退職金にかかる住民税の計算方法!目安額を知っておこう!

今回、この税金に対しての基本と退職金においてどう関わりがあるのかの紹介を通じて、退職金の支給前までに考えるべきことの指針にして欲しいと思っています。ぜひとも良い機会なのでじっくりご理解ください。

退職金を理解しよう


多くの日本人は、個性が重視され、過労死や自殺といった労働に関する社会問題をたくさん抱えている現代においても、会社に入社しそこで一生懸命働くことが一番の社会貢献と考えていることでしょう。ただ、残念ながら多くの会社には定年によってそれを終える時が用意されています。その時に会社から支給されるお金が退職金となります。このお金には、「長い間の勤務お疲れ様でした、これは会社からあなたに贈る最後のプレゼントだから、これからの老後を年金以外でもこのお金で乗り切ってほしい」と言った意味も込められているでしょう。

確かに、老後は年金以外の収入が原則なくなってしまうため、退職金の存在は非常に大事になってきます。だから、孫の教育資金、子供たちがマイホームを建てるための住宅資金、その他にも第二の人生の楽しみとして資産運用に回して大きな生計を立てたいと言ったことはもちろん、日常の生活を平穏に送るためなど多くの目的があるでしょう。いずれにしてもどの使い方も素晴らしいと思うし、それによって良い流れができたらと思います。しかし、この退職金の支給に関して一つ乗り越えないといけない問題があります。それは税金の仕組みが発動することです。つまり、納税のことを考えなくてはなりません。納税と聞いて良い顔する人はいないでしょうが、今まで発生していた給与に加えて老後の貯蓄である退職金に対しても納税の義務が求められる以上は対応しなくてはなりません。

ところが、いざその時が来たとしてどのくらいの税金が発生するのか分からない人が多い気がします。少しだけ語ると、まず所得税には10つの区分が存在しますが、退職金に対してはその中の一つである退職所得が適用されます。ただし、それ以外にも発生する税金があります。それが住民税です。

退職金には住民税がかかる


序文の通り、退職金には所得税そして住民税といった税金がかかります。

その住民税の基本を少し解説します。

(1)住民税の定義
住民税とは、「都道府県が徴収する都道府県民税と市町村が徴収する市町村民税を合算した金額」の総称を意味します。2つの税金から構成されているなんて意外なことと思う人も多いかもしれませんね。

(2)納税義務者
「その年の1日1日時点で市町村に住所がある人」となります。

このため、1月2日から別な地域に転居したとしても、1月1日時点で居住していた市町村から納税の連絡が入ります。ただし、1月2日から居住している地域からは課税はされません。

(3)住民税の用途
さて納税された住民税ですが、もともと用途制限がない一般税ではあるものの、主に行政サービスの原資となっていることが多いです。

つまり、下記の行政サービスに利用されていることになります。

①家庭や公共施設が出すごみの回収。

②公立の学校の維持。

③警察や消防の活動。

④図書館や美術館、博物館などの維持。

これら以外にもありますが、全て住民税があってこそ稼働していると言えます。

もっと広い表現で表すと、多くの市町村や都道府県の財源が住民税から成り立っていると言っても過言ではありません。そのくらい重要な税金です。

だから、いきなり今まで動いていた行政サービスの停止や遅滞が発生したら、その遠因に住民税による税収不足が起きている見方もできます。地域に対して貢献どころか迷惑をかけていることにもなりかねないので、必ず住民税は期限までに納税することです。

ただし、しっかりと納税をしている場合は、もう少し地域活性化に繋がる政策をしてほしいと市役所等に対して声を大にしてもいいのかもしれませんね。

(4)所得税との比較
ところで、住民税以外で退職所得にかかる所得税と比較してみると、下記の点から類似するところがあります。

①控除制度がある。

②納税関係の書類ではセットで表記されることが多い。

これらの点から、よく混合しがちな人も多いかと思います。

ただし、下記の通り支払うタイミングに関しては明確な違いがあります。

①住民税:前年度の収入に応じて課税額が算出されて翌年度に納税する。

②所得税:同じ年度のうちに課税額が算出されて年度内に納税する。

この仕組みにより、前年度の年収が高い場合は翌年度の納税額は高くなります。多くの労働者はその負担による大きさをその時になって初めて実感するなんてことも珍しくありません。よって、前年度相当に収入があったとして後先考えずに浪費するのは控えた方がいいでしょう。もっとも、出費はいつ何時起きるものか分からないものですから、実際のところはとても難しい話ですが。

(5)その他
所得税同様に、労働者であれば特別徴収と呼ばれる形式で納税されていることが多いです。これは、いわゆる会社からの天引きです。だから、「今月も税金が控除されている」と言った程度の感覚になっている人が多いかもしれませんね。

