第3号被保険者とは?

第3号被保険者の条件とは?


国民年金制度を見ていくと、第1号~第3号被保険者および任意加入被保険者と呼ばれるタイプに分かれますが、そのうちの第3号被保険者の条件について紹介します。

第2号被保険者に扶養されている配偶者

第3号被保険者は「国民年金に加入していることに加えて、厚生年金および共済年金に加入している第2号被保険者の扶養されている配偶者」と定義されています。

この配偶者とは、一般的には「主婦」となります。もちろん「主夫」でも対象となりますが、大半は前者の割合が大きいです。

20歳以上60歳未満が対象

年齢制限もあり、20歳以上60歳未満であることも要件となります。そのため、19歳までの配偶者または60歳以上の配偶者は対象外となります。

第3号被保険者の気になる保険料

第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者が対象となるため「主婦(主夫)」が多いです。そのため一般的に収入は少ない方です。しかし、その分、次の特典があります。

保険料の本人負担はなし

第1号被保険者および第2号被保険者が毎月支払う国民年金保険料および厚生年金保険料は次の通りとなります。

● 第1号被保険者の国民年金保険料:月額16,490円(2017年度)
① 計算式は「2004年度の改正で決められた保険料額(Ⅰ) × 険料率改定率(Ⅱ)」となる
② 2017年度の場合、Ⅰは16,900円、Ⅱは0.976となる
③ ①の計算式に従い2017年度の国民年金保険料を計算すると「16,900円×0.976 = 16,490円」となる

● 第2号被保険者の厚生年金保険料:月額18,300円(2017年度)
① 計算式は「標準報酬月額(Ⅰ) × 厚生年金保険料率(Ⅱ)」となる
② 2017年度の場合、Ⅱは(2017年9月からは18.3%となる
③ ①の計算式に従い標準報酬月額を20万円として計算すると「20万円 × 18.3% = 36,600円」となるが、厚生年金保険料は勤務先の会社と折半の負担となるため、18,300円となる

国民年金保険料は全額社会保険料控除の対象となるなど、一定の税法上の特典はあるものの、それでも毎月1万以上はかかる保険料を支払うことは簡単なこととは言い難いでしょう。特に第2号被保険者は、標準報酬月額が上がれば上がるほど厚生年金保険料も上がっていきますのでなおさらです。

しかし、第3号被保険者の場合は保険料の支払いが不要となります。

なぜなら、配偶者である第2号被保険者の加入している厚生年金または共済年金の保険料の支払いによって「一括して支払っている」とみなされているためです。具体的には、被用者年金制度という制度によって、保険料および掛金の一部を基礎年金拠出金として毎年度負担をしているということです。さらにその上で第2号被保険者と同じ国民年金を受け取ることができます。

また、万が一離婚をした場合は、夫婦の厚生年金を分け合う「離婚分割」という制度もありますが、第3号被保険者の場合は申し出をすることで、第3号被保険者期間に対応する配偶者の年金記録を無条件で折半できます。2008年4月以降の期間のみが対象といった制限はあるものの、制度の存在を把握しておくことは損ではないでしょう。

以上のような特典によって、第3号被保険者が第1号および第2号被保険者との差別化に成功しています。

ただし、この不公平さが「第3号被保険者問題」と呼ばれる社会問題を生み出しています。

この問題の特徴は次の通りです。

第3号被保険者問題の特徴

● 第1号および第2号被保険者の対象となっている自営業者や会社員や公務員などとの不公平さが指摘されている
● 不公平さを埋めるために第3号被保険者の負担の増加や給付の抑制などの意見がある
● 第3号被保険者の要件である収入の制限が、女性労働者の賃金や社会的地位の低下を招いていることが指摘されている
● 少子高齢化による労働力不足の対策として、第3号被保険者の雇用促進が叫ばれるが、この問題が足かせとなっている可能性があることが指摘されている

現代日本の急激な情勢の変化により、第3号被保険者の在り方が模索されていることが伺えられます。

第1号又は第2号被保険者の保険料で保障

前述の仕組みによって、第2号被保険者の配偶者となっていれば、保険料を支払わなくてもよい特典がありますが、こういった「配偶者に対する優遇措置」は、日本だけでなくアメリカやイギリス、フランスなど諸外国でも見られます。

例えば、フランスでは、老齢年金および障害年金を受け取れない65歳以上の配偶者(障害を有していれば60歳以上)を扶養していれば、被保険者の年金に加給金が加算されます。
もちろん、他の要因もあって一概な比較はできないことに注意はしつつも、諸外国にもこういった制度があるのは興味深いといえます。

ただし、日本の第3号被保険者に関する実態を調査した資料によれば、次の興味深い結果が出ており、今後制度の改定に影響を与える可能性があるといえます。

● 第3号被保険者自身は、第2号被保険者となっている夫の給与から天引きされていると誤った認識になっていることが少なくない(実際は前述の通りの仕組みがあるからこそ保険料の支払いが不要となっている)
● ただし、仕組みを知って第3号被保険者という立場に甘んじるわけにもいかないという考えも少なからずある

