未成年後見人とは?親なら知っておくべき制度を解説

親にとって子供は宝でいつまでも幸せでいてほしい存在でもあります。しかし、突然親がいなくなり子供のみが取り残された時はどうなってしまうのでしょうか。そんな時に活躍する制度が「未成年後見人」という制度になります。ここでは未成年後見人制度の内容や具体的な方法などを、詳しく紹介していきたいと思います。

未成年後見人とは?


法律上での未成年後見人とは、未成年者は自分では財産管理はもちろん契約行為ができないため、未成年者の権利を守るために監護教育する人のことを言います。それでは未成年後見人と親権者の違いや未成年後見人の役割などを詳しく説明しましょう。

未成年後見人と親権者の違いは?

未成年後見人の意味は分かりましたが、親権者とどういう違いがあるのでしょうか。そもそも親権とは父母が子の財産管理をし、監護教育をしながら、社会人になるまでの親としての権利義務の内容を指します。とにかく未成年者は制限能力者として扱われ、親権者または後見人の保護・監督に従うように決められています。

未成年者が契約などの法律行為をするためには、法定代理人の同意を得る必要があります。法定代理人とは保護者または親権者のことです。親権者が何らかの理由でいなくなった場合には、法定代理人がいなくなり未成年者の保護ができなくなります。そんな時に未成年者の法定代理人になるのが、未成年後見人というわけです。次の項目では未成年後見人の役割を説明していきます。

未成年後見人の役割とは?

未成年後見人の役割は、未成年者の監護教育、財産管理、契約などの法律行為を行います。未成年後見人は原則として、親権者と同じ権利義務を持っていますが、財産管理のみの未成年後見人もあります。親権者と同じ権利義務を持つ場合は、親権を行う人がいない場合に当てはまり、財産管理のみの未成年後見人は、親権を行う人が、財産に関する管理権を持たない時に当てはまります。財産管理の内容として具体的に説明すると、未成年者の財産を調査して、選任されて1ヶ月以内に財産目録を作成することが決められています。また、毎年、未成年者が支出する金額の予定を立てることが、定められています。

後見を終了する時は、2ヶ月以内に財産管理の計算をする必要があるなど、役割は未成年者にとって重大です。監護教育に関しては、未成年者が無事に成人になるまで、親のように見守ることとされています。もしも、未成年後見人が未成年者の財産の使い込みをしていたら…という時のために、未成年後見人の事務を監督する「後見監督人」を選ぶことができるようになっています。後見監督人がいても、使い込みが続く場合は、家庭裁判所が未成年後見人を解任させる判断を下したり、業務上横領罪に問うようしたり働きかけます。さらに未成年後見人は、未成年者の医療に同意する立場にあります。ただし、親権者に身上監護権が残る場合、複数の未成年後見人がいる場合、管理権のみを持つ後見人や権限分掌により権限が限定される後見人も想定することができるので、必ず未成年後見人全員が、未成年者の医療に同意する立場になるとは言えません。

複数で後見?それとも一人?

2012年4月以前、未成年後見人は、1人でなければならないと定められていましたが、改正法施行によって2012年4月から複数人か、法人を選ぶことが可能になりました。以前は、未成年後見人は原則として、親等の近しい親族が候補者として選ばれていましたが、法改正で候補者の選択肢が大幅に広がったことになります。つまり、未成年者にとって、よりよい未成年後見人を選びやすい環境になった、ということです。

この複数の選任を前提にしたものが、先ほども説明した財産管理のみを行う未成年後見人です。未成年後見人を複数で行う場合、具体的にはどんな分担となるのでしょうか。例えば、財産管理権を持つ未成年後見人が、①②③と3名いる場合に、①②③がそれぞれ単独で財産管理権を行使することができ、①は○○の財産管理を、②は○○の財産管理をすることができます。また、身上監護権は複数人の未成年後見人がいても、必ず3名で身上監護権を行使することが、定められています。

未成年後見人選任について


それでは未成年後見人を選ぶ時は、具体的にはどうやって選ぶのでしょうか。流れを説明すると、家庭裁判所などにある未成年後見人の手引きを読み、申立て準備を行います。この時、申立必要書類一覧表に記載されている書類を準備しておきます。次は、準備書類を裁判所に提出して、正式に申立てをした後、調査となります。調査は面接で、申立て人調査・未成年後見人候補者調査・未成年者調査を行い、書面照会などで親族の照会をします。審判で未成年後見人として選任した、または却下する旨が記載された審判書が本人に郵送されます。

