厚生年金保険の制度について詳しく解説!

働いた報酬を、毎月給与という形で支給されている会社員や公務員などが加入している年金が厚生年金保険です。毎月の給料から保険料が控除されていますが、どのような目的に使われているのかを詳しく知っているという方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、日本の社会保険制度の一つである厚生年金保険について解説してみます。

厚生年金保険とは


厚生年金保険は公的年金制度の一つで、歳を重ねると共に収入の減少に備えることを目的とし、高齢者の自立をサポートする為の制度です。また、病気やけがで障害を負った場合の保険給付や保険を受給する者すなわち被保険者が亡くなった場合、遺族を対象に給付を行うという大きな役割を担っています。

厚生年金保険は、企業に勤務する会社員及び公務員の方などが加入する保険で、健康保険と同様に毎月の給料から収入に応じて保険料が控除され、それを一つの財源として用いることでこの社会保険制度が成り立っています。

厚生年金の適用範囲

企業に於いては、就業規則や雇用契約書などが定められているのが一般的ですが、厚生年金保険の適用範囲は、それらに定められた所定労働時間や所定勤務日数によって判断されます。

従って、パートやアルバイトでも仕事に従事している時間や日数によっては、被保険者となる場合があります。被保険者となる方は、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が、同じ企業に勤務している方の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上の場合と定められていました。

しかし現在では4分の3に満たない場合でも、1週間に20時間以上働いている、継続して1年以上雇用が見込まれる、賃金が8.8万円以上である場合の他、学生ではなく500人以上の企業に勤務しているという、5要件全てに当てはまる場合は被保険者となります。

法人などの事業所単位で適用し原則加入


厚生年金保険は、法人などの事業所や企業単位で適用されています。原則加入が義務付けられており、法人の場合は一人でも従業員がいれば強制的に加入が適用される強制適用事業所として保険料を納めることが定められています。

個人事業の事業所でも常時5人以上の従業員が働いている場合は原則加入

法人ではない個人事業所の場合でも、常時5人以上の従業員を雇用している製造業や運送業、金融保険業などの事業所はやはり強制適用事業所となり、厚生年金保険への加入が義務付けられています。しかし、個人事業所でも従業員が5人未満の事業所や農林水産業などの一部の業種の場合は、強制加入ではありませんが任意適用事業所として従業員の半数以上の同意があれば事業主が申請して厚生労働大臣の許可を受けることで加入が可能です。

国籍などには関係なく、常時雇用されている70歳未満の方であれば、正社員、パート問わず定められた条件をクリアすることで被保険者となることができます。ただし、日雇いや2ヶ月以内の期間での雇用の場合は加入が認められません。

国民年金との違いは?


日本の公的年金は、厚生年金と国民年金の2種類があり、その方が従事する職業によって加入する保険に違いがあります。では、厚生年金保険と国民年金の違いとは何でしょうか?概ねの違いは分かってはいるもののはっきりとした違いは複雑で分かりづらいという方も少なくありませんよね。ここでは、2つの公的年金制度の違いを解説していきます。

国民年金は20歳以上60歳未満の人はすべて加入

国民年金は、20歳以上60歳未満の国民全員が加入する公的年金で、学生であっても加入しなければなりません。また、国籍に関係なく日本に住んでいる外国人も加入しなければならない場合があります。

国民年金には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類の「被保険者の区分」があり、国民年金加入者は第1号被保険者に該当する方で、フリーランスや自営業、学生やフリーターなどの他、無職の方も含まれます。また、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者で、扶養の範囲に該当していれば保険料は第2号被保険者が負担することと定められておりますので、個別での保険料の支払いはありません。

国民年金の加入者の場合は、扶養などの制度がありませんので、保険料は本人が支払うことが基本となっています。ただし、収入によっては保険料の免除制度も設けられおり、相談窓口で相談することも可能です。

厚生年金は会社などで働く人たちが加入する公的年金

被保険者の区分の中で第2号被保険者に該当する場合に加入するのが厚生年金保険です。厚生年金に加入する企業で働く会社員や公務員、学校の先生などが加入しており、公務員や学校の先生などは数年前まで共済年金に加入していましたが、2015年10月1日から厚生年金保険に統合され、被用者年金が一元化されています。これによって、厚生年金保険の被保険者の種別も新たに設けられています。また、国民年金の加入年齢が60歳未満となっていますが、厚生年金保険の加入年齢は70歳未満とされていることも違いの一つです。

厚生年金保険は、管理責任を厚生労働大臣、運営事務は各地の年金事務所が行っています。

厚生年金保険の保険料は?

