側になった時にも正しい判断ができます。是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

生前贈与のメリットは?

生前贈与をする方の多くが期待するメリットは、税金の出費を抑えることができる点です。同じ金額であっても所有者が生存中に分配する生前贈与と、亡くなってから分配する遺産相続では掛かる税額が変わります。また財産所有者がいる段階で財産が分配できる生前贈与は、遺産相続のようなトラブルや言い争いを回避できます。加えて家族が集まって財産のことを改めて考えて話し合いができる点は、生前贈与のメリットと考えられるでしょう。

生前贈与のデメリットは?

生前贈与にはメリットだけでなくデメリットもあるようです。財産の中でも大きな割合を占める可能性が高い土地や建物などの不動産の生前贈与の場合には、名義を変更する際に物件の評価額に合わせて税金を納める必要があります。多くの不動産物件や多額の評価額が予想される不動産物件を所有する方にとっては、得をするつもりで行った生前贈与で、思った以上の出費を強いられる可能性があります。また税理士や司法書士などの専門家に相談した場合、依頼に関する相談の費用を納めなければいけません。

遺産相続と生前贈与…どちらが得?

遺産相続と生前贈与を悩んだ場合には、どのような選択をするのが正しいのか分からなくなります。しかしそれぞれに所有する財産も異なる上に、受け取る側の顔ぶれにも個人差がありますので、どちらが良いという判断は難しいようです。しかし生前贈与の場合には、全ての財産を生前に贈与する必要はなく、一部は生前贈与をして残りは遺産相続の方に回すという手段も可能です。一度自分の財産の分配についてゆっくり考えてみるのがおすすめです。

生前贈与ってどんな年代の人がすること?

特に年齢に制限があるわけでもなく、限定されているわけでもない生前贈与は、様々な年代の方が行います。手元に贈与する財産があることが前提ですので、多くは60代以上の方が多いようです。特に定年退職をきっかけに身の回りのことを整理して、老後をより快適に過そうとする方が増えることもあり、終活の一環として生前贈与を検討する方が多いようです。しかし検討するだけで結局生前贈与を実施しない方もいますので、知識を増やす機会がないまま関心がありながらも、生前贈与ではなく遺産相続をする方が多くなっています。

生前贈与の種類


生前贈与には暦年課税と相続時精算課税があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。生前贈与を検討する方は勿論ですが、生前贈与について深く検討したことがない方にとっても、覚えておいて損がない情報ですので、是非今後に活用すると良いでしょう。

暦年課税

暦年課税は、贈与を受けた人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額が基礎控除額である110万円を超える場合に、その超える部分に対して贈与税が掛かる制度です。したがってもらった財産の合計額が110万円以下の場合には、贈与税はかかりませんので、特別な申告や手続きも不要です。

相続時精算課税

65歳以上の親から20歳以上の子への贈与の場合、相続時精算課税を選択することができます。父からの贈与と母からの贈与で選択を分けるということも可能です。相続時精算課税は、通算で2,500万円の贈与まで贈与税はかかりません。しかし贈与者の相続のときに、相続財産に相続時精算課税の適用を受けた贈与財産の価額を合算して、相続税を計算しなければいけません。さらに一度相続時精算課税を選択しますと、暦年課税に戻ることはできません。なお、相続時精算課税の適用を受ける際には、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書に相続時精算課税選択届出書を添付する必要があります。

生前贈与は家族とよく話し合いをしながら進めよう


生前贈与をする場合は、自分一人の希望ばかりを主張して独断で決めてしまうのではなく、家族とよく話し合いをしながら進めると良いでしょう。そのためには、日頃から財産に関する管理をしっかり行うと共に、自分の考えと家族の考えを合致させながら話を進めるのがおすすめです。

専門家に生前贈与の相談だけをしても良いの?

生前贈与をする方の多くは、自分自身で進める方から司法書士や税理士に相談してアドバイスを受ける方まで様々です。しかし専門家に相談しても全員が生前贈与を実施するとは限らず、相談することで今回はやめておく方や自分には必要無いと判断する方もいます。専門家に話をするだけではいけないのでは?という思い込みから、全て自分で悩みを抱え込んでしまう方もいるようですが、話を聞いてもらって悩みを解決することや、途中まで自分で手続きを進めて苦手な箇所だけ専門家に依頼することもできます。是非柔軟な使い方をして、自分に合った生前贈与を進めてみてはいかがでしょう。

どんな場合に贈与税がかかる?

