相続放棄に関する基本情報!手続方法や注意点は?

相続問題で悩んでいる人は数多くいますが、それは相続するものが、相続人にとっていいものばかりではないからです。亡くなってから借金などの債務があったことを知った場合、誰でも相続したくありません。そんな時は、相続する全ての権利を放棄する相続放棄が有効です。以下では相続放棄に関する基本情報として、手続方法や注意点についてまとめているので、参考にしてみてください。

相続放棄とは


相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないというものになります。つまり相続放棄をしてしまえば、被相続人の借金やローンなどの債務を、引き継ぐことはなくなるということです。亡くなって相続が発生した場合は、この相続放棄と、相続人が被相続人の権利や義務全てを受け継ぐ単純承認、相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認から、相続人は選ぶことができます。相続放棄を申述する人は、申述人と呼ばれ、基本的に申述人は相続人になります。なお、相続人が未成年者または、成年被後見人の場合は、法定相続人の方が代理で申述するようになります。他には、未成年者と法定代理人が、共同相続人で、未成年者のみが申述するときや、複数の未成年者の法定代理人が、一部の未成年者を代理して申述するときは、未成年者について特別代理人を選ぶ必要があるパターンがあります。

相続放棄のメリット

相続放棄をすることによって発生するメリットは、相続によって相続人が不利益を被ることを防ぐことです。不利益とは、借金などマイナス財産の相続などを指します。相続放棄をすれば、被相続人の資産や借金や債務などの負債は、次の順位の相続人の中で、単純承認した相続人が受け継ぐことになります。そのため、相続放棄をした人は、何もすることはなくなります。ちなみに相続人の全員が相続放棄した場合はどうなるのでしょうか?全員が相続放棄するので、資産と負債は家庭裁判所が選任した相続財産管理人が管理することになります。管理人は資産を換金して、借金や債務の返済を行います。住んでいる自宅も含めた財産を処分して、債権者への配当にして、余った分は国庫に納めるようになっています。相続をすることで、借金を相続して、自分の不利益になることを避けるなら最適な方法と言えます。

相続放棄のデメリット

反対に相続放棄した場合に発生するデメリットとは、一体どんなことがあるのでしょうか?デメリットは、財産調査をしっかりしておかないと後になって損をするということです。マイナスの財産ばかりしかないと思っていて、後からプラスの財産が見つかっても、一度相続放棄をすると相続権はなくなるからです。プラスの財産とマイナスの財産があって、相続放棄をするか迷う場合や、マイナスの財産の金額がいくらか分からない場合は、相続放棄の手続きが向いていないこともあります。マイナスの財産がプラスの財産より多いなら、相続放棄は賭けではありませんが、反対だった場合はかなりの賭けをすることになるからです。そういった場合は、相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認という手を使うこともあります。また、一度相続放棄をしてしまえば、相続権はなくなってしまうので、相続放棄を撤回して相続することは不可能になります。

相続放棄をするまでの期限は?

相続放棄をするまでの期限は、相続があったことを知った日から3ヶ月以内と決められています。以下では相続があったことを知った日から3ヶ月以内という期限について、3ヶ月以上過ぎてしまった場合について、詳しく説明したいと思います。3ヶ月というのは、結構短い期間なので、疎遠にしていた親が亡くなったりした場合、多額の借金を背負っていたことを知らないこともあります。また、様々な事業を展開していたりする人が亡くなった場合、財産状況が複雑で、多すぎて財産の調査に時間が掛かるという事情もあります。意外と相続放棄に期限があることを知らない人も多くいるので、期限内に相続放棄をするかしないか決めて実行にうつしたいものです。ルールが複雑になることもあるので、自分だけでは手続きが無理という方は、弁護士などの法律のプロにお任せする方法もあります。

相続があったことを知った日から3ヶ月以内


相続放棄の期限は、民法第915条の承認・放棄の期間で定められています。民法には「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」とあります。期限を守るためには、3ヶ月という期限を必ず守るという意思と、債務通知が届いたら放置しないことを実践してみてください。相続放棄の期限が過ぎてから、全員がその期限を延長できるとは限らないので、期限を守ることは重要なのです。また、債務通知が届いて、それをそのまま放置してしまう人がいるので、絶対に放置しないようにします。債務通知が届いたということは、債務の存在を知ったということになります。債務通知があったのに、相続放棄をしないとなれば、相続放棄の期限を守れなかった相当の理由にはなりません。債務は誰にとっても嫌なものですが、なかったことにはできないので、放置せずに対応しましょう。

3ヶ月以上過ぎてしまった場合は?