第3号被保険者が加入する年金


保険料の支払いが不要の特典を持っている第3号被保険者が加入する年金について紹介します。

公的年金制度について

原則として第3号被保険者は国民年金保険に加入することになります。

保険料納付期間が年金額に反映

支払ってきた保険料は「保険料納付期間」として年金額に反映されます。現状では、10年以上の納付期間があれば国民基礎年金の受給資格を得ることができます。第3号被保険者はこれが前述の通り保険料の支払いが不要のまま受け取ることができます。

第3号被保険者から外れるケース

ただし、第3号被保険者から外れてしまうケースも次の通りあります。

夫が退職して厚生年金加入者でなくなった

会社員または公務員だった配偶者が定年で退職した場合は、第2号被保険者ではなくなるため、その配偶者も第3号被保険者を維持することはできなくなります。

離婚し配偶者でなくなった


第2号被保険者となっている配偶者と離婚すれば、扶養から外れることになるので第3号被保険者を維持することはできなくなります。

収入増により被扶養配偶者でなくなった

第2号被保険者の配偶者の立場を維持していても、年収130万円未満(一定の障害がある場合は180万未満)の収入となった場合は、扶養から外れて第2号被保険者を維持することができなくなります。

なお、この収入に関して次の点を注意しましょう。

● 交通費(通勤手当)不動産の家賃収入など給与以外も合算する
● 130万以上の判断基準は今後発生する収入の見込額で判断される
※年度途中の5月から15万の給与(6月支給開始)で働き始めた場合、年度内の105万(6月~12月分)ではなく、あくまで1年間の給与である180万(6月~来年5月分)で判断される

第3号被保険者の手続きや届出について


前述でも取り上げた事情によって、第3号被保険者でなくなった場合は次の所定の手続きを取る必要があります。逆に第3号被保険者となった場合も所定の手続きが必要となるので併せて紹介します。

第3号被保険者になった時の届出

第2号被保険者の配偶者が結婚などの要件を満たして第3号被保険者になった場合は、次の書類を届け出なくてはなりません。

● 被扶養者(異動)届
● 国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届

これらは、第2号被被保険者が勤務先の会社を経由して日本年金機構に次の書類の届出を行うことになりますが、次のルールがあるのでこれらに準拠しましょう。

● 提出時期:事実発生から5日以内
● 提出先:郵送で事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)
● 提出方法:電子申請、郵送、窓口持参

第3号被保険者でなくなった時の届出

第3号被保険者でなくなった場合は、第3号被保険者になったときと同様に書類の届出をしなくてはなりません。

具体的には「被扶養配偶者非該当届」という書類を届け出ることになります。

そして、届出が必要となる事例は次の通りです。

● 夫婦の離婚
● 第3号被保険者の収入が基準額の年収130万円未満(一定の障害がある場合は180万未満)を超えて扶養から外れることになった

ただし、次の場合は届出が不要となります。

● 第2号被保険者の配偶者が定年などで退職した
● 第3号被保険者が被用者年金制度に加入した(つまりは第2号被保険者となった)

届出がもれていた場合の不整合記録

実は次のような事例によって、年金記録が不整合であるため年金の受け取りができなくなる恐れのある問題があります。

● 第3号被保険者の収入が一定基準を超えたにも関わらず届出をしていなかった
● 第2号被保険者だった配偶者が自営業を開始したため、第3号被保険者から第1号被保険者となったのにも関わらず届出をしていなかった

本来、第3号被保険者がその要件を満たさなくなった場合は、法律上の義務ということもあり変更の届出が必要となりますが、第3号被保険者がその事実に気がつかずに放置したままとなっているということです。

そして、この状態を放置し続ければ、本来の年金記録との整合が取れなくなり、将来受け取れる年金の受給資格を満たすことができなくなって減額した年金の受け取りまたは年金そのものを受け取れなくなる恐れがあります。さらにこの問題の対象者が、現在十万人はいるとされているため大きな問題となっています。

そのため、2014年より日本年金機構は誤った記録となっているあるいはその可能性がある対象者の洗い出しと対応を開始しています。法律上では、2013年7月に施行された「厚年法等改正法」で対応をすることとしております。

具体的な対応としては、対象者または対象見込者に対してこの問題の旨を知らせる通知をしています。もし、お手元に届いた場合は、すみやかに「特定期間該当届」と呼ばれる書類を届出してください。

もし、正しい第3号被保険者期間の状態であった場合でも、この問題がある以上は、一度年金事務所などに足を運んで記録を確かめてみることをおすすめします。

まとめ

第2号被保険者の配偶者である限り保険料の支払いが不要という特典を得ることができる第3号被保険者ですが、不公平さが問題視されています。しかし、最近では「配偶者控除」といった年金以外の税法上の改定の話も起きていることもあって、自ら扶養を外れて第1号被保険者となるなどそのポジションに対する意識も変わりつつあるという声もあります。その動きも含めて今後も第3号被保険者の在り方を考えていく必要があるといえます。

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