今回紹介したもの以外でも住民税の仕組みはあるので、国税庁のホームページなどで確認しておくことをおすすめします。

退職金の住民税は、退職金の金額と勤続年数で変わる


退職金に対する住民税ですが、退職金の金額と勤続年数によって変わります。この点は、所得税に対しても同様です。

勤続年数20年~35年の住民税

それでは、実際の住民税がどのように算出されるのか勤続年数20年~35年を想定して見ていきましょう。なお、文中に退職所得控除額と記載していますが、「退職金から差し引くことができる額」と認識してください。

勤続年数が20年の場合

勤続年数が20年の場合だと、800万円が退職所得控除額となります。よって、800万円以下の退職金であれば退職所得金額は0円となり住民税の納税が不要となります。

(1)退職金1,000万円:退職所得金額100万円、住民税10万円

(2)退職金2,000万円:退職所得金額600万円、住民税60万円

(3)退職金3,000万円:退職所得金額1,100万円、住民税:110万円

勤続年数が25年の場合

勤続年数が25年の場合だと、1,150万円が退職所得控除額となります。よって、1,150万円以下の退職金であれば退職所得金額は0円となり納税が不要となります。

(1)退職金2,000万円:退職所得金額425万円、住民税42.5万円

(2)退職金3,000万円:退職所得金額925万円、住民税92.5万円

勤続年数が30年の場合

勤続年数が30年の場合だと、1,500万円が退職所得控除額となります。よって、1,500万円以下の退職金であれば退職所得金額は0円となり納税が不要となります。

(1)退職金2,000万円:退職所得金額250万円、住民税25万円

(2)退職金3,000万円:退職所得金額750万円、住民税75万円

勤続年数が35年の場合

勤続年数が35年の場合だと、1,850万円が退職所得控除額となります。よって、1,850万円以下の退職金であれば退職所得金額は0円となり納税が不要となります。

(1)退職金2,000万円:退職所得金額75万円、住民税7.5万円

(2)退職金3,000万円:退職所得金額575万円、住民税57.5万円

実際に退職金にかかる住民税を計算しよう


さて、退職所得金額と住民税がいくらかかるかは分かりましたが、どうしてこの金額になるのか疑問に思う方も多いはずです。もちろん、しっかりと計算式があるのでそれを説明しながら算出されていく過程を見てみましょう。

①控除額を計算する

まず、退職所得控除額の計算をします。実はこれは前述の通り、勤続年数によって変わってきます。具体的には、それぞれ下記の専用の計算式によって算出されます。

(1)勤続年数が20年以下:控除額 = 40万円 × 勤続年数(80万円未満は80万円)

(2)勤続年数が20年超:控除額 = 800万円 + 70万円 × (勤続年数-20)

この計算式に前述の勤続年数35年を当てはめてみましょう。なお、勤続年数が35.5年(35年6か月)といった期間であった場合は、「36年」と小数点以下の数字を切り上げとなります。

800万円 + 70万円 × (35 – 20)= 1,850万円

これが退職所得控除額となります。さらに退職した理由が「障害者になったこと」であればこれにさらに100万円加算されます。

②退職所得金額を計算する(①を利用)

退職所得控除額を算出したら下記の計算式に当てはめてみて退職所得金額を算出しましょう。

(退職金(源泉徴収前の金額) – 退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得金額

例えば、退職金3,000万円、退職所得控除額1,850万円であれば下記の通りとなります。

(3,000万円 – 1,850万円) × 1/2 = 575万円

これが住民税の課税対象となります。

②より住民税を算出

算出した退職所得金額575万円に対して下記の計算式に当てはめて住民税を算出しましょう。

(退職所得金額)の10% = 求める税額
※税率の10%は平成26年度から平成35年度までとなっております。

(575万円 × 10%) = 57,500円

これが退職金に対する住民税の金額となります。

ここまでの流れでお分かりいただけたかと思いますが、退職所得金額とそこから算出される所得税は、「退職金と勤続年数が分かっていれば専門の計算式に当てはめて誰でも求められる」ということです。だから、今回の事例以外の退職所得金額と住民税もこの流れに沿って算出してみて下さい。

まとめ

退職金は、まとまったお金です。だからこそ税金のことも含めて支給されたことでどういったことが起きるのかを想定した準備をしなくては、短期間で使い果たしてしまう恐れがあります。不思議なことに大金があるほど、それが無くなっていくスピードも早かったりします。そうならないように、今回の記事を読んで少しでも生活設計のヒントになってもらえたら幸いです。

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