サラリーマンの方なら、毎月の給料明細を見ると厚生年金や健康保険の保険料がしっかりと控除されていますよね。厚生年金保険の保険料は、毎月支払われる給与や年数回の賞与から保険料を差し引いて事業主が年金事務所に納めています。ここでは、毎月控除される厚生年金保険の保険料はどのような仕組みになっているのか紹介します。

会社と本人が半分ずつ負担する

厚生年金保険の保険料は、事業主と従業員である被保険者が半額ずつ負担するのが基本です。事業主は、被用者負担分を被保険者の毎月の給与から差し引いた保険料と事業主負担分を合わせた金額を翌月末までに、年金事務所に納めます。

標準報酬月額により異なる

厚生年金保険の保険料は、毎月の給与によって定められている「標準報酬月額表」に当てはめることで計算されます。この表に毎年4~6月の報酬の平均を当てはめて、その年の9月~来年の8月までの「標準報酬月額」を決めます。この標準報酬月額表は、基本給を始め役職手当などの各種手当の他、現物支給されたものを含んだ報酬で、毎月の給与の支給額によっての変動はありません。基本的にその年の4~6月の報酬によって月額が決まりますので、その3ヶ月の報酬が多い場合は、保険料も高くなってしまうのがデメリットですが、賃金の変動があまりにも大きくなった場合には、見直しが行われることもあります。

厚生年金保険の給付

厚生年金保険の給付には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3タイプの給付があります。老齢年金は、国民年金加入者が65歳以上になると受給できる老齢基礎年金に上乗せして受給できる年金で、被保険者が病気やケガで後遺障害が残ってしまった場合に、その程度によって給付されるのが障害年金です。また、被保険者が亡くなった場合にその家族の方に給付されるのが遺族年金です。ここでは、厚生年金保険の給付について紹介します。

老齢年金

老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つがあり、厚生年金保険の被保険者の方は、自動的に国民年金に加入していることになっていますので、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金の受給ができます。

老齢基礎年金は、保険料納付期間と保険料免除期間を合わせた期間が25年以上とされていましたが、現在では10年以上と短縮されています。また、支給開始年齢は、原則65歳とされていますが、60歳からの繰上げ受給や66歳からの繰下げ受給も可能となっています。厚生年金を受給する場合は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていることと、厚生年金の被保険者の期間が1年以上であることが条件であり、その支給額は支払額や配偶者の年齢、被扶養者がいる場合などによって、受給者ごとに違いがあります。

要件を満たしていれば在職中でも受給が可能ですが、給与の金額によっては年金が停止となる場合もあります。

障害年金

公的年金保険の被保険者が病気やケガで後遺障害が残った時に給付されるもので、障害基礎年金の1級又は2級に該当する方に対して障害基礎年金に上乗せして給付されるのが障害厚生年金です。この給付は、厚生年金保険に加入している間に初診日があることが条件で、障害の状態が2級に該当しない比較的軽い障害の場合には、3級の障害年金が支給されることに加えて、初診日から5年以内に病気やケガが治り軽い障害が残った場合は、障害手当金が支給されます。

支給要件としては、厚生年金保険の加入期間が初診日であることの他、障害基礎年金の保険料の納付要件を満たしていることが必要となります。

遺族年金

公的年金保険の加入者に対して支給要件を満たしている場合に支給されるのが、遺族年金です。この年金も、障害年金と同様に遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、被保険者が亡くなった場合の家族の生活を保障する役割を担っています。

遺族基礎年金は、遺族の年齢や家族構成などの条件があり、受給できるのは「子のある妻」又は「子のある夫」と定められ、子の年齢も18歳以下及び障害年金の1級又は2級に該当する程度の障害を持つ子がある場合は、20歳未満という決まりがあります。それに対して、遺族厚生年金は、家族構成には関係なく子が無くても条件を満たせば受給が可能となっています。その条件は、死亡した被保険者に生計を維持されていたことが大きなポイントとなっており、被保険者の死亡時に生計を共にしていたことに加えて、遺族の年収が850万円未満であることの両方を満たすことが必要となります。

受給できる遺族の範囲は、配偶者及び子、父母、孫、祖父母の順になっており、前の順位の遺族がある場合は、それ以降の順位の遺族の受給権はありません。

まとめ

厚生年金保険などの公的年金制度は、複雑で分かり難いかと思いますが、ある程度知識を蓄えておくと万が一の時でも安心です。また、加入していることで様々なメリットがあり、もしもの時の生活のサポートとしての大きな役割を担っていると言えます。

老齢年金を始め障害年金、遺族年金などの様々な年金を受給する為には、被保険者本人や家族が申請しなければ受給できませんので、不安や疑問点などはそのままにしないことと、受給できるかも知れないと思われる場合は、年金事務所などに相談してみることをおすすめします。

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