では実際に生前贈与をする場合には、どのようなケースで贈与税が掛かるのでしょう。

暦年課税は基礎控除額の110万円を越えたケース

暦年課税は基礎控除額が110万円で設定されていますので、この基準である110万円超過して生前贈与を受けた場合には、贈与税が掛かります。暦年課税による年間110万円までの贈与は、どんな財産の贈与でも可能です。相続時精算課税制度のように、親から子に、祖父母から孫に、といった条件がないのが特徴です。

相続時精算課税は受け取った金額が通算で2,500万円以上のケース

相続時精算課税は、親から子の世代への贈与をスムーズにすることを目的に作られたといわれています。早いうちに財産を子供へ移行させることを目的に作られた制度が相続時精算課税制度となります。生前に贈与をした場合には2,500万円の贈与まで贈与税がかかりません。その代わりに相続のときには、生前に贈与された財産と相続された財産を足した額に相続税がかかるという制度です。また贈与してくれる人ごとに、相続時精算課税制度を選択するか、しないかも選択できる特徴があります。

納めるべき税金は期日までに支払いを済ませましょう

税金を少しでも節約するために生前贈与を考える場合であっても、贈与税が掛かることが分かった場合には、納めるべき期日までに納める必要があります。忘れずに納期を守って納めるようにしましょう。

相続財産としてカウントされる場合

生前贈与を検討していても、相続財産としてカウントされる場合があります。一体どのような内容の場合が、相続財産としてカウントされるでしょう。

死亡前3年以内の贈与は生前贈与加算

被相続人となる相続財産を遺して亡くなった方から相続の開始前3年以内に贈与を受けた方で、相続または遺贈により財産を取得している方が対象となります。被相続人となる相続財産を遺して亡くなった方から相続の開始前3年以内に贈与を受けた方であっても、その方が相続または遺贈により財産を取得しなければ、3年以内に受けた贈与財産が相続税の課税価格に加算されることはありません。

死亡前1年間の贈与は遺留分減殺請求対象

被相続人が生前贈与した財産がある場合、生前贈与された財産は被相続人の相続開始前の一年間に贈与されたものに限り遺留分減殺請求の対象となるのが原則です。贈与者である被相続人と贈与の受贈者とが共に、遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした時、相続開始前の一年以内に贈与された財産以外の財産も遺留分減殺請求の対象となります。

複雑な内容で不安がある時には専門家に相談を!


生前贈与は複雑な手続きや自分では判断できないことがあります。自力で進めることも可能な生前贈与ですが、専門家の話を聞くのも良い解決策を導き出す方法です。そのような場合には、税理士や司法書士に相談をして、アドバイスを受けることをおすすめします。税理士や司法書士への相談には、それなりの費用が掛かりますが、自力で進めて分からなくなるよりも頼りにする価値は十分あります。

生前贈与税の計算方法

生前贈与税の計算方法は、どのようなやり方なのでしょう。計算式を暗記して覚える必要はありませんが、知っておいて損がない情報となります。

生前贈与税=(1年間にもらった財産-110万円)×税率-控除額

生前贈与税を計算する場合には、1年間にもらった財産から110万円をマイナスします。この計算で算出された数字に税率を掛けて控除額をマイナスしますと、生前贈与税が算出できます。一見すると複雑そうな計算方法ですが、それほど難しい算出の仕方ではありません。

税率と控除額について

税率と控除額は、親や祖父母から20歳以上の子供に贈与するケースと、一般的なケースの二つのパターンで金額が異なります。

【パターン1】親または祖父母から20才以上の子へ贈与する場合
1年間にもらった財産-110万円が…
200万円以下の場合:税率=10%、控除額=なし
400万円以下の場合:税率=15%、控除額=10万円
600万円以下の場合:税率=20%、控除額=30万円
1000万円以下の場合:税率=30%、控除額=90万円
1500万円以下の場合:税率=40%、控除額=190万円
3000万円以下の場合:税率=45%、控除額=265万円
4500万円以下の場合:税率=50%、控除額=415万円
4500万円超の場合:税率=55%、控除額=640万円

【パターン2】一般的な贈与場合
1年間にもらった財産-110万円が…
200万円以下の場合:税率=0.1、控除額=なし
300万円以下の場合:税率=0.15、控除額=10万円
400万円以下の場合:税率=0.2、控除額=25万円
600万円以下の場合:税率=0.3、控除額=65万円
1000万円以下の場合:税率=0.4、控除額=125万円
1500万円以下の場合:税率=0.45、控除額=175万円
3000万円以下の場合:税率=0.5、控除額=250万円
3000万円超の場合:税率=0.55、控除額=400万円

住宅購入資金を生前贈与で!


