法定相続人の範囲と知っておくべきこと!

身内や親族で誰かが亡くなった場合、お葬式や法要などを行うことはもちろんですが、亡くなった人の遺産を相続するということが発生します。よくドラマや映画では、遺産を誰が相続するかでもめて、トラブルになる…なんていうこともよくあります。ここでは亡くなった人の遺産を受け取る権利がある人を、法律で決めた法定相続人について、その範囲と知っておくべき情報について、詳しく解説したいと思います。難しくて分からないと最初から敬遠せずに、この記事を参考に考えていってみてください。

法定相続人とは


法定相続人とは字のごとく、法律で定めた亡くなった人の遺産を受け取ることができる権利のある人のことです。そのため、亡くなった人と全く関係がない人は、法定相続人になることはできません。注意するポイントとしては、遺産全てやその一部の遺産を実際に受け取るのかは別な問題になります。とにかく受け取る権利がある人という意味で、法定相続人と呼ばれます。ちなみに、実際に遺産を受け取る人のことは、相続人と呼びます。スムーズに遺産相続を進めていくためには、亡くなった人の遺言書がない場合ですが、法定相続人の全員で遺産分割協議をして、財産ごとに誰がどれくらいの割合で相続するか、決める必要があります。1人でも法定相続人がいない場合、相続の話を進めることはできません。

法定相続人の範囲は?

それでは法定相続人の範囲とは、どこからどこまでなのでしょうか?簡単に説明すると、配偶者+下記に記載している第1~3各順位のいずれかとなります。さらに、違う順位の法定相続人は、同時に法定相続人になることはありません。具体的に説明すると、亡くなった人の配偶者は常に法定相続人です。第1順位の法定相続人は、子、子が亡くなっていた場合は孫、子も孫も亡くなっていた場合はひ孫です。第2順位の法定相続人は、父・母、父・母が亡くなっていた場合は祖父・祖母となります。第3順位の法定相続人は、兄弟・姉妹、兄弟・姉妹が亡くなっていた場合は甥・姪です。

配偶者

亡くなった人の配偶者は、常に法定相続人となります。配偶者以外の親族は、相続する順位が付けられますが、配偶者は相続する順位が付くことはありません。例えば、配偶者以外に子や孫がいない場合、配偶者のみが法定相続人になります。配偶者と子や孫がいる場合は、配偶者とその相続人が法定相続人となります。配偶者が過去に亡くなっていた場合は、第1順位の子と第2順位の父・母が相続人となるわけでなく、子供が全財産を相続するということになります。様々なパターンがありますが、とにかく配偶者がいる場合は、配偶者が法定相続人となるわけです。

第1順位

相続の第1順位は、被相続人の子にあたります。もしも、子が亡くなっていて、孫がいるのであれば、その孫が相続人となります。単純に考えると、順位では被相続人の子は、第1順位となりますが、子が亡くなっていた場合は、第2順位の父・母になると思ってしまいます。しかし、第1順位が亡くなっていた場合は、被相続人の孫の方が父・母よりも、被相続人の孫が優位となるのです。これを代襲相続と言います。代襲相続と同じく、被相続人に子がなくて、第2順位の父・母が相続人になっても亡くなったケースでは、祖父母に相続権がいきます。

第2順位

相続の第2順位は、第1順位直系にあたる相続人がいない場合、被相続人の父や母、祖父や祖母などになります。被相続人に配偶者と親がいた場合は、配偶者と親が相続人です。配偶者がいない場合は、親だけが相続人となります。親が2人いた場合は、1/2ずつになり、配偶者と親が相続人の場合は、配偶者の法定相続分が2/3、親が1/3×1/2で1/6ずつの法定相続分という結果になります。ここで考えられることは、被相続人の父や母、祖父や祖母などが高齢で認知症になっていることです。法定相続人が認知症の場合は、判断能力がないと判断した時は、成年後見人を選ぶ必要があります。

第3順位

相続の第3順位は、第2順位直系の相続人もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続の順番になります。兄弟姉妹が何人かいる場合は、兄弟姉妹の法定相続分を兄弟姉妹の人数で割って計算していきます。例えば、法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者の法定相続分が3/4、兄弟姉妹の法定相続分が1/4となります。なお、相続が第3順位にうつる時は、被相続人の両親・祖父母・ひい祖父母が全員亡くなっている場合となるので、誰か1人でも生きていれば兄弟姉妹に相続がうつることはありません。この生存の有無については、戸籍書類が必要になることがあります。

