相続税の計算方法について詳しく解説!

人が亡くなるとお葬式などを行って、その人の財産を家族や親族で、相続することになります。相続と聞くと、大金持ちはトラブルになる、というイメージで止まっている人はいませんか?そんな財産を相続することになった場合、相続税という税金を納めなくてはいけません。相続税は平成27年に改正され、改正前より多くの人が納税しなければならない状況になりました。そのため相続したら、相続税の計算をする必要があるのです。ここでは相続税について様々なポイントから解説していきたいと思います。

相続税とは?

相続税とは、亡くなった家族や親族の財産を受け継いだ時にかかる税金になります。ここで言う財産には、家などの不動産、銀行などに預けている預貯金、株式など、現金とお金に換算できる財産全てになります。ちなみに財産の種類ごとに、いつの時点での価値になるのか、事細かに決まっているので、相続税の計算をする時に調べるようにしましょう。相続税は、遺産の額が基礎控除額を超える場合に、その超えた部分にかかります。なお、相続税は相続で財産を受け継いだ人はもちろん、遺贈で財産を受け継いだ人も納める必要があります。

相続税の計算方法は?


相続税の掛かる相続分を「課税遺産額」と言います。この「課税遺産額」は、「課税遺産額」=「課税価格(正味の相続財産)」-「基礎控除額」で計算されます。この中の正味の相続財産とは、遺産額と相続開始3年以内の贈与財産を足した金額になります。つまり駆け込みで生前贈与した場合は、課税遺産額にみなされてしまうのです。なお、この生前贈与は、子供ではなく孫に贈与した分は、孫が相続人ではないので、3年以内でも大丈夫です。これからは「課税価格」と「基礎控除額」を下記より詳しく見ていきましょう。

課税価格の計算方法


相続税の課税価格の計算方法を説明しようと思います。計算方法は、課税価格=「本来の相続財産」+「みなし相続財産」+「相続開始前3年以内の贈与財産」+「相続時精算課税による贈与財産」-「債務」-「非課税財産」で算出されます。下記では、それぞれについて詳しく見ていきたいと思います。この中の財産の種類には、建物・土地・有価証券・銀行預金・定期預金・生命保険・死亡退職金・葬式費用・非上場株が含まれます。債務には、銀行借入金・未払い医療費・被相続人の所得税など・通夜費用・葬式費用・お寺へのお布施が含まれます。

本来の相続財産

課税価格の計算方法の中にある、本来の相続財産とは、被相続人が亡くなった日に保有している全ての財産のことです。その内容は、大まかに言うと現金や預金、土地や証券などになります。現金や預金は形があるものですが、形がないものも相続財産に入ります。例えば、他人の土地を借りていた場合の借地権・電話加入権・著作権・特許権・貸付金などになります。他にも、家具・テレビ・冷蔵庫・宝石などは、家庭用財産として含まれます。何が基準となるのかというと、お金に換算できる経済的価値があると判断されるものは、財産に含まれます。

みなし相続財産

課税価格の計算方法の中にある、みなし相続財産とは、死亡保険金と死亡退職金が代表的なもので、被相続人が生前に持っていた財産ではありませんが、相続税の対象となっている相続財産のことです。被相続人が亡くなった後、死亡保険金は保険会社からもらうものであって、被相続人が持っていた財産ではありません。しかし、死亡保険金は相続財産に含まれないというわけではありません。相続法では、被相続人が亡くなったことが原因で財産をもらったことと、相続で財産をもらったことは同じと判断して、相続財産に含まれます。

相続開始前3年以内の贈与財産

課税価格の計算方法の中の、相続開始前3年以内の贈与財産とは、被相続人が亡くなる3年前までに贈与された財産になります。亡くなる前にもらった財産は、亡くなった日には被相続人の財産ではありませんが、相続税がかかります。どうして相続税がかかるのかというと、相続税を安くしすぎないようにするためです。相続税を安くしたい場合は、生前贈与が一番有効な方法と言われています。現実は生前に相続の話をすると、被相続人の気分が悪くなって、生前贈与ができない人が多くいるそうです。詳細は下記を参照してみてください。

