「要介護3」の判定目安と利用可能な介護サービス

要介護3にあたる症状と状態

2004年4月から介護保険制度が施行されて、高齢者を中心に多くの利用者を抱えていますが、この制度を利用するには要介護認定を受ける必要があります。そのうちの要介護3は次のような状態をいいます。

中度の介護を必要とする状態

要介護3は「前段階である要介護2と比べてさらに症状が進み、IADL(手段的日常生活動作)およびADL(日常生活動作)が低下して、立ち上がりや歩行が自力ではできないため、生活全般に介護が必要となってくる状態」とされています。

なお、IADLおよびADLは次の定義と分類がされています。

● ADL:日常生活を送るために必要となる動作
 「Activities of Daily Living」の略である
 食事、排泄、入浴、整容、衣服の着脱、移動、起居動作が該当する
● IADL:日常生活を送るために必要となる動作のうちADLよりも複雑な動作
 「Instrumental Activities of Daily Living」の略である
 家事全般(買い物、洗濯、掃除等)、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用、電話応対などが該当する

重度の理解力の低下

要介護2でもある程度は見られた理解力の低下がよりはっきりと確認できるようになるため、ADLおよびIADLが低下する理由ともいえます。よって、原則として独り暮らしは困難となり施設への入所を検討する必要も発生します。

公的介護保険給付額と利用できるサービス例


要介護3と認定された場合の介護保険制度の給付額と利用できるサービス例について紹介します。

支給限度額は269,310円/月

介護保険制度は、原則として要介護認定のレベルに応じた支給限度額が定められています。そのうちの要介護3は月額269,310円と定められています。

この支給限度額は、介護保険制度が施行されて以降4回ほど改定が行われています。そのうち直近の4回目の改定は、2014年4月1日より消費税増税に伴うことを理由に行われています。

このため、今後も支払限度額が変動する可能性があるとみて、随時確認しておくことをおすすめします。

30分未満の訪問介護を週8回

訪問介護とは、介護関連資格を保有したスタッフが決まった日時に訪問して介護を行うサービスです。

主な特徴は次の通りです。

● 30分未満であれば週8回利用できる
● 食事、入浴、排泄、体位変換、通院、外出する際の同行など生活介護、掃除や洗濯、衣類の整理、買い物など生活援助などが受けられる
● 「ADLと利用者本人の日々の生活に対する意欲の向上」などが主な目的として挙げられる
● 医療行為は原則として行えないが、次の行為は介護保険法改正の影響もあって医療行為ではないと判断されている
 爪切り
 体温調整
 血圧測定
 耳垢の除去
 ストーマ装着のパウチに蓄積された老廃物の廃棄
 医薬品使用をする際の介助
●    家族の食事の用意や掃除、庭の草むしりやペットの散歩など介護の範囲を超えた行為は行えない

1時間未満の訪問介護を週2回

さらに、訪問介護は1回につき1時間未満であれば週2回ほど利用できます。サービス内容は30分未満の時と同様ですが、時間の拡大によって同じサービスであっても質の面では異なることが多いです。

週2回の通所介護

通所介護とは、1日決まった時間帯(日帰り)で施設に通うサービスです。

主な特徴は次の通りです。

● 週2回利用できる
● 食事、入浴、排泄など生活介護と機能訓練やレクリエーションなどが受けられる
● 利用者がコミュニケーションを取る機会が増えること、家族の介護の負担が軽減されることなどがメリットとして挙げられる
● 利用者が慣れない施設での生活にストレスを感じて症状の進行を進める恐れがあることなどがデメリットとして挙げられる
● 利用をする際は、ケアマネジャーなどに相談をしてケアプランを作成してもらい受け入れてくれる業者を紹介してもらう形となる
● 一日の利用内容は業者によって異なるが、早朝の送迎、施設でのレクリエーションや機能訓練、食事などのサービス、夕方の送迎の流れが多い
● 認知症の方を専門に扱ったデイサービスもある

週1回の訪問看護

看護関連資格を保有したスタッフが決まった日時に訪問して看護を行うサービスです。

主な特徴は次の通りです。

● 週1回利用できる
● 訪問看護を行うスタッフは訪問看護ステーションや病院などに所属している
● 看護内容としては、血圧、体温、呼吸、脈拍のチェック、利用者の観察、ガーゼやオムツの交換、薬の服用指導やその確認、たんの吸引、人工肛門やパウチの交換など介護スタッフでは行えない行為などが挙げられるが、食事、入浴、排泄など介護関連のことも行うことはできる
● 介護保険制度の利用以外にも、民間の医療保険や自費での利用も可能である
● 利用をする際は、事前に要介護認定をもらった後にケアマネジャーなどに相談をして、主治医から訪問看護に必要な書類に基づいた指示を受けて訪問看護ステーションと契約する形となる

