退職所得を確定申告したほうがいい場合は?申請方法とは?

長年勤めていた会社を定年等によって退職すると支給されるお金と言えば退職金です。苦労を重ねてきた労働者としての最後のご褒美につい気持ちが浮かれる人もいるかと思います。これからは年金以外の老後の生活基盤を作るためにもこのお金で思い描いていた目的を果たそうとするのも当然考えられるでしょう。しかし、この退職金に対して、「退職所得」と呼ばれる税金が発生します。この退職所得ですが、どうやって納税することになるのか、その納税金額はどうやって算出されるのかといった疑問を多くの人が抱いているのではないかと思います。自分たちの生活の維持や拡大のためにも、その辺りのことも勉強しておく価値がありそうですよね。そこで、今回はその退職所得と確定申告の接点を紹介します。

退職所得とは


退職所得に関して簡潔にポイントをまとめたので下記に記します。

退職所得の定義

退職所得とは所得税の区分の一つです。所得税とは「所得(つまりは収入)」に対して発生する税金のことです。退職金に対しては、「退職所得」が適用されます。

退職所得の変動

退職金の金額と勤続年数によって、退職所得の金額が異なることに注意してください。

退職所得控除額の利用

退職金を受け取ることで税金が発生するので嫌な思いをする人は多いことでしょう。しかし、他の所得と同様に控除制度があって退職所得の算出の際には適用されます。

具体的な計算式は下記の通りです。

 ①勤続年数が20年以下:控除額 = 40万円 × 勤続年数(80万円未満は80万円)

 ②勤続年数が20年超:控除額 = 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20)

なお、勤続年数についての注意点ですが、仮に35.5年(35年6か月)といった期間であった場合は、「36年」と小数点以下の数字を切り上げとなります。

退職所得の収入金額の収入するべき時期

退職金を受け取るのが年をまたいだ場合のことも考えておきましょう。

例えば、「前年の12月31日に退職して今年受け取った」と言った場合は、「退職した日」が退職所得の収入金額の収入すべき時期とされます。よって、前年度の退職所得の扱いとなります。

なお、この事例に該当する話としては、「冬の賞与をもらってから退職して退職金をもらう」といったことが挙げられます。「貰えるものをもらってから辞める」と言った意向を固めている会社員であれば、こういったことがあってもおかしくはないです。あんまり良いお話ではないですが問題自体があることでもないです。

だから、特に使用者の方はこれらの点に関してもぜひ覚えておきましょう。

その他

他にも、退職した理由が、「障害者になったこと」であればこれにさらに100万円加算されるといったルールもあります。この控除が存在してなかったら、金額の退職所得の金額がとんでもないことになっているでしょう。よって、こういった制度があることに対して感謝しないといけないですね。

退職所得は確定申告する必要ある?


退職金にも税金が発生する以上、確定申告はしなければならないのか疑問に思う人も多いでしょう。結論を先に述べると、「退職所得の受給に関する申告書」が提出されている場合は年末調整を会社で行ってくれることもあり不要となります。実際、たいていの職場では、退職時に総務部や経理部といった専門の部署から、退職に関する手続きを取っている最中にこの手続きを取ることも多いです。

ただし次のようなケースでは確定申告の必要がある、あるいは有利となる場合があるので、ご自身の現状と照らし合わせてみて下さい。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合

前述の通り、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は必要となります。実は、提出がない場合は、退職手当等の支払金額の20.42%が源泉徴収されることになります。もっとも、これもまた受給された本人が確定申告を行うことによって清算されます。ただし、その手続きは長時間並んだりする必要があってとても面倒なので、結局は提出しておくに越したことはないでしょう。

退職金以外の収入が少ない方

例えば、会社を年の途中で退職したと仮定します。そして、同年中に再就職した時は年末調整の対象者となって以前の会社の分も含めて再就職先で年末調整を行われます。この場合は大きな問題になることはありません。きっちりと処理されるわけですからね。しかし、結局同年中に再就職をしなかった場合は状況が変わってきます。実は、「退職して一年間特に就職しなかった」と言った事実は、結局のところは会社内でのやりとりのため税務署などが正しく現状把握していない可能性があります。

考えられるケースとしては下記の通りです。

(1)実は起業(つまり脱サラ)していた

(2)定職ではない形態(アルバイト等)で働いていた

こういった場合は、各種控除を給与所得から控除しきれていないこともあります。以上のことから、脱税といった最悪の疑いをもたれないためにも確定申告を行いきっちりとした対応を考える必要があります。