詳細

相続時精算課税による贈与財産

課税価格の計算方法の中の、相続時精算課税による贈与財産とは、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税のことです。これは、翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した、贈与税の申告書を提出する必要があります。ここでいう60歳以上の贈与者とは、贈与した年の1月1日の時点で満60歳以上になっている必要があります。贈与者の20歳以上というのも、贈与した年の1月1日の時点で満20歳以上となります。詳細は下記を参照してみてください。

詳細

債務

課税価格を算出する場合は、マイナスの債務を差し引くことができます。これを「債務控除」と言って、債務控除には「借金などの債務」と「葬式費用」が含まれます。借金などの債務には、相続開始の時にあった、未払いの住宅ローン・税金・被相続人の入院費用が、債務控除となります。葬式費用は債務ではありませんが、債務控除となります。ちなみに生前に被相続人が購入したお墓の未払いの代金は、債務控除とはなりません。下記で詳しく説明していきたいと思います。

債務控除:借金などの債務

債務控除の中の借金などの債務には、様々なものがあります。例えば、銀行などの金融機関からの借入金、個人からの借入金、亡くなった後に支払う所得税・住民税・固定資産税、病院の未払い医療費、亡くなった人が使用した期間の水道代・光熱費・電話代の未払い金などです。他にも賃貸不動産のテナントから預かった敷金、買掛金などの事実上の未払い金などが債務に含まれます。債務控除にならないものには、団体信用生命保険で補填される住宅ローン、墓地や仏壇などの非課税財産にかかわる未払い金、保証債務などがあります。

債務控除:葬式費用

債務控除の中の葬式費用とは、葬式をするにあたって必ず発生する費用を指します。葬式で絶対必要なものは葬式費用にあたりますが、葬式に必要ないものは、葬式費用にあたりません。この時に、税金を少なくするために支払ってもいない費用があると嘘をついても、税務署に調べられて、追徴課税を受けることになってしまうので、絶対やめましょう。なお、葬式費用を債務控除に申告する時は、領収書が必要になるので、もらうようにしてください。

非課税財産

非課税財産とは、一部「相続税をかけるのは不適当」とされるものがあり、これらには相続税は掛かりません。例えば、下記のようなものがあるので、参考にしてみてください。下記以外の非課税財産は、宗教・慈善・学術・公益を目的とした事業を行う個人が、相続や遺贈により取得した財産で、公益を目的とした事業に使われることが確実とされるものがあります。次に、地方公共団体の条例で、精神・身体に障がいがある人や、その人を扶養する人が取得する、心身障害者共済制度に従って支給される給付金を受ける権利なども、非課税財産として判断されます。

国などに寄付した財産

非課税財産に含まれるのは、国などに寄付した財産になります。これには寄付をする先に条件があります。例えば、国・地方公共団体・公益を目的にしている事業を行っている法定の法人に、相続税の申告期限までに寄付したものが対象です。具体的な団体を紹介すると、日本赤十字、ユニセフ、セーブザチルドレンなどです。寄付先のルールとしては、国や地方公共団体以外は、教育や科学の振興に貢献することが認められる団体ということが言えます。

死亡退職金の一部

次に非課税財産に含まれるのは、退職金の相続のうち「500万円×法定相続人」の金額です。民法上は死亡保険金が、受取人固有の財産と考えられていて、相続人であることに関わらず、受取人は受け取ることが可能なので、相続財産に含まれません。相続税上では、死亡退職金は「みなし相続財産」に含まれるので、500万円×法定相続人が非課税枠と判断されます。死亡退職金は企業の規模や従業員数、被相続人の仕事やついていた役職でも、違ってきますので、まずは元気なうちに自分の会社の退職給付制度を確認しておくことがおすすめです。

生命保険の一部

非課税財産に含まれるのは、生命保険の一部になります。生命保険金より出た相続のうち、「500万円×法定相続人」の金額は非課税財産とされています。生命保険も死亡退職金と同じく、「みなし相続財産」に含まれます。保険では保険料を支払っている人と、契約者が違う場合があります。例えば、妻の名義の保険料を夫の収入から支払っている場合に、夫が死亡したら、保険契約の権利は夫から妻に移動します。この移動は、相続によるものとみなされて課税対象になるので、注意が必要です。