家族が住宅を購入するということは、周りの人間にとっても大きな出来事です。生前贈与で住宅購入資金を贈る時にはどのような動きになるのでしょう。

一定額まで非課税!

住宅購入資金に対する贈与の場合は1,500万円まで贈与税が掛かりません。住宅は一戸建てだけでなくマンションを購入する場合にも適用されます。

暦年贈与の基礎控除額と併用可能

生前贈与で住宅購入資金を贈る場合、1,500万円に加えて暦年贈与の基礎控除額の110万円を併用して加えることができるので、合計1,610万円まで贈与税が掛かりません。教育資金として孫に生前贈与するなど、様々な使い方ができますが、住宅購入資金にも活用できますので、状況に合わせて利用することをおすすめします。

土地を購入する際にも住宅購入資金として生前贈与が可能?

住宅と書いてあることから建物しか対応していない印象がある住宅購入資金の生前贈与ですが、土地のみを購入する場合にも活用できます。土地は生前贈与で資金援助を受けて、建物となる住宅は自分達で支払いをするような購入方法を選択することも可能です。

「孫のために・・・」の教育資金の一括贈与

大学進学に備えるなどの教育資金として、孫に一括贈与を検討する方もいます。教育資金の一括贈与とはどのような内容なのでしょう。

教育資金の一括贈与のメリット・デメリットとは?

教育資金の一括贈与のメリットは、使い道を限定して贈与できる点が大きく、暦年贈与を併用することが可能ですので、大きな節税に繋げられます。一方のデメリットは、贈与を受けた側の事務手続きが面倒で、様々な領収書などを提出必要があります。また教育資金の一括贈与を巡って兄弟や姉妹の関係が悪くなるなど、多額のお金が絡むことで想像しなかった展開に発展する危険性があります。

良い点と悪い点を見極めて教育資金の一括贈与を検討しよう

教育資金の一括贈与とは、正式名称を直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税と言い、祖父母などから30歳未満の孫や子、ひ孫への教育資金の贈与について、それぞれ1,500万円を限度として贈与税が非課税になる特例です。1,500万円×子や孫の数が非課税となりますので、例えば孫4人に教育資金一括贈与を行ったとすると最大で6,000万円もの財産を一括で非課税とすることができます。しかしメリットと共にデメリットもある教育資金の一括贈与は、本当に自分達に最適な節税方法であるかを見極めてから行う必要があります。

渡す側の気持ちだけでなく受け取る側の話も聞く

贈与を受ける側の孫や子供、ひ孫が小さい場合がありますが、渡す方の一方的な要望だけでなく、受け取る側の意見を聞くことも大切です。教育資金の一括贈与の場合には、受け取る本人の親である自分自身の子供や嫁、婿などとよく話し合って、最適な方法で教育資金を援助するのが良いでしょう。

教育資金はいくらあっても困りません

少子化の影響もあり、少ない人数に多くの教育費を投資する傾向があります。子供の進学先などの状況によっては、成長するにしたがって多額の資金が必要になります。特に大学への進学を希望した場合、自宅から独立して通学するような場合には、学費だけでは済まない多くの出費が予想されます。生前贈与などで教育資金の援助を期待することも良いですが、小さな時から少しずつでも積立をするようにしておくなど、自力での負担も心掛けることが大切です。

実際に生前贈与をする人は多い?

ニュースや新聞記事などでも大きく取り上げられる機会が増えた生前贈与ですが、実際に生前贈与を行う人は多いのでしょうか。また行うことを決めた方にはどのような特徴があるのでしょう。詳しく紹介しますので、是非今後に役立ててみてはいかがでしょうか。

どんな人が生前贈与を実施するのか

生前贈与を検討する方と言うのは、当たり前ですが生前に贈与する必要がある財産がある方です。手元の財産がそれほどない場合には、節税を気にする必要もなく、亡くなってから遺産を分けた場合にも、家族や親族が言い争いになるようなことはありません。財産が多いことはとても恵まれて幸せな印象が強いですが、時として管理に手間が掛かることや身内のトラブルに発展する可能性がありますので、誰もがうらやむ環境ではないのかもしれません。

