よくある遺産相続トラブルは?

遺産が原因で遺族同士が対立を深める遺産相続トラブルは、テレビドラマや映画の世界だけではなく、現実にも起こり得ることです。骨肉の争いをして被相続人の遺産に対する想いを不意にしないためにも「争族」となることは絶対に避けたいところです。そのため、今回はそんな遺産相続トラブルの現状と具体的な対策などについて紹介します。

遺産相続のトラブルは年々増え続けている


遺産相続トラブルの件数は、下記の通り年々増加しています。

・平成12年:約9万件
・平成24年:約17万件

さらに、遺産分割審判の数は10年ほどで約30%増加し、平成25年度で1万2,000件以上になっています。

よくある遺産相続トラブルは?


よくある遺産相続トラブルを紹介します。

相続財産の内容が不透明な場合

「そもそも相続するべき遺産の内容が分からない」といった不透明さによって、トラブルになる場合があります。相続人同士を疑心暗鬼にさせて対立するだけでなく、相続内容が分からないため動けないといった混乱を招く恐れがあります。

そのため、被相続人は生前に遺言書や財産目録などを作成しておき、死後のトラブルを回避または最小限に食い止める必要があります。

遺言の内容が偏っている場合

偏った遺言によってトラブルになる場合があります。遺言がない場合は相続人同士で遺産分割をすることになりますが、そこで起きる遺産トラブルを防止するため通常は遺言書を作成することが珍しくありません。しかし、これに偏りがあることで新たな遺産トラブルを招く恐れがあります。

具体的な例としては「兄弟姉妹以外の法定相続人に認められている最低限の相続分」である遺留分に対して、遺言に偏りがあったことでそれが侵害されたと判断して遺留分減殺請求をした相続人と侵害していると判断された相続人との間でトラブルが発生してしまうといったことが挙げられます。

もし、被相続人が遺言書を作成する場合、法定相続人の遺留分を侵害しないように配慮することが求められます。

隠し財産がないか相続人同士で疑う場合

相続人が他の相続人に対して隠し財産を持っていると疑うことでトラブルになる場合があります。例えば、相続財産には預貯金も対象となりますが、その残高がほとんどなかった場合「他の相続人が口座から引き出しや隠している」と疑うことが挙げられます。

このようなトラブル防止にためには、被相続人が生前に相続内容を明らかにすることです。前述でも挙げた財産目録の作成はこういう場合でも役立つことでしょう。

生前贈与が行われている場合

よく特定の相続人に対して財産を贈与する「生前贈与」が行われますが、この財産を遺産に含めて計算する場合で何が生前贈与に該当するのか、どういった評価がされるのかを巡ってトラブルとなる場合があります。

このようなトラブル回避のためには、詳細をはっきりさせることを前提として、バランスを崩すほどの生前贈与を行わず、仮に行う場合にしても相続人らに対して不公平な内容にしないという配慮をしましょう。

長男が遺産を相続するという考え方をもっている場合

長男が「一家の長男だから」と言う理由で遺産を相続して、他の相続人と対立をしてトラブルになる場合があります。これは、「家督相続」と呼ばれる「被相続人である戸主が亡くなった時は長男のみで全ての遺産を相続する」という内容の旧民法が、明治31年7月16日~昭和22年5月2日までの間に施行されていたことによる名残とも言えますが、現代においては不釣り合いな考え方でしょう。

ただし、兄弟間で話し合によって解決させることは困難なことが予想されるため、やはり被相続人が作成する遺言書の存在などで、相続人による遺産分割協議を回避させるのが一番です。

相続人に行方不明者がいる場合

何らかの事情で相続人に行方不明者がいることでトラブルになる場合があります。例えば、相続者全員の合意がないと行うことができないから遺産分割協議が挙げられます。

そのため、家庭裁判所に対して失踪宣言の申立てをしますが、これは一般的に申立てをしてから1年ほどかかります。よって、相続をすることで発生する相続税の納付期限(相続があったことを知った日から10か月以内)には間に合わず、行方不明者となっている相続人の代わりに財産を管理する不在者財産管理人を選出して遺産分割協議に進むのが一般的です。これもまた家庭裁判所にて申立てする必要があります。