相続放棄の期限である3ヶ月以上を、過ぎてしまった場合は、原則として、期限切れになったら、全ての財産を相続しなければなりません。ただし、「相当の理由」があれば、延長可能で、遺産の状況を知ってから3ヶ月以内であることを立証できればよいとされています。家庭裁判所が延長可能か、またどれくらい延長するかを決定します。この延長された期間を使って、借金や保証人になっていなかったかなどを調べた上で、相続するのか相続放棄をするのかを決定することができます。ちなみに相当な理由というのは、死亡した時に財産調査をしたのに借金が分からなかった、借金の存在を知ってからまだ3ヶ月たっていない、死亡した後に相続財産を処分していない、などになります。相当な理由に加えて、きちんと期限を延長してもらう書類を用意しなければなりません。そのためできるだけ期限内に手続きを終えることが望ましいのではないでしょうか。

相続放棄の期間の伸長手続きについて

相続放棄の期限を延長するには、手続きをする必要があります。その手続きは、相続放棄の期間の伸長手続きと呼ばれます。相続放棄の期間の伸長手続きをする申立人は、相続人や利害関係人、検察官などです。そもそも、どうして相続放棄の期限を伸ばすことができるのかというと、遺産状況として資産や負債がどのくらいあるのか、全く知らずにいたならば、相続放棄をすること自体検討できるはずがないからです。検討できないとなれば、相当な理由として認められて、期限を延長できることに繋がります。相当な理由として認められないのは、同居していた方が亡くなったときになります。それは同居していれば、借金があるかないかは分かるだろうという判断があるからです。以下では、相続放棄の期間の伸長手続きする上で必要になる書類、書類を提出する先、手続は相続放棄専門の司法書士に依頼がおすすめということについて、詳しく説明したいと思います。

必要書類

相続放棄の期間の伸長手続きに必要な書類を紹介します。まず、伸長を求める相続人の戸籍・期間伸長の申立書・被相続人の住民票除票または戸籍の附票です。相続人の戸籍は、本籍地の役所で取得するようにします。取得する方法は、本人が窓口で取得する、親戚や知人などの代理人が窓口で取得する、郵送請求を利用するなどの3つの方法から選べます。申立書は裁判所のウェブサイトにありますので、利用してください。申立書の名称は家事審判申立書というもので、申立ての趣旨・申立ての理由などを記入します。次に必要な書類は、被相続人の住民票除票または戸籍の附票です。住民票除票は、住民票が存在する市町村から、転出届や死亡届が提出されることにより、住民登録が抹消されますが、その抹消された住民票という意味になります。住民票除票は一般的な住民票と同じ方法で取得可能です。次に戸籍の附票ですが、住所の移転履歴を記録したものになります。こちらも一般的な戸籍謄本と同じ方法で取得することができます。

書類を提出する先

相続放棄の期限を延長してもらうために、家事審判申立書や添付書類を用意したら、どこの家庭裁判所に提出するのでしょうか。それは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。管轄の家庭裁判所は裁判所のウェブサイトでも検索できるので、アクセスしてみてください。裁判所のウェブサイトには、分かりやすく都道府県名が掲載されているので、被相続人の最後の住所地を都道府県名から探すことができます。管轄区域一覧として、高等裁判所の本庁・支部、地方・家庭裁判所の本庁・支部・家裁出張所、簡易裁判所、合議事件、少年事件、検察審査会が、掲載されているので探してみましょう。

手続きは相続放棄専門の司法書士に依頼がおすすめ


相続放棄に関係する手続きについて、ここまで紹介しましたが、自力では膨大な書類を用意したり、相続放棄のルールについて深く勉強したりすることは困難です。自力でやって、結局、相続放棄の期限内3ヶ月に終わらなかったというのでは、シャレになりません。そんな手続きは、相続放棄専門の司法書士に依頼してみては、いかがでしょうか?司法書士に依頼すれば、戸籍の収集や申立書の作成をしてくれるので、面倒なことは一切なくなります。また、相続放棄のプロと言える司法書士に、相続放棄で分からないことを教えてもらえるので、便利です。司法書士に依頼することが初めての場合、緊張してしまいますが、無料相談やお問い合わせを事前にすれば、不安なく利用できます。まずは相続放棄専門の司法書士のウェブサイトを検索して、無料相談に申し込んでみてください。

相続放棄に関するよくある質問

相続放棄は、ただ必要な書類や印鑑を用意すれば、受理されるものではありません。申立人の立場も違いますし、被相続人の状態も違うので、その状態に合わせて相続放棄の手続きを進めていかねばなりません。ここでは、相続放棄に関するよくある質問について紹介したいと思います。相続放棄しても生命保険はもらえるのか、相続放棄は生前にできるのか、相続しないために生前にできる対策はないのか、遺留分を放棄してもらえるのか、相続放棄の手続は自分でやらないといけないのか、などがあります。他にも、相続放棄にどれくらいの費用が掛かるのか、相続放棄が認められたら証明書はもらえるのか、相続放棄手続きを行う管轄の裁判所はどこなのかなど、多く寄せられるよくある質問について、以下で詳しく説明したいと思います。相続放棄の手続きをしていて、疑問に思っている方の役に立てれば嬉しいです。

相続放棄しても生命保険はもらえる?

相続放棄をしても、生命保険はもらえるのでしょうか?その答えは、死亡保険の受取人であれば、相続放棄しても財産として受け取れます。具体例を挙げると、亡くなったAさんに、妻のBさん、息子のCさんがいて、息子のCさんを生命保険の受取人にした場合は、息子のCさんは相続放棄をしていても、生命保険金を受け取ることが可能です。それは、生命保険の受取人が特定の相続人だった場合、相続財産には含まれないからです。生命保険金は受取人と指定された息子のCさんのものだという、考え方によって、相続財産には含まれないとなっているのです。なお、生命保険の受取人が故人本人の場合は、生命保険金が相続財産に含まれます。さらに、生命保険の受取人が相続人全員だった場合は、相続財産には含まれないため、生命保険金として受け取ることが可能です。以上のことから分かるように、生命保険金の受取人が誰であるかによって、大きく結果が違ってきます。

相続放棄は生前にできる?

それでは、相続放棄は被相続人が生きている間にすることができるのでしょうか?結論から言うと、生前に相続放棄をすることはできません。相続放棄は、相続権が発生してからする放棄の手続きであるためです。被相続人が生きている限り、相続権は発生することはないので、生前の相続放棄はできなくなっています。最近では生前に色々な手続きなどをしてしまうことが多いので、相続放棄もできるのでは?という思いの方も多いかもしれません。生前に色々するという背景には、自分が亡くなった後に家族が困らないように…という思いがあること、できるだけ自分の遺志を反映してもらいたいことという思いを持つ人が、増えてきたことがあります。そんなことから、自分らしいオリジナリティが溢れた、生前葬をする人などもいます。生前葬ができるなら相続放棄もできるのでは?と思ってしまうこともありますが、できないので注意してください。

相続をしないために生前にできる対策は?

それでは相続をしないために、生前にできる対策というのは、どんなものがあるのでしょうか。下記では具体的な対策を紹介しています。まず、被相続人に遺言書を作成してもらい、財産を相続させないようにする、遺留分を放棄してもらうという2点についてです。誰もがプラスの財産以外のマイナスの財産は欲しくありません。マイナスの財産を相続しないためにも、生前にできることはしておきたいものです。生前に相続放棄できないのであれば、生前に念書や契約書の効果によって、どうにかできないのかと思ってしまいます。しかし、生前の相続放棄は、念書や契約書によってしてもできません。例えば、生前に相続人と相続放棄を合意したとしても、ただの口約束で法的には何も効果はないので、無意味になってしまいます。それでは生前にできる対策について、詳しく解説をしていきましょう。

 

遺言書を作成してもらい、財産を相続させないようにする

最初の対策は、被相続人に遺言書を作成してもらい、財産を相続させないようにするという対策です。そもそも遺言書は、相続人同士の相続トラブルを防ぎ、自分自身の最後の意思を遺すという、大切な役割があります。遺言書の内容は、法律で定められた相続の規定より、優先されます。それでは遺言書で、相続放棄することは可能なのでしょうか?遺言書では、特定の相続人を相続させないことが可能です。相続放棄は完全ではありませんが、相続分の指定をすることができるので、できるだけ少なくすることができます。遺言書では相続分の指定ができるので、相続させたくない相続人に、相続させない遺言書を作成することができます。しかし、相続放棄させるという内容の遺言書を書いても、相続人には最低でももらえる相続分があります。それを遺留分と言いますが、次の項目では遺留分について説明したいと思います。

 