審判書を受け取った未成年後見人は、1ヶ月以内に財産目録の作成をして、裁判所に提出します。このように未成年者が成人になって、後見が終了するまで監護教育や、財産管理などをしていきます。なお、審判書が告知された時は、裁判所の嘱託によって、未成年者の戸籍に後見人が就任したという記載がされるようになります。

申立て準備を行い調査・審判を実施

未成年後見人の申立て準備には、このような書類が必要になります。分かりやすく箇条書きで説明していきます。

■未成年後見申立書
■収入印紙800円
■予納切手数百円…金額は家庭裁判所によって異なります。
■未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
■未成年者の住民票又は戸籍附票
■未成年後見人候補者の戸籍謄本(全部事項証明書)
■未成年者に対し親権を行う者がないことを証明する書面(例えば、親権者の死亡の記載された戸籍(除籍,改製原戸籍)の謄本(全部事項証明書)や、行方不明の事実を証明するような書類などになります。)
■未成年者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳の写し,残高証明書など))
■利害関係人からの申立ての場合は、利害関係を証明する資料(親族の場合は戸籍謄本(全部事項証明書)などになります。)

以上の書類を家庭裁判所に提出すると、未成年後見人の候補者が、ふさわしい人物なのか面接を行います。面接で未成年後見人にふさわしいと認められた場合は、未成年後見人になることができる、という流れになります。

後見事務の監督

未成年後見の場合、未成年後見人の事務を監督することができる、未成年後見監督人を設置することができます。監督とは、未成年後見人が職務を正しく行っているか。後見の事務を行って何か問題がないかを確認することが仕事内容です。監督人は定期的に書面照会をして、それに回答する形で監督をしていきます。

例えば、未成年者の状況、現在の問題についてまとめた報告書、未成年者の財産目録、それを裏付ける未成年者の通帳や領収書などのコピーの提出などがあります。未成年後見監督人は、未成年後見人の事務を監督するため、後見人の配偶者・直系血族・兄弟姉妹はなることはできません。選任する時は、指定権者の遺言での指定、未成年後見人の親族か未成年後見人の請求で、家庭裁判所が選任するようになっています。未成年後見監督人は、未成年後見人が未成年者の財産を使いこんだりすることも、防止する働きもあるので、未成年者にとってありがたい存在と言えます。

後見事務の終了

未成年後見人の後見事務の終了は、以下の場合があります。未成年者が満20歳で成人した場合、未成年者が婚姻した場合、未成年者が死亡した場合、養子縁組・離縁により養親か実父母の親権に服することになった場合、親権または管理権喪失宣告の取り消しがされた場合、親権または管理権の回復をした場合は、終了となります。なお、未成年後見が終了した場合、未成年後見人は、後見終了後10日以内に後見終了の届け出を、市町村役場に提出することになっています。

また、管理していた未成年者の財産の収支を計算して、その結果を家庭裁判所に報告します。家庭裁判所に報告が終了した後は、未成年者の財産を未成年者自身に引き継ぐようになります。未成年者が死亡した場合は、相続人に引き続きを行います。財産に貸し借りがあった場合は、その金額を返還して手続きは完了となります。

後見人の報酬を請求する場合


未成年後見人は報酬を請求することが可能です。報酬を請求する場合は、「報酬付与の申立て」が必要になります。これは未成年後見人が未成年者の財産の中から、一定の報酬を受け取る場合に必要な手続きになります。報酬付与の申立てがあった場合、家庭裁判所は未成年後見の事務の内容を見て、報酬を付与することが妥当かどうか判断します。妥当である場合、報酬額がいくらなのか決定し、家庭裁判所が認めた金額だけを、未成年者の財産の中から受け取るようになります。

この手続きは、未成年者の財産が減らないようにするためにも、必ず行うことが決められています。未成年後見人の報酬の要求が認められているのは、未成年後見人が重い責任があるからです。重い責任があるのに無償で引き受けることは、気が引けてしまうという場合は、報酬を受け取るように請求してみてください。

まとめ

両親がいなくなっても、健やかに金銭面に不安がなく、未成年者が成人するように見守ってくれるのが、未成年後見人です。後見が終了するまで、どのくらい長い期間、後見をするのかは、未成年者の状況や年齢で違ってきます。しかし、未成年後見人は未成年者にとって非常に重要な役割を果たしているのではないでしょうか。自分に子供ができたら、子供に何があっても大丈夫なように、遺言で未成年後見人を指定するなど、できることはしておきたいものです。

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