介護ロボットの現状と導入課題!

介護ロボットの種類


ロボットと言えばSF映画や小説などでは「相棒」と呼んでも過言ではないほど、人間のように話しかけ感情をあらわにして動く存在として描かれることが多いです。現実は、まだそこまでの技術には及んではいないものの、自動車など製造業をはじめ多くの場面でロボットの導入による活躍は目覚ましいものがあります。

そして、介護の現場においても主に次のようなタイプの介護ロボットが登場するなど、その波が押し寄せつつあります。

介護者の介護業務を助ける介護支援型


介護者を介護する職員に対するアシストの役割を果たすロボットで、主に次の場面で活躍が期待されています。

● 食事
● 排せつ
● 入浴
● ベッドでの介助
● 見守り

基本的に職員は介護者を抱きかかる介助を行うことが多いですが、その際に腰への負担もかかり腰痛などを引き起こす恐れがあります。また、介護者が就寝中に万が一のことがあったときや、ベッド上での介助のときに職員がうっかり力を抜いてしまって身体を支え切れずにケガをさせてしまったといったことも想定しなければなりません。

そういった職員だけでは対応しきれない状況に対して、介護支援型の介護ロボットは心強い味方となるでしょう。

要介護者の自立を補助する自立支援型

介護者へのリハビリや歩行といった自立支援の役割を果たすロボットで、主に次の場面で活躍が期待されています。

● リハビリ行動
● 移動

基本的に介護者は、まだまだ筋肉のバランスや筋力が足りず思うように行動することができません。その介護者に対して、筋肉に電気刺激を与えて麻痺した部分の動きを補助するロボットなどがあります。介護者にとっても、今まで他者に頼んでいたことが自分でできるようになることが精神的な負担軽減に繋がります。

利用者とのコミュニケーション・セキュリティ型


最近、注目されているタイプがコミュニケーション型とセキュリティ型ロボットです。

これはそれぞれ次のような役割を果たすロボットです。

● コミュニケーション型ロボット:介護者とのコミュニケーションの役割
 介護者は他者からの助けがないとなかなか身体を動かしたりすることができず、精神的に塞ぎがちになる恐れがあって、その打開策として人工知能(AI)を搭載して人とのコミュニケーションを図ってくれるコミュニケーション型ロボットの出番となる
 主にゲーム、体操、その他折り紙や楽器の演奏などを展開して介護者の心のケアに努めてくれる

● セキュリティ型ロボット:介護者への監視や見回り
 介護者の中には認知症といった症状による徘徊の恐れを持った方や、一人暮らしで周囲に介護をしてくれる家族がいない高齢者も多数いるが、それに対する監視や見守りとしてセキュリティ型ロボットの存在が期待をされている
 このロボットの活躍エリアとしては、自宅はもちろん、介護老人福祉施設など多数の高齢者が生活を送っていることが多い施設など広範囲にわたる

介護ロボット導入の課題

介護ロボットには介護の現場の改善など大きな期待が寄せられていますが、それに伴う課題も次の通り多く抱えています。

導入コストの高さ

介護ロボットを導入したい関連施設は多いものの、やはりその導入する際のコストがネットなっています。現在購入できる介護ロボットを見ると、1万円台から10万円台のものからさまざまな価格で販売されています。中には100万単位するマシーンも珍しくもありません。

そのため「導入したいが高いという理由によって断念せざるを得ない」となります。その結果「結局現場の職員に負担をかけさせることになる」という悪循環を発生させています。

冷たいイメージ

介護マシーンは名称の通りあくまで「機械」です。そのため、人のぬくもりというものがありません。あくまで組み込まれたプログラムに従って忠実に実行する存在です。

ただ、それが高齢者にとっては精神的なゆとりを感じられないといった声もあります。

現在の介護ロボットが、人間のようにあらゆる思考と行動力を持っているわけではなく、単一の行動しかできない状態を解決させない限り、この問題はなかなか解決することは困難です。映画でも描かれてきた「人間のような感情溢れるロボット」に向けて日々技術は進化しているものの、それが実現するのはまだまだ先の話といえるでしょう。

使い勝手の悪さ

せっかく高いコストを乗り越えて導入しても、肝心の操作が上手くいかず結局人の手で現場の仕事を進めてしまう事態も問題視されています。各メーカーが自信をもって導入した技術が、必ずしも現場では活かされたとは限らないということです。また、一定の介護ロボットの種類によっては大型化してスペースも必要になるものもあるため、その点も解決しなくてはなりません。

そのため、各メーカーは「導入コストが低く介護者の補助ができるほどの力を持ってかつ操作も簡単にできる小型の介護ロボット」の開発が求められています。

信頼性の不安

「介護ロボットを導入することで逆に工数が増えて負担が大きくなる」といった信頼性の不安の声もあります。また、それに対する介護保険や補助金といった国の制度の対応がまだまだ不安定であるとしてやはり同じような声もあります。