遺留分を放棄してもらう

次の生前にできる対策は、遺留分を放棄してもらうという対策です。遺留分とは、最低限受け取れる相続分のことを指します。なお、遺留分は兄弟姉妹を除いた、法定相続人に保障されています。被相続人の遺言などでも、この遺留分は自由に変更できないという仕組みですが、相続放棄の生前放棄は認められていませんが、遺留分の生前放棄は法律上で認められています。なお、遺留分の一例は下記のようになります。

■配偶者の遺留分:相続財産のうちの1/2は遺留分
■配偶者と子の場合:配偶者、子ともに1/4は遺留分
■子のみの場合:相続財産のうちの1/2は遺留分
■父親のみの場合:配偶者、子ともに1/3は遺留分
相続人が相続分の指定があまりに少ないという場合は、自分の遺留分を請求することができます。それを遺留分減殺請求といいますが、相続放棄してもらうためには、遺留分減殺請求をされないように、遺留分を放棄してもらいます。遺留分を放棄するには、家庭裁判所に放棄を許可してもらわなければなりません。そのためには申立書・被相続人の戸籍謄本・申立人の戸籍謄本・収入印紙800円分・連絡用の郵便切手を用意して、申請します。なお、連絡用の郵便切手の費用ですが、各家庭裁判所によって費用は違います。そのため、事前に家庭裁判所に連絡して聞いてみてください。

相続放棄の手続は自分でやらないといけない?

相続放棄の手続きは、自分でやることも可能ですが、司法書士や弁護士に代行してもらうことも可能です。相続の手続きをするとなって、相続の素人はやはり、分からないことがあると不安になります。そういった方は相続のプロである、司法書士や弁護士に依頼した方がいいかもしれません。インターネットには多くの情報が掲載されていて、自分でもできる気がしてしまいますが、専門家から見た場合、間違った情報が掲載されていることもあります。そのためインターネットだけを信頼することは危険なのです。費用はかかりますが、専門家に依頼した方が確実と言えます。

相続放棄にどれくらいの費用が掛かる?

相続放棄の手続きを自分で行う場合は、費用は数1,000円で済みます。司法書士に、相続放棄の手続きの代行を依頼した場合は、4~5万円ほどかかります。相続放棄期限の3ヶ月前に依頼した場合は、相談料が1時間あたり0~5,000円、申述書作成代行費用が3~6,000円程度(戸籍謄本取得・実費を含めて)、代行手数料が2~3万円程度かかります。なお、相続放棄期限の3ヶ月後では、費用がまた違います。弁護士の場合は、さらに高く10万円ほどかかる場合もあります。弁護士に依頼する時の費用は、相談料が1時間あたり0~10,000円、申述書作成代行費用が5~10,000円程度(戸籍謄本取得・実費を含めて)、代行手数料が5~10万円程度かかります。

相続放棄が認められたら証明書はもらえる?

相続放棄が認められた場合、相続放棄申述受理証明書というものを家庭裁判所が発行してくれます。これで、相続放棄したことを第三者に主張することが可能になります。相続放棄申述受理証明書は、相続放棄申述受理通知書に同封されている、相続放棄申述受理証明書の交付申請書に記入して、相続放棄の申請を行った家庭裁判所に申請すれば、発行してくれます。相続放棄申述受理証明書が必要になるのは、相続で特定の相続人が受け取った不動産の名義変更登記をする時、添付書類として、他の相続人の相続放棄申述受理証明書が必要になることもあります。例えば、相続登記をする時に、相続人が2名のうち1人が相続放棄をしたとしましょう。その場合、1名が相続放棄していることを証明するために、相続放棄申述受理証明書の添付が必要なのです。

相続放棄手続きを行う管轄の裁判所はどこ?

相続放棄手続きを行うために、書類を提出する裁判所はどこになるのでしょうか?それは、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所となります。管轄区域は裁判所のウェブサイトで、調べることができます。都道府県名ごとに一覧となっているので、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所がすぐ分かります。一覧には高等裁判所の本庁・支部、地方・家庭裁判所の本庁・支部・家裁出張所がどこか掲載されていて、一目で分かるようになっています。

まとめ

相続放棄に関係する基本情報について、詳しく紹介しましたが、いかがだったでしょうか?手続きも数多く、注意点もかなり多いので、相続の素人には難しいこともあります。そんな時はこの記事を参考にして、相続放棄をしてみてください。それでも不安な場合は、司法書士や弁護士に依頼してもいいでしょう。とにかく相続放棄をするなら、多くの情報が必要なので、この記事がお役に立てれば幸いです。

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