税金の基礎控除について。所得税、住民税、贈与税の基礎控除額は?

年末調整や確定申告を行う際に、収入によって税金の額が変わってくることはご存知だと思いますが、誰でもできるだけ低く抑えたいと考えるものです。税金にも様々なものがあり、納税者なら無条件に差し引くことができる所得控除に基礎控除があります。各種ある所得控除の中でも人的控除の一つとされており、所得税や住民税だけでなく、贈与税や相続税にも定められています。そこで今回は、税金の基礎控除について詳しく紹介していきます。

基礎控除とは?


税金の種類には様々なものがあり、良く知られている税金に所得税、住民税、贈与税などが挙げられます。これらの税金を計算する際には収入から差し引くことができ、税金を安くできる制度の基礎控除が設けられています。基礎控除とは、納税者なら誰でも無条件で同一の金額を適用できるもので、適用を受ける為の特別な手続きはありません。所得税の基礎控除は38万円と定められており、サラリーマンを始めパート・アルバイトなど雇用形態に関わりはありません。また、専業主婦及び学生、フリーランスで働いている場合も同様に適用され、基礎控除があることによって、パートやアルバイトなどの給与所得者の場合は103万円以内であれば税金が掛からなくなっています。

住民税は、居住地の都道府県と市区町村に納める税金を合計したもので、サラリーマンの場合は毎月の給料から天引きされ、前年分の税金を翌年の6月から雇用者が本人に代わって支払う後納が一般的です。住民税にも基礎控除が適用され、一律で33万円と定められています。

贈与税は、一般的に個人から贈与された財産の移転に伴って課税される税金を指します。生前贈与という場合もあり、計算方法は財産の種類によって複雑となりますが相続税法に基づいて課税されることになっています。贈与税は、1年間で贈与を受けた財産の額が110万円以上になる場合に、超えた部分の金額に対して課税され、それ以下の場合は特に申告などの手続きは必要ありません。従って、贈与税の基礎控除は110万円までと定められています。このように、基礎控除の金額は各税金の種類によって違いがあります。

所得税の基礎控除額


毎年、納税者全員に課税されるのが、所得税と住民税です。所得税の場合は、確定申告や年末調整で計算され、過不足があった場合はそこで調整されます。所得税の基礎控除額は、一律で38万円と定められており、これによって所得が38万円以下の場合は税金が掛からなくなっています。また、給与所得控除が設けられており、サラリーマンやパート・アルバイトの場合で、年間収入が103万円では65万円の控除が受けられます。この控除は、必要経費という意味合いが大きく、65万円以下であっても65万円と見なされ税金が減額されます。給与所得控除は、年収によって控除額に違いがあり法律によって定められています。

所得税の計算方法は、年間収入にそのまま課税されるのではなく、収入から基礎控除及びそれぞれ個人によって適用される様々な所得控除を差し引いた額に課税され、この金額が所得税を計算する際の基礎となります。税金を計算する場合の基礎となる所得は課税所得と言われ、所得控除の種類も多種類ありますので、申告する際には注意が必要です。所得控除の種類としては、医療費控除の他、生命保険、地震保険、社会保険料控除があり、人的控除として差し引くことができる控除には、配偶者控除や配偶者特別控除、障害者控除などがあります。

上記の他にも、住宅ローン控除や退職所得控除など多種類の控除が受けられる場合がありますので、適用されるかどうか確認の上、申告することで節税が実現します。

個人事業主の給与所得控除

フリーランスを含めた個人事業主の場合は、サラリーマンやパートなどの給与所得者とは控除を受けられるものに少し違いがあります。給与所得者と同様に年収に応じて給与所得控除が決定されますが、その控除額は以下のようになっています。

年収が180万円以下の場合:年収金額 × 40%(年収が65万円に満たない場合には65万円)が控除
年収が180万円超 360万円以下の場合:年収金額 × 30% + 18万円が控除
年収が360万円超 660万円以下の場合:年収金額 × 20% + 54万円が控除
年収が660万円超 1,000万円以下の場合:年収金額 × 10% + 120万円が控除
年収が1,000万円超 1,500万円以下の場合:年収金額 × 5% + 170万円が控除
年収が1,500万円超の場合:245万円(上限)が控除

給与所得控除の他に、一般の給与所得者と同様の控除が受けられますが、それに加えて申告の方法によって控除が受けられます。個人事業主の場合は、確定申告の方法に青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告は帳簿の記帳や決算書の作成が義務付けられており、この一連の義務を果たすことで65万円の控除が受けられるメリットがあります。この申告をする為には、税務署に申請書を出しておく必要がありますので、やっておくと税金の軽減に役立ちます。

フリーランスにとってもう一つ見逃せない控除が「小規模企業共済掛金控除」です。個人事業主や小規模企業が加入する、共済や個人年金の掛け金を支払った場合に受けられる控除で、その年に支払った掛金の全額が控除できますので、支払いがある場合は忘れないようにしましょう。また、控除できるメリットを利用して加入しておくと安心かも知れません。フリーランス特有の控除を上手く活用しましょう。