ただし、行方不明者が現れた場合は、失踪宣言の取り消しを申立てることで相続権が復活することに注意しましょう。

相続人が認知症の場合

認知症の相続人がいることでトラブルになる場合があります。認知症になっているとはいえ相続人である以上は除外できない上、所定の代理人を立てて遺産分割協議しなければ、協議が無効とされることになります。当然、勝手にその方の署名や押印もできません。

そのため、その所定の代理人を立てる「成年後見制度」という制度を利用することで、彼らに不利益とならないように配慮をすることになります。

なお、代理人は本人の状態に応じて下記の種類に分けられます。

・精神上の障害により判断能力が不十分な者→補助人
・精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者→保佐人
・精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者(常に判断能力が失われている状態の者)→後見人

これは医師による診察結果等に基づいて家庭裁判所が判断することになります。

被相続人に負債(借金)がある場合

相続は何もプラスになる資産だけではありません。負債(借金)と言ったマイナスの資産すらも受け継ぐことになります。そのため、それを巡って相続人が苦悩してトラブルになる場合があります。

対策としては、相続自体を放棄する「相続放棄」の利用が挙げられます。ただし、これは他のプラスになる資産すらも放棄するため注意が必要です。他にも、相続財産の範囲内でのみ負債を相続する「限定承認」という制度もあります。

いずれにしても、どちらを利用するのか、そもそも利用する有無があるのかを判断するためにも、まずは現状の被相続人の負債状況を調査と相続人同士の協議などを行っていきましょう。

遺産分割調停5000万円以下の案件が76%をしめる

遺産分割調停の焦点となる遺産総額ですが、平成27年度の司法統計「遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)―遺産の内容別遺産の価額別―全家庭裁判所」によれば下記の通りです。

・算定不能・不詳:298件(3.7%)
・5億円を超える:34件(0.4%)
・5億円以下:594件(7.3%)
・5000万円~1億円:1,039件(12.8%)
・1000万円~5000万円:3,565件(43.8%)
・1000万円以下:2,611件(32.1%)
合計:8,141件

この統計データから、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件のうち、そのほとんどが5000万円以下の遺産総額の家庭が大半を占めていることが伺えられます。実は相続争いは、お金持ち以上に一般の家庭が対象となりやすいことということです。

遺産相続でトラブルになった場合の流れ

仮に遺産相続トラブルが発生した場合の流れを紹介します。

遺産分割協議で話し合い

遺産分割協議が最初に行われます。ここでお互いの過度な主張がされれば円満に解決ができないため、相続人同士が歩み寄る姿勢が重要です。なお、遠方在住などの理由で協議参加が困難な相続人がいる場合、書面といった手段も考えましょう。遺産分割協議自体は相続人全員が参加しなければならないものではあるものの、幸いなことに「その場に全員居合わる必要はないもの」であるからです。

協議会で決定できない場合は遺産分割調停

遺産分割協議で解決できない場合は、いよいよ調停や裁判といったことに発展します。なお、その場合はいくつか書類を準備する必要があるため、事前に必要な書類が何かを把握しておくことをおすすめします。

トラブルを防ぐためにも専門家へ相談がおすすめ


裁判所が絡むようなトラブルになれば当然、弁護士などの専門家に相談することも考えましょう。遺産分割調停には、弁護士がなくてもできますがやはり依頼することが多いです。なお、弁護士にも色々得意不得意があるので、相続に関して特に専門的に行っている弁護士を探すことをおすすめします。

まとめ

遺産相続トラブルに関することを紹介しました。今まで相続のトラブルが起きないと言われていた一般的の家庭からの相談が増加しているデータもあって、今やどの家庭であっても、被相続人と相続人共に生前のうちに対応できる範囲で対策を打っておくことが求められます!

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