法定相続分について

法定相続分とは、民法で定められた各相続人の遺産の取り分のことです。遺産分割協議をする上で一定の目安として使われるので、もめる前に法定相続分を考えていきましょう。現在利用されている法定相続分は、昭和56年1月1日以降からのものが採用されています。ちなみに昭和23年から昭和56年までに利用されていた法定相続分は、子供全員で2/3・配偶者が1/3というものでした。法定相続分はあくまで持ち分の目安になりますので、実際の話し合いで持ち分が変わることも想定しておいた方が良さそうです。ここではケースごとの法定相続分について詳しく説明していきたいと思います。

配偶者のみ場合

相続人が配偶者のみの場合の法定相続分の割合は、全額となります。ここで前提となるのは配偶者のみが相続人であることです。中には父が亡くなって、子供が知らない離婚歴があって、その元妻に子供がいた…昔の恋人との間に認知済みの子供がいた…というケースもあるので、確認しておく必要があるのです。亡くなったら様々な手続きで、戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍などが必要になるので、その際に一緒に確認すれば安心です。それで配偶者のみと確定した場合は、戸籍類を遺産の種類に応じて、申請書と銀行や保険会社などに提出するようになります。なお、遺言書に認知した子供が記載されていれば、配偶者である自分と園子供も法定相続人となります。

配偶者と子供が相続人の場合

相続人が配偶者と子供が相続人の場合は、配偶者が1/2、子供(2人以上のときは全員で)1/2となります。子供が2人以上いる場合は、その1/2を子供の人数分で分けます。例えば、子供が2人の場合は、1/2×1/2=1/4となります。具体的には被相続人が1,000万円の財産があって、子供が2人いた場合になると、配偶者は1,000万円×1/2=500万円、子供が2人の場合の子供は1,000万円×1/4=250万円ずつになります。配偶者は1人ですが、子供は複数いるので、計算する時は気を付けましょう。子供の人数は、被相続人が隠していることもあるので、しっかり確認することが必要です。

配偶者と被相続人の父や母が相続人である場合

相続人が配偶者と、被相続人の父や母である場合は、配偶者が2/3、直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3となります。被相続人に子供がいない場合で、両親が2人とも元気な場合、1/3を人数分で割るので、1/3×1/2=1/6となります。もしも被相続人が1,000万円の遺産があった場合で計算すると、配偶者は1,000万円の2/3なので、666万円の持ち分です。被相続人の父母は1,000万円の1/6なので、166万円ずつが持ち分になります。父母のどちらかがいる場合は、1,000万円の1/3なので、333万円という持ち分ということになります。

配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人である場合

相続人が配偶者と、被相続人の兄弟姉妹である場合は、配偶者3/4、兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4という持ち分になります。例えば、被相続人が1,000万円の遺産を持っていた場合です。配偶者は1,000万円の3/4で750万円、兄弟姉妹が2人の場合は1,000万円の1/8で、125万円ずつになります。兄弟姉妹が多ければ1人分の相続の持ち分は、減ることになります。また、兄弟姉妹が亡くなっている場合は、兄弟姉妹の子供、つまり甥や姪が相続人となります。

様々なケースでの法定相続人の定義

配偶者と子供など一般的な家族の場合は、法定相続人が誰かすぐに分かります。それ以外にも家族な数だけ様々なケースが存在するので、法定相続人が誰か分からなくなります。そんな時の法定相続人のルールとは、いったいどんなルールがあるのでしょうか?例えば、被相続人の孫が生まれたばかりだった場合、養子がいた場合、法定相続が行方不明の場合などです。よくある相続のパターンの場合は、基本的なルールに従って、法定相続人が簡単に分かります。しかし、その法定相続人がいても、連絡がつかずに行方不明という場合もあります。ここでは、イレギュラーな場合の法定相続人は誰になるのか、説明していきたいと思います。

被相続人の孫が生まれたばかりでも相続人になる?

被相続人の孫が、生まれたばかりでも相続人になるのかというと、上記で記載した通り、第1順位に該当するので相続人になることができます。こうした孫やひ孫が相続人になることを「代襲相続」と言います。亡くなる順序が違うことで相続人の人数が変わってきます。遺産分割協議でも立場が変わってきます。なお、赤ちゃんでなくても夫が亡くなった時に、妻が妊娠していた場合、胎児でも、法律では生まれていると判断されるため、相続人となります。妻に子供がなく、愛人が妊娠していた場合も同じく、胎児でも相続人になることができます。

養子は法定相続人になる?

被相続人に養子がいた場合は、法定相続人になるのでしょうか?養子は子として扱われるため、第1順位に該当するため相続人になることができます。これは養子と養親と、その血族との間には「養子縁組の日から、血族間と同一の親族関係が生ずる」と民法で定められているためです。養子は実の両親についての相続権もあるので、養親と両方の相続権を持つこととなります。養子と違って認知されていない子供がいる場合は、戸籍には記載されず、遺産分割がされても仕方ありません。認知されていれば相続権を持つことになりますので、話が違います。養子・認知されていない・いることで、同じ子供でも全く違うことが分かります。

法定相続人が行方不明の場合は?