福祉用具のレンタル


介護に必要となってくる次の福祉用具のレンタルが、介護保険制度を利用することでかかった費用の1割を自己負担することで可能となります。さらに「それを利用せざるを得ないと判断される」など一定の要件を満たさない限り、要支援1~2および要介護1では認められなかった福祉用具のレンタルも可能となります。

● 移動用リフト
● 認知症老人徘徊感知機器
● 車いすおよび付属品
● 床ずれ予防用具
● 特殊寝台および付属品
● 体位交換器
● 手すり
● スロープ
● 歩行補助杖
● 歩行器
● 自動排泄処理装置

ただし、それでも自動排泄処理装置は要介護3までは一定の要件を満たさない限りレンタルが認められていません。装置自体がそれだけ要介護認定が高い方を想定して作られているためです。

よって、福祉用具をレンタルする際はケアマネジャーを通じてレンタルの有無や発生する費用などを確認することをおすすめします。

自己負担で保険範囲内サービスに上乗せ

要介護3になると自己負担にはなるものの介護保険制度の範囲内で次のサービスの上乗せという形で利用することができます。

平日夜間にヘルパーを頼む

毎日1回夜間巡回型という形でホームヘルパーの訪問介護を利用することができます。サービス内容は通常の訪問介護と同様ですが、特に認知症が高まっている高齢者は、深夜に徘徊することが多いため非常に重宝することになるでしょう。なお、要支援1~2および要介護1~2では利用できないサービスです。

休日にショートステイ

ショートステイは、施設に一時的な期間入所をして介護や機能訓練などを受けて生活をするサービスです。

主な特徴は次の通りです。

● 「短期入所生活介護」とも呼ばれる
● 最大連続利用可能日は30日でそれ以降は全額自己負担となる
● 利用期間についてはやむを得ない事情があれば延長が認められる場合がある
● 要介護認定のレベルによって利用できる日数は決まっていて、要介護3の場合は26日である
● 家族が仕事や旅行などで長期間不在の場合などには有効なサービスといえる
● 特別養護老人ホームや有料老人ホームなどに併設されている併設型、ショートステイを専門としている単独型の2種類の施設に分けられる
● サービスの内容の関係で予約が殺到することが多く、事前に計画を立てて予約を入れておく必要がある

施設介護の検討も


要介護3となると、施設での介護をメインに考えるほど身体低下の状態となっていることが多くなるため、施設に入所させて介護を業者に引き受けてもらうことも検討する必要が出てきます。

目的と費用で施設を選ぶ

施設を選ぶ際は、次の項目を確認しておくと現状の目的に叶った施設の目途をつけやすいでしょう。

● 利用者およびその家族が求めている施設内で行って欲しいサービス
● 施設に対する費用が介護保険制度の支払限度額内(要介護3は月額269,310円)で支払えるか
● 利用者の現状の要介護レベルとその症状具合
● 今後想定される要介護レベルの進行具合とそれに対応したサービス

民間運営の介護施設

介護施設といっても多数の種類がありますが、民間運営で代表的なものとしては次の施設があります。

● 介護付有料老人ホーム:介護体制が整っている有料の老人ホーム
 カラオケルームなど娯楽設備が揃っている
 原則終身入所ができる
 全館バリアフリーである
● サービス付き高齢者住宅:主に介護がそれほど必要ではない高齢者向けの住宅
 施設内での生活の自由度は高い
 医師や看護師が常駐していないなど医療体制は高い方ではない
 原則60歳以上の高齢者であることが要件の一つである
 入居申請時は「住宅地特例」と呼ばれる制度が必要になってくる
 重度の介護状態になれば退去しなければならない

公的な介護施設

公的な介護施設の代表格としては、特別養護老人ホームがあります。

主な特徴は次の通りです。

● 「特養」とも呼ばれる病気や障害などで在宅生活が困難な高齢者向けの施設である
● 入所期間に原則制限はない
● 入所要件が要介護3以上と高い基準がある
● 介護保険制度が適用されるため比較的安価である
● 月額費用のうちの半分が医療費控除となる
● 安価だが医療体制が不安定な場合があり、医療への依存が高い高齢者は入所を断られる場合がある
● 施設内には、居室、医務室、食堂、トイレなど一通りの環境が整っている
● 居室は、通常の個室を意味する従来型個室、複数のベッドがある多床室、設備が一通りそろったユニット型個室、ユニット型と同類ながらも多床室を改装などしたユニット型準個室の4種類ある
● 介護関連または医療関連の資格を保有しているスタッフが常時対応している

まとめ

要介護3は、多くの場面で介護がないと生活が成り立たなくなるレベルになります。家族および介護や看護関係者の工数の増加や介護に対する悩みが起きやすくなるなど、潜在的に持っていた問題が表面化することも珍しくありません。しかし、介護保険制度ではそれを少しでも軽減させるために保障範囲を広げて対応しています。そのため、少しでも制度の仕組みとサービス内容を理解することが介護と生活の両立の近道といえます。

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