交通事故による損害賠償金

交通事故による損害賠償金は、被害者が亡くなったことに対して支払われる損害賠償金は、相続税の対象にはなりません。遺族の所得になり、所得税の対象にはなります。しかし、所得税法上は、不測の事態の損害の補填である損害賠償金は、非課税と判断され、所得税はかかりません。結果的に相続税も所得税も両方かからないということになります。生存中に被相続人が損害賠償金を受け取ることが決まっていたが、受け取らないうちに亡くなった場合は、受け取る権利は相続財産と判断され、相続税の対象となります。

お墓・仏壇

非課税財産にはお墓や仏壇も含まれます。ちなみに相続が開始された後に、お墓や仏壇を購入した場合は、相続税の債務として控除することはできません。相続税の節税を考えているなら、生前からお墓や仏壇を購入しておくことがおすすめというわけです。ちなみにお墓の費用の平均は、全国で約100万円~200万円で、地域によって差があるものとなっています。お墓の墓石だけではなく、お墓の土地を代々使用できる永代使用料が含まれているため、かなり高額になります。生前に購入しておけば節税になるので、家族で相談してみてはいかがでしょうか。
その他非課税財産の詳細はこちらを参照(国税庁HP)

基礎控除の計算方法

「基礎控除」とは、一定金額以下である場合には相続税支払いが不要というものです。基礎控除額を計算するには、「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」という式で算出されます。例えば、法定相続人が5人の場合、3,000万円+5人×600万円=6,000万円となり、相続財産が6,000万円以下の場合は相続税を支払わなくてよいことになります。これで相続財産が少ない人は損をせずに済みますし、相続財産が多い人と比較した不公平さは軽減されます。下記では法定相続人の数の計算方法や、養子がいる場合の法定相続人の計算方法について説明します。

法定相続人の数の計算方法は?

法定相続人の数の計算をする時に、もしも相続の放棄があったとしましょう。誰かが相続の放棄をしたとしても、法定相続人の数は放棄前の数で計算となる決まりがあります。例えば法定相続人が5人で、その中の1人が相続放棄をしても、基礎控除額は3,000万円+5人×600万円=6,000万円となります。法定相続人の数の計算をする時は、相続放棄をしている人に関係なく、相続が発生した時点での人数が採用となりますので、注意してください。

もし養子がいる場合の法定相続人の計算方法は?

被相続人に養子がいる場合の、法定相続人の計算法を説明します。被相続人に実子がいて、養子がいる場合と、被相続人に実子がいなくて養子がいる場合では、法定相続人の数え方が違います。下記でその数え方を詳しく説明していきたいと思います。なお、養子には普通養子と特別養子の2種類があります。普通養子は実の親との親子関係は継続したままになり、養子は養親より年が若ければ大丈夫です。特別養子は実の親との親子関係は消滅し、養子は6歳未満に限られています。なお、特別養子縁組の養子は、養親が亡くなった場合には法定相続人になり、実の親が死亡した場合には法定相続人にはなりません。

被相続人に実子がいる場合

被相続人に実子がいる場合は、法定相続人に含めることのできる養子の数は1人までとなります。民法上は養子が何人いようと、法律上の手続きを行って血のつながりが認められている場合は、相続人となることができます。しかし、これでは相続税を納める側で操作できることになってしまうので、養子の数は決められているのです。被相続人が亡くなるまで、養子が分からなかったというケースもなくはないので、戸籍謄本を確認することは重要です。

被相続人に実子がいない場合

被相続人に実子がいない場合は、法定相続人に含めることのできる養子の数は2人までとなります。養子となった縁組の日から、このルールが適用されるので、注意して計算してみてください。ちなみに実子の定義とは、被相続人との特別養子縁組で養子になった場合、被相続人の配偶者の連れ子で、被相続人の養子となった場合、結婚前の特別養子縁組で養子になり、結婚御に被相続人の養子となった場合です。