退職金の確定申告書に必要な書類

この退職金の確定申告を行う際、当然ですが必要書類の準備をしましょう。

確定申告の現場に行けば分かりますが、申告期間中は大勢の対象者の方々が朝から足を運んでいるので、PCで作業するのに辿り着くのですらとても時間がかかります。それでいて書類が揃ってなければ、きちんと申告ができないばかりか申告漏れなどの憂き目に遭う恐れがあります。それを回避するためにも、しっかりと事前に書類を準備しておきましょう。

給与や退職金の源泉徴収票


確定申告書以外に続いて、ベースになると言っても過言ではないのが、「源泉徴収票」と呼ばれる給与や退職金を支払う側(つまり使用者側)がその支払総額と源泉徴収した所得税額を記載した書面です。専用の源泉徴収票の様式もあるので、自分がどのように支払がされたのか一発で把握できるでしょう。

なお、会社に勤務する会社員はもちろんのこと、仮に個人事業主であっても会社に在籍している場合には発生します。

そして、確定申告時はその年度ごとの源泉徴収票が必要となってきます。これは仮に退職した後はもちろん、万が一にも紛失したとしても作成してもらえるものなので必ず連絡をしましょう。

生命保険料や地震保険料などの控除証明書

加入している生命保険と地震保険は、保険会社が定めた期間内に控除証明書が郵送されてくるので所得控除することができます。具体的な控除額なども交えたポイントをまとめましたので、内容を把握したうえでぜひとも申告しておきましょう。なお、万が一紛失した場合でもたいていの保険会社は再発行の手続きが行えるので、その事態に直面しても慌てないでくださいね。

(1)生命保険料控除
生命保険料控除には、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料(税制適格特約付加)の3種類ありますが、これは平成24年1月1日以降に締結した新契約内容としてのものとなり、下記の金額で控除されます。
※金額は年間の払込保険料となっています。

なお、これ以前のものについては、旧契約内容としての控除額が定められています。また新契約と旧契約の両方と契約している場合は、別な控除額の計算方法によって算出されます。

よって、保険会社から送られてくる控除証明書に記載されている、「契約年月日」については必ず確認してください。

①20,000円以下:全額

②20,000円超40,000円以下:(払込保険料 × 1/2) + 10,000円

③40,000円超80,000円以下:(払込保険料 × 1/4) + 20,000円

④80,000円超:一律40,000円

(2)地震保険料控除
地震保険料もまた、現制度と旧制度による保険料控除があり、その具体的な金額は下記の通りですのでご確認ください。また、生命保険料控除同様に「契約年月日」についても必ず確認してください。

①50,000円以下:全額

②50,000円超:50,000円

なお、旧制度である、「旧長期損害保険料」の控除額は下記の通りです。

①10,000円以下:全額

②10,000円超20,000円以下:(全額 / 2) + 5,000円

③20,000円超:15,000円

新契約と旧契約の両方と契約している場合は、それぞれの内容で算出した金額の合計額(最高50,000円)となります。

社会保険料の納付書

いわゆる社会保険料控除証明書で国民年金保険料、国民年金基金保険料などに関してはこの書面になります。まずもって必要になるので準備しましょう。

退職金の確定申告書の書き方


さて、いよいよ退職金の確定申告書の書き方に入ります。

具体的には下記の流れになります。

必要書類を準備する

前述でも取り上げた書類を一通り準備しましょう。これを揃えないと申告ができない可能性が出てきます。

確定申告書の記入

確定申告書は、国税庁による、「申告書B」と、「申告書第三表(分離課税用)」と呼ばれる様式を使用します。

それぞれの申告書を見れば分かりますが、「退職所得に関する事項(所得の生ずる場所、収入金額、退職所得控除額)」、「収入金額および所得金額の退職」といった退職所得に必要になってくる箇所があるので、会社名、退職所得控除額など必要事項を記入します。

なお、「給与所得のほかに退職所得がある場合」や前述でも取り上げた、「年の中途で退職した場合」といった状況であれば提出書類もまた異なってくることに注意して下さい。

今回記載したこと以外で詳細を知りたい場合は国税庁の下記ページをご参照してください。

詳細は国税庁HPを参照

まとめ

退職金と退職所得の切っても切れない接点、少しはお分かりいただけたかと思います。ただ、退職所得控除額といった制度などによって、納税額は以外にも決して無理ではありません。それでも、やっぱり一定の準備が求められます。あと、これは余談にはなりますが、必ず所得と呼ばれるものには一定の税金がかけられます。これは、所得税法といった専門の法律が定められているくらい世の中のセオリーとなっていることなので、他の所得に対してもそれに備えた準備をしておきましょう。そして、それを乗り越えて思い描く生活設計を形成させていきましょう。

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