火葬炉の仕組みや種別、温度などを紹介!

人生の最後を迎える場所あり、誰もがお世話になり無くてはならない施設である火葬炉の仕組みや種類、温度などについて、ご紹介していきます。

火葬炉の仕組み


日本に火葬が伝わったのは、700年(文武天皇4年)。仏教と共に伝えられたと言われています。今も「荼毘に付す」と言う言葉が使われたりしますが、「荼毘」とは、インドの言葉「jhāpeti(燃やす)」に由来する仏教用語です。当時火葬され墓に埋葬されたのは、皇族、貴族、僧侶などの特別な階級の人たちのみで、一般の人は、河原や野原や山などの決められた場所に遺体を捨てられていました。江戸時代になると市街が形成され、それに伴い寺院や墓地に火葬場が設けられるようになり、徐々にその数を増やしていきました。時代と共に火葬が広まって行き、現在の火葬システムが一般に普及したのは、戦後になってからです。

現在の日本では、火葬の普及率が99%を超え、葬儀の際に火葬場に行かれた経験がある方は多いと思います。ですが最後の別れの場となる火葬場の仕組みや構造についてご存知の方は極少ないと思います。火葬は、故人の家族や親しい人たちにとって、死を受け入れ、けじめをつける場所でもあるので、
ただ遺体を焼却すれば良いというものではなく、遺族の気持ちを考慮し、少しでも綺麗に火葬する事が、亡くなられた方への最後のはなむけにもなるのではないでしょうか。火葬炉は、大きく分けてロストル式と台車式の2つがあり、ここではそれぞれの火葬炉の仕組みや構造について語りたいと思います。

ロストル式

ロストル式のロストルとは、通風をよくし火がよく燃えるように、炉やストーブの下部に設けた鉄の格子のことで、いわゆる火格子ことです。ロストル式の火葬炉は、ロストルの上に棺を直接乗せて焼きます。ロストル式の利点は、下部に隙間があるので、燃焼効率が良く、火葬時間が短縮できるので、燃費が割安であることです。さらに構造がシンプルで、台車式より設置コストが安価となっています。また、ロストル式の欠点は、ロストルの上で遺体を焼くので、ロストルの隙間から遺骨が落ちてバラバラになりやすいことや、汚汁が下の骨受皿に落ち悪臭の原因になること、炉前ホールに漏れる燃焼音や熱気が大きいなどがあります。

遺体が骨になるとバーナーを切り、炉内に冷気を送り込んで15分ぐらい冷却を行います。焼却と冷却を繰り返すので、炉内の温度差が大きくなり、炉を構成している耐熱レンガの寿命を縮めてしまうのもロストル式の火葬炉の欠点です。ロストル式の火葬炉は、現在使われている全国の火葬炉全体の3%と少ないですが、燃焼が効率的ですので、火葬回数を多くすることが可能となっています。東京や京都などの大規模火葬場では、ロストル式を採用しています。

台車式

台車式の火葬炉は、その名の通り、耐熱性に優れた車輪、軸受が付いた台車の上に棺を乗せ、レールの上をスムーズに炉の中に移動させて、台車ごとバーナーで火葬する方式です。火葬場に行かれた経験がある方は、目にしたことがあるかもしれません。日本で近年の火葬炉の主流のタイプとなっているのが、この台車式です。台車式の利点は、台車のまま焼却するので、遺骨が崩れてバラバラにならず、人の形のまま綺麗に残ることや、悪臭も発生しないことです。

しかし、ロストル式に比べると燃焼時間が長くかかり、遺骨が人の形のまま残るので、係の方が遺骨を崩さないと骨壺に入らないことがあります。さらに付属の設備が多く必要で、建設を含めた設置コストが高くなります。遺骨が綺麗な形で残り、ご遺族の方からも喜ばれるので、現在はこの台車式の火葬炉が全国の火葬炉全体の97%と主流になっています。

火葬炉の前室はどのようになっている?