生前贈与された側の気持ちとは

生前贈与をする側ではなく、贈与される側にとってはどのような環境の変化があるのでしょう。自分が働いたお金や貯金したお金ではなく、親や祖父母から譲り受けることになる生前贈与は、楽をして手に入れられる大金となります。そのため他の兄弟や姉妹との関係や、その他の親族との関係が時として変化することもあるようです。しかし財産の所有者である親や祖父母公認で受け取った財産である生前贈与は、後ろめたさや申し訳なさを感じることなく、財産を引き継いだという感覚で正々堂々と有効に贈与を受けた財産を活用することをおすすめします。

生前贈与するほどの財産がない時の対応策

豊富な財産がある方が行うことで節税が実現する生前贈与は、それほど財産がなく遺産相続でも問題がない方は、あえて生前贈与を選択する必要はなく、自分が亡くなってから家族や親族が平等に遺産を分割できるように遺書を用意するなどの対策をする方が良いでしょう。生前贈与のメリットは、節税に繋げられる点が大きいので、贈与する財産がそれほど多いわけではない時には慌てる必要はありません。

亡くなってからの遺産相続との違いを知ろう

遺産相続のイメージは財産の所有者が亡くなってから行うことで、周りの身内同士で遺産の取り分を奪い合う印象ですが、生前贈与の場合は、財産の持ち主がまだ亡くなっていないという点が大きく違います。名義人で所有者である本人がいることで、話が違うということや言い分の違いなどでケンカになる可能性は低くなります。生前贈与と遺産相続のどちらが正しい方法であるということはりませんが、それぞれの家族や財産の金額などでも変わります。よく家族と話し合ってから決めるのがおすすめです。

生前贈与は現金でもらう?


まとまった金額になる可能性がある生前贈与は、現金でもらいたいと考える方が想像以上に多いようです。日常生活で目にする機会が少ないような多額の金額となる生前贈与ですが、どのような方法で受け取ることができるのでしょう。

現金でもらうよりも口座の開設を!

銀行や郵便局を始め、信用金庫などでも多数の商品を取り扱っていて、生前贈与や遺産相続に関わるサポート商品を提供しています。いざという時に慌てないためにも、普段利用する銀行などで、どのような生前贈与に関わる商品があるのかを確認するのがおすすめです。また現金そのもので受け取ってしまいますと安全性も確保できませんので、利用しやすい銀行や郵便局などで生前贈与向けの講座を開設して、自分が受け取る贈与分を入金してもらう方が安心です。

どうしても現金でまとめてもらいたい時には?

しかし中には現金で生前贈与を受け取りたい方もいるようです。そのような方は贈与してくれる親や祖父母とよく話し合いをして、現金で受け取ることが不可能ではありません。しかし自宅にそのまま保管するなどと言う行為は危険ですので、事前に金庫を購入しておいて現金の安全を確保するなどしますと、外出時や就寝時でも安心して過ごせます。

もらったお金でも大切に使う習慣を身につけよう

生前贈与で受け取った現金は、もらった本人のものではありますが、目に余るような散財の仕方などをしてしまいますと、贈与した側の気持ちが落胆してしまいます。本人の自由なので目をつぶるしかない…と諦める方もいますが、もらった側の心構え一つで贈与してくれた親や祖父母を悲しませることはありません。ある目的を持って大きな金額を使うのは良いですが、無駄遣いをするようなことがないように、良く考えてお金を取扱うのは重要です。

生前贈与の相談は税理士や司法書士だけではありません

生前贈与の相談は税理士や司法書士のような専門家にしかできないイメージがありますが、実際には銀行や郵便局などの金融機関でも、生前贈与向けの商品を取り扱っていますので、じっくり話を聞くことも可能です。また最近増えているファイナンシャルプランナーに相談しますと、お金の専門家である立場からより的確なアドバイスを受けられます。

まとめ

いかがでしたか。生前贈与は遺産相続とは違い、財産の持ち主がいる段階で家族に分配することから、節税だけでなく家族間の争いを最小限に抑えることにも繋げられています。また非課税で行う方法やその計算方法を理解しておきますと、いざという時にも自分である程度の計算ができるので、納める税金を予測することが可能です。生前贈与について興味がある方は、更に詳しい内容を是非調べてみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい