年金を受け取るのに必要な加入期間は?

国民年金や厚生年金といった公的年金は、日本に住む全ての人が加入しなければならないものです。納めたこれらの年金は受給資格期間と言うものが設けられており、これをクリアしなければ将来年金が受け取れない可能性があります。誰しも老後には少しでも安定した暮らしを送りたいと考えるものですが、生活に困らないためにはこの年金が大きな鍵を握っているとも言えます。では、実際に将来年金を貰うにはどの位の年数を納めなくてはならないでしょうか?今回はそんな気になる年金の加入期間について詳しく紹介をします。

必要な加入期間が25年から10年に短縮


従来は、年金を受け取るためには厚生年金の納付済み期間の他、共済組合や厚生年金に加入していた期間も合わせ保険料を納付した期間、そして保険料を免除となった場合の期間と合算された対象の期間が原則25年間は必要であるとされてきました。そして、この25年間に満たなかった場合には年金を受け取ることができなかったのです。しかし、2016年9月26日の臨時閣議によって2017年8月1日からは、今まで原則として必要であった25年間の加入期間を10年間に変更する形となりました。
実際にどの期間をクリアしていれば良いのかと言うと、具体的には年金の受給資格期間=保険料を納めた期間+保険料を免除された期間+カラ期間が10年に満たしていると年金の受け取りができます。

保険料を納めた期間

年金の受け取りに必要とされる加入期間の保険料を納めた期間と言うのは、その名前の通りで実際に保険料を支払っている期間です。その期間としては、昭和36年の4月から昭和61年の3月までの期間かつ昭和61年4月以降の国民年金第1号被保険者、あるいは第3号被保険者の期間です。この第1号、第3号とは国民年金の被保険者の種類を表します。第1号被保険者は日本に住所を持つ20歳以上60歳未満の人であり、自営業を行っている人や無職の人などが当てはまります。サラリーマン、OLなどは厚生年金や共済年金に入る第2号被保険者ですが、この第2被保険者の配偶者であり20歳以上60歳未満の人が第3被保険者となります。専業主婦、主夫の人は第3号被保険者となり、配偶者が厚生年金または共済年金を一括して支払いますので保険料を納付することはないのですが、保険料を納めた期間としてカウントはされているのです。

保険料を免除された期間


国民年金は納付が義務付けられているものですが、失業してしまい安定した収入が得られなかったり学生のために支払いが難しかったりするなど、様々な理由から年金が納められない状況の場合もあります。そのような時、年金が減額される代わりに保険料の支払いを免除する制度が設けられています。免除される額は全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除などいくつかの種類があるのが特徴です。保険料の免除については所得の基準が関わっており、例えば全額免除では(扶養親族等の人数+1)×35万円+22万円、4分の1免除は158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等と言うように、それぞれの計算式の範囲内であることとされています。そして、保険料免除の制度を利用していた場合も、年金を貰うのに必要な加入期間として含まれるのです。

カラ期間

カラ期間と聞くと今一つしっくり来ないかも知れませんが、これは年金の受け取り可能な期間としてカウントはされるものの、年金額の計算には反映されない期間のことを表しています。合算対象であるカラ期間にあたるのは、以下のケースなどが挙げられます。

1.昭和36年4月以降に20歳以上60歳未満で年金に任意加入したが、保険料が未納となった期間
2.主夫・主婦の人、障害年金を受けている人またはその配偶者などで、昭和36年4月から昭和61年3月の間に国民年金への任意加入をしなかった期間
3.平成3年3月以前には学生であり、国民年金に任意加入をしなかった期間
4.昭和36年4月以降に20歳以上60歳未満で、海外に住んでいた期間
5.65歳までに日本の永住許可を貰った人、あるいは日本の国籍を取った人で、昭和36年4月から昭和56年12月31日までに年齢が20歳以上60歳未満の日本在住であった期間

なぜ必要な加入期間が25年から10年に短縮された?

年金の加入期間が短縮されることで、国は今までよりも保険料の徴収をしやすくなると言う理由が背景にあります。そもそも、年金は積立式の貯金ではありません。自分が納付した保険料が将来戻ってくるわけではなく、年金を受け取る世代の人達に使われていきます。少子高齢化が課題となっている日本においては、年金が受け取れる年齢も徐々に先伸ばされ、若い人ほど実際に将来受け取れる金額が下がっていく状況にあります。25年間と言う長期の加入期間にプラスし、このような不公平さがあることで年金を納めることが無駄だと感じてしまう人も多かったようです。

年金を受け取れない人を減らすため

先にも挙げましたが、今までは原則として25年間の納付期間を満たさなければ、たとえ1ヶ月だけでも保険料が足りないと1円も年金は貰えない仕組みでした。しかし、この度加入期間が10年に短縮されたおかげで、国民年金を払っているにもかかわらず、加入期間不足で受け取れなかった人にも年金受給の資格が生まれるようになりました。通常、会社に勤めている場合であれば厚生年金や共済年金などは給料と一緒に天引きとなるため、従来の加入期間の25年間を満たすことはそれほど難しくはありませんでした。一方で、自営業や個人事業主といった人は自分で納付する必要があり、納め忘れも少なくなかったので、25年を満たさなかった人も多数いたのです。

10年間年金を納めるといくらもらえる?


実際に年金支払いの加入期間となる10年間をクリアした場合、受け取れる金額はどのくらいになるのでしょうか。年収500万円の会社員の場合を例にして見てみますと、10年の支払いでは年間で約46万円となりますので、月に約4万円の年金を受け取ることが可能です。もし、25年間支払い続けた場合には、年間で貰える年金が約116万円になるため、月に換算すると約10万円、40年加入していた場合では年間額が約185万円、月に約15万円が貰えます。また、年収400万円のケースでは10年の支払いで月に約3万5千円、25年の支払いでは月に約8万7千円が受給できます。

10年に短縮する事で年金受給者はどれだけ増える?

専門家の見立てによりますと、10年に短縮をすると新しく年金の受給資格を得られる人がなんと64万人も増えることが想定されています。当初の段階で調査した結果では、約17万人に上ると言われていたのですが、団塊の世代も年金を受け取る側に入ることになるため、対象者となる人数が大きく増加したと言われています。こうした64万人の年金受給者へ支払いが行われた場合、約650億円の国費が必要になります。

まとめ

年金の加入期間を解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?このように年金受給に必要な期間のハードルが下がったおかげで、25年に満たなかった人も救済されます。しかし、年金だけでは安定した生活を送るのは難しい状況にあるのは変わりませんので、普段から老後のための資金準備を行っておくことが重要となるでしょう。

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