火葬炉に前室が設けられるようになったのは、昭和50年半ば以降で、炉の手前にあるスペースのことを指します。棺を入れる時に焼けただれた炉の内部が遺族の視界に入ってきて、遺族に抵抗感や嫌悪感を与えてしまいますので、炉と扉で区切られた前室を設けることによって遺族の視界を遮ることができます。

さらに前室は、遺族から視界を遮るだけではなく、火葬後の熱を冷ます役割も担っています。外国の葬儀とは異なり、日本では火葬のすぐ後に収骨するため速やかに冷やす必要があります。熱い炉の中で冷えるまで待つよりも、前室に引き出した方が、短時間で冷えるわけです。
ロストル式は、火葬の際、化粧扉を開いて耐熱扉を引き上げると、炉の内部の焼けただれたレンガが、遺族の視界に入ってきますが、台車式は、棺が前室に納められて化粧扉が閉じられたところでお別れとなりますので、遺族に火葬炉を見せなくて済みます。

火葬の時間は?

まず炉でどのように火葬されるかと言いますと、告別室で最後のお別れの儀式が行われている時に排気装置のスイッチが入れられ、再燃炉が点火されます。炉内の温度が800℃になったら、主燃炉に着火されます。過去に主燃炉の着火の際の事故が何件か起こっているので、現在は着火装置の自動化も進み、炉の運転状態をチェックしながら火葬を行う集中自動制御装置が主流になっています。

台車式の火葬炉の火葬温度は、800℃~1200℃で、隙間のない構造のため酸素の供給があまり良くなく、燃焼効率が悪いので火葬に時間がかかります。火葬時間は、平均60分から70分となっています。

ロストル式の火葬炉の火葬温度は、台車式と同じく800℃~1200℃で、下部から空気を供給できるため、燃焼効率が良く、火葬時間が短縮できます。火葬時間は、平均50分から60分となりますが、火葬温度や時間は、男性、女性、大人、子供、老人など体格によって誤差があり、遺骨の原型保持と火葬炉自体の負荷軽減を考慮しながら温度や時間を調節しながら火葬を行っているようです。さらに、ダイオキシン類対策措置法が定められた現在では、ダイオキシンの発生を抑えるため、最低でも800℃は必要となっています。

火葬炉のメーカーについて

火葬炉を設計、製造している会社はいくつかありますが、富山市にある宮本工業所が、火葬炉のパイオニアとしてトップのシェアを占めています。
斎場の24時間予約システムでは、予約とともに自動的に火葬炉、待合室の自動割り付けもおこなわれ、最近は火葬場もハイテク化されているのが現状です。さらにエネルギー、時間、コストの低減を追求した無公害炉システムも完成しました。

新潟市にある富士工業株式会社は、無煙、無臭、無公害をテーマに「富士式一基完全独立型火葬炉」を開発し、全国各地で採用されています。特許も多数保有しており、日本のみならず海外にも進出しています。

福岡市の太陽築炉工業株式会社は、火葬炉本体とコントロールシステムのハードもソフトも自社で開発、製品化し、台湾やシンガポールなどにも進出しています。

東京都中央区にある高砂炉材工業株式会社は、東京ガスと共同で独自の火葬専用ガスバーナを開発しました。多段式空燃比により、挟角長炎および選択型強弱炎を実現した理想的な火葬炉専用ガスバーナです。さらに、独自に研究開発した排ガス冷却装置により、ダイオキシン発生の抑制を実現しています。

まとめ

故人との最後の別れになる場所、火葬炉の仕組みや種類、温度についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。生前、親しかった人であればある程、別れも辛いものです。日本では、火葬を終えた後、遺族や近親者の手で収骨の儀礼を行います。このようは習慣があるのは日本だけです。遺族の気持ちを思うと、少しでも綺麗に火葬してあげたい、そんな日本人ならではの思いが、日本の火葬技術を発展させ、台車式の火葬炉が主流になったのでしょう。火葬の歴史は長く、約1300年あり、火葬の方法も変わりましたが、故人を思う日本人の気持ちは、いつの時代も変わらないものです。

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