被相続人にとっての法定相続人が行方不明の場合は、法定相続人になります。法定相続人から外すことはできません。しかし、遺産分割協議は相続人全員がいないと進めていくことができないので、早く相続を終わらせたい人にとっては迷惑なパターンとなります。

相続には期限があるので、法定相続人が行方不明の場合は、不在者財産管理人の選任、失踪宣告という方法があります。不在者財産管理人の選任は、行方不明の人が所有している財産について、その人に代わって財産を管理する人を選ぶという手続きです。失踪宣告は、失踪宣告を受けた人は法律上、死亡したとされる、という手続きになります。

法定相続人と遺留分について

被相続人にとっての法定相続人と遺留分について説明していきたいと思います。ここでは遺留分の意味、配偶者の遺留分の割合、配偶者と子の遺留分の割合、子のみの遺留分の割合、父親のみの遺留分の割合について、解説をしたいと思います。遺留分は相続人が最低限受け取れる相続分のことですが、これは相続人の相続分が不公平にならないようにするために決められたものです。例えば、遺言書で愛人に全部の財産を残す、という場合は、親族が不憫になります。そのため民法で遺留分を確保してくれると、1人に多く財産が偏ってしまうことは防げるのです。

遺留分とは?

遺留分とは民法で定められた、一定の相続人が最低限、受取れる相続分のことです。これは、被相続人の遺言などでも、この遺留分は自由に変更することはできません。遺留分の特徴は、相続人の廃除で廃除された相続人や、相続人欠落に当てはまる人には遺留分は認められていません。次に財産を遺す側でも相続人の遺留分を奪うことは不可能ということです。よくトラブルとなりがちなのは、遺留分を持つ相続人が何人かいるのにも関わらず、特定の相続人に他の相続人の遺留分を侵害する目的で、遺言書を書くようなケースです。

配偶者の遺留分

配偶者の遺留分は、相続財産のうちの1/2が遺留分と定められています。ちなみに遺留分の対象となる財産は、相続開始時点の財産+贈与された財産-債務の全額という、計算式で求めることができます。相続開始時点の財産には、被相続人が所有していた不動産や銀行などの預貯金などが含まれます。遺言書で相続人を指定して書かれている財産も対象になります。贈与された財産とは、相続人に対しての贈与、第三者に対しての贈与も含まれます。債務の全額は、被相続人が遺した借金やローンが含まれます。

配偶者と子の場合

配偶者と子の遺留分は、配偶者、子に1/4は遺留分と定められています。被相続人が遺言で、相続人の遺留分の侵害をする場合は、無効にはなりませんが、遺留分を取り返すことも可能です。その遺留分を取り返すのかどうかは、相続人の自由となります。遺留分を取り返す請求は、遺留分減殺請求と呼ばれます。遺留分減殺請求を行使した場合、その遺留分を侵害している人が、遺留分の財産を遺留分権利者に返還する必要があります。返還する金額や財産を巡って争うことが多く、遺留分減殺請求を行使したことによって訴訟に発展することも多いです。

子のみの場合

子のみの場合の遺留分は、相続財産のうちの1/2は遺留分として定められています。相続人が子供だけの場合、子供1人の遺留分は、(被相続人の財産)×遺留分1/2×1/(子供の人数)という計算になります。子供が1人の時は1/2ですが、子供が2人の時は1人につき1/4、子供が3人の時は1人につき1/6にという遺留分になります。つまり子供が多ければ多いほど、1人分の遺留分は低くなります。

父親のみの場合

父親のみの遺留分は、配偶者、子ともに1/3は遺留分と定められています。これは母親の場合も同様ですが、両親1人分の遺留分は、(被相続人の財産)×1/3×1/2という計算で求めることができます。遺留分をもらうためには、贈与や遺贈があったことを知った時から、1年以内に行使しなければなりません。何も知らない場合は相続が開始となって10年経過した時点で、行うことができなくなります。なお、兄弟姉妹には遺留分がないので、請求することはできません。

まとめ

遺産相続が発生した場合、悲しみや忙しさで、誰がどの財産を相続するか、考えるどころではないと思ってしまいます。しかし、大切な人の遺した財産は、受け取る必要があります。よく遺産相続で訴訟問題になり、骨肉の争いとなることも聞きます。ここでは、争いを避けるために決められている民法などについて紹介しましたので、争いなく相続をしたい方は参考にしてみてください。

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