そのため、2015年度に「介護ロボット等導入支援特別事業」と呼ばれる厚生労働省によって実施された支援事業があります。しかし、これもまたすでに終了していて思った以上の成果は得られていないです。

導入によるメリットをより多くの方々に認知してもらう取り組みが求められています。

介護ロボット利用のメリット


介護ロボットは色々と問題を抱えながらも次のメリットも持っています。

人手不足が深刻な介護現場の負担軽減

厚生労働省の発表している「介護労働実態調査」の2016年度版によれば、職員の実態に関する次のことが分かっています。なお「( )」の数字は前年度のことです。

● 従業員の過不足
 不足感(大いに不足+不足+やや不足):62.6%(61.3%)
 適当:37.0%(38.2%)
● 不足している理由
 採用が困難である:73.1%(70.8%)
 事業を拡大したいが人材が確保できない:19.8%(20.3%)
 離職率が高い:15.3%(15.8%)

これが起きている主な原因としては次のようなものがあります。

◎ 賃金が低い:57.3%(57.4%)
◎ 仕事がきつい(身体的・精神的):49.6%(48.3%)

このように過酷な現場であることが数字からでも分かります。しかし、悲観しがちな実態に反して次のようなデータもあります。

◎ 仕事を選んだ理由:働きがいのある仕事だと思ったから:52.4%(52.2%)
◎ 仕事(職種)・勤務先に関する希望
 今の仕事(職種)を続けたい:53.7%(65.5%)
 今の勤務先で働き続けたい:56.5%(57.5%)

このように、高い離職率以上に「やりがいがあって働きたい」と考えている声もまた多いことが分かります。

つまり、現場の状況を少しでも改善をすることでそれが実現できる可能性もまたあるといえます。そのための起爆剤としても介護ロボットを導入することが重要です。

肉体的労働の軽減

やはり職員にとっては、介護者の介助、重い器具の運搬、巡回での見回りなどの肉体的労働が、介護ロボットを導入によって軽減できることが期待されています。慣れている職員とて、毎日の労働を続けていくことで疲労とストレスが蓄積されていきます。それを少しでも和らげるためにも介護ロボットの存在が大きくなってきます。

介護者の精神的負担の軽減

「職員が全て対応しきれるわけがない」と分かっているため不安で仕方なくて精神的な負担を持つ介護者も多数います。そんな中で介護ロボットが見回ってくれることにより「介護ロボットがいるから安心」と規則正しい生活リズムを送れることが期待されています。

介護の未来

介護ロボットも登場によって介護の未来も次の通り変わりつつあります。

介護ロボット産業の発展

安全性、必要性、導入コストなどの観点から課題を多く抱える介護ロボットですが、慢性的な人材不足もあって頼らざるを得ない状況は避けられません。幸い、時代の波に応えるように、各メーカーや大学などの研究機関での研究開発が日々進んでいる事実があること、介護ロボットの見本市も定期的に開催されていること、そして国が介護ロボットの開発を重点分野としていることといった追い風もあって浸透していくことが十分予測できるでしょう。

なお、現在、アシストだけでなく心のケアも兼ねたロボットなども開発中です。さまざまな介護ロボットの登場に期待しましょう。

介護ロボットと人との分業

現場の職員からは「介護ロボットの登場によって仕事がなくなるのでは?」と懸念する声もあります。しかし、猫の手も借りたいくらいの過酷な介護の現状があるからこそ介護ロボットの存在が注目を集めている以上、考え方を「人と機械、それぞれでしかできないことを分業化させて負担を軽くして少しでも明るい介護の現場を作る」と変えてみることをおすすめします。

介護ロボットの介護保険給付制度の整備

介護保険制度は厚生労働省が逐一見直しを図っていますが、その中で「介護ロボット開発等加速化事業」と呼ばれる事業(2017年度の予算は3億円)があります。

これは「介護ロボット等の開発・普及について、開発企業と介護現場の協議を通じ着想段階から現場のニーズを開発内容に反映、開発中の試作機へのアドバイス、開発された機器を用いた効果的な介護技術の構築など、各段階で必要な支援を行うことにより、加速化を図る」という目的があります。

要約すると「介護ロボットを開発段階からさまざまな意見を基に進めて、なるべく現場のニーズにマッチングしたロボットを作っていく」ということです。

まだまだ関係者程度しか認知されていない事業ですが、国も介護ロボットを普及させるための取り組みを本格的に進めています。今後もこの事業を始め国の介護保険制度の体制の動向に注目していきましょう。

まとめ

介護ロボットのタイプ、現況と課題などを紹介しました。機械である以上、人間とは異なる概念と対応が求められますが、介護の現場は慢性的な人材不足に悩まされています。少子高齢化もあって受け入れなければならない高齢者は増える一方で、その受け手が不足しているため、満足なサービスを提供できない施設も多いです。その悪循環を打開できる秘策として介護ロボットの存在があることを認識しましょう。

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