住民税の基礎控除額


所得税と並んで、納税者が負担しなければならない税金に住民税があります。住民税は、都道府県税と市区町村税の合計で請求され、サラリーマンやパートなどの給与所得者の場合は、毎月の給与から天引きされるのが一般的です。

住民税も所得税と同様に基礎控除が定められており、一律で33万円となっています。給与所得者の場合は本人に代わって会社が納めることになっており、この制度を「特別徴収」と言います。また、会社を退職した時やフリーランスの場合は、納税通知書によって本人が納めることになり、これを「普通徴収」と言います。普通徴収の場合は、1年分を一度に支払う全納と、6月、8月、10月、翌年の1月に分けて支払う分納があり、支払う本人が自由に選択できるようになっています。

住民税は、毎年1年間の収入から基礎控除及び所得控除を差し引いた課税所得を基に計算され、翌年に納税通知書が届いてから納めることになっています。会社を退職した場合でも、前年に収入があった場合には、納税しなければいけませんので十分に注意しましょう。住民税も基礎控除と合わせて多種類の所得控除が受けられるようになっており、所得税とは基礎控除の金額に違いはあるものの、所得控除の種類や条件はほとんど同じですので、控除を忘れないようによく確認しましょう。

贈与税の基礎控除額

持っている財産を贈与する時に課税されるのが贈与税ですが、相続税と混同しがちで分かりにくのが難点です。相続税は、被相続人の死亡によって引き継がれる財産に課税されるのに対して、贈与税は個人の贈与によって生じた財産に課税されます。遺贈かどうかが分かれ目となっているようですが、一般的に贈与税は税率が高くなっていますので検討する場合には注意が必要です。贈与税にも基礎控除枠が設けられており、一人当たり110万円までと定められています。

1月1日~12月31日までの1年間に取得した財産の合計で計算されますので、贈与された財産の1年間の合計が110万円までの場合は税金が課税されないということになります。また、条件によって贈与税が掛からなくなる場合があります。その内容は以下のようになっています。

1.日常生活に必要な生活費や教育費
2.社会通念上相当と認められる範囲の祝儀や見舞金などの冠婚葬祭における金品
3.婚姻20年以上の夫婦の間で贈与した居住用不動産(2000万円まで)
※贈与税の配偶者控除とされ、基礎控除の110万円とは別に控除が受けられます。同一の配偶者間では1回のみの適用です。
4.離婚時の財産分与

その他にも、様々な非課税措置がありますので、専門機関に相談してみると良いでしょう。

暦年課税の場合

贈与税の課税方式には暦年課税と相続時精算課税の2種類の課税方式があります。暦年課税は、相続税から逃げられないようにするという目的があり、贈与を受けた人が1年間に貰った財産の合計が基礎控除である110万円から超えた部分に対して課税されるものです。

その年の1月1日から12月31日までの1年間でカウントされ、子供や孫などの親族だけでなく、誰でも非課税対象とできる点が大きなメリットで、第三者からの贈与も含まれます。税額はその時点の時価で計算され、税率は10%から55%の8段階に分けられています。

相続時精算課税制度の場合

相続時精算課税制度は、平成27年に新しく改正され、一定の条件を満たせば2,500万円までは非課税で贈与ができる制度です。

相続税と贈与税を一本化する目的で設けられた制度で、生前贈与を行った方が亡くなった際に、贈与財産の価格と相続財産の価格の合計金額を基に相続税を課税します。税率は一律20%となっており、相続税額を超えて納付した場合には贈与税は後日還付され、2,500万円と非課税枠が大きくなっていますので、一度に大型の贈与が可能となるなどのメリットがあります。

相続時精算課税制度の条件や内容は以下のようになっています。

1.贈与する側の年齢は60歳以上、贈与を受ける側は20歳以上の推定相続人(子)及び孫
2.贈与者毎、受贈者毎に選択が必要で一度選択すれば、相続時まで適用される
3.課税時期はその時点の時価で算定
4.控除額は2,500万円まで(限度額まで何回でも使用可能)
5.贈与財産の種類に制限無し
6.贈与した財産を贈与時の相続財産に合算

相続税は贈与者が亡くなった場合のみ課税されるもですので、いつ発生するか予想が付かないといった面から事前に対策を考えることが難しくなりがちですが、贈与税に関しては、タイミングに合わせて上手にコントロールし計画を立てておくことで節税にも繋がります。

まとめ

税金を払うことは国民の義務ですが、できるだけ納税金額を押さえておきたいと思う方が少なくないのではないでしょうか。納税を正しく行うには、控除を始めとした税金の知識を高めておくことが大切ですし、せっかくの制度を上手に活用しない手はありませんので、控除の対象になるものを忘れないようにきちんと整理して税金を納めましょう。

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