最後に相続税を算出。相続税速算表


最後には相続税を算出してみましょう。ここで役に立つのは相続税速算表になります。基礎控除を超えた金額、相続税率、税金控除額が、一目で分かるようになっているので、かなり便利な表です。平成27年の改正で税率が改正されたのは、取得金額が2億円~3億円以下の場合は40%から45%に、取得金額が6億円超の場合は50%から55%になった点です。取得金額が多ければ多いほど、納める金額は多くなるというわけです。

実際に計算してみよう

実際に金額を具体的な数字で計算してみると、よく分かるので、きちんと順番に沿って計算してみましょう。順番としては、①課税価格(正味の相続財産)を計算し、②基礎控除額を計算し、③課税の掛かる「課税遺産額」を計算します。さらに③の価格を妻と子の法定相続分で按分、相続税速算表より、各々の相続税を算出して求めます。それでは詳しく説明して、計算してみます。

①課税価格(正味の相続財産)を計算

例えば、相続として預金で5,000万円、土地で1,000万相続したとします。被相続人の葬式に300万円の費用が掛かったとすると、課税価格=5,000万円+1,000万-300万円=5,700万円になります。葬式費用の控除には、一般的な埋葬・火葬・納骨の費用の他に、葬儀の時に使った費用で被相続人に最適と認められたもの、死体の捜索・遺体や遺骨の運搬費用などが含まれます。何か事件に巻き込まれて、死体の捜索や遺体や遺骨の運搬費用が掛かった場合も葬式費用の控除に認められるのは、遺族にとって負担が軽くなります。

②基礎控除額を計算

例えば、上記の5,700万円を相続する法定相続人が2人(妻と子2人)の場合、基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円と求められます。基礎控除額は平成27年1月1日に改正されていますが、被相続人が亡くなった日付が、改正前か改正後かによって適用される基準が変わります。申告する日が基準ではないので、亡くなった日付は重要なのです。これから改正されることがあるかもしれないので、相続税の計算をする時は、日付をチェックしてください。

③課税の掛かる「課税遺産額」を計算

①と②より計算すると、課税遺産額=5,700万円-4,800万円=900万円となります。ここで相続税が納税できない場合は、どうなるのかというと、納税の期限がすぐ来てしまう場合は、持っている不動産などを売る必要があります。不動産を売る必要がある場合は、相続する土地を相続登記で名義替えをする、不動産屋さんに売却依頼をする、買い手が付きやすい土地にする、不動産譲渡税を支払うという手順を踏みます。お金での納付ができない場合は、土地や株式、不動産などの現物で納付することができます。

③の価格を妻と子の法定相続分で按分

課税遺産額を、妻と子の法定相続分で按分します。つまり、妻=1/2の法定相続分、子=1/4の法定相続分により、妻は450万円で、子2人はそれぞれ225万円となります。法定相続分は必ず適用されるというわけではなく、遺産分割協議で意見が割れてしまった場合などに、目安として利用することができるものです。

相続税速算表より、各々の相続税を算出

相続税速算表に従って、それぞれの相続税を算出していきます。妻の相続税を算出すると、妻=450万×10%の税率-控除額なし=45万円となります。次に子の相続税を算出すると、子=225万×10%の税率-控除額なし=22.5万円となります。速算表があれば、早く算出することができます。

相続税を納める際のルール

次は相続税を納める時のルールについてです。相続が発生してから申告はいつまで、相続税のかかる財産について、それぞれの相続人の負担額を計算することが重要になります。下記では、そのルールについて詳しく説明していきたいと思います。

相続が発生してから10ヶ月以内に申告と納税を済ませる必要がある

今まで相続税の算出方法ばかり説明してきましたが、相続税には申告期限などがあります。相続税の申告期限は、被相続人の亡くなった日付の翌日から数えて、10ヶ月以内です。ちなみに納税をしなければならない期限も、申告期限と同じになります。申告書を提出して、納税するのは、被相続人が亡くなった時の住所を所轄する税務署です。納税で現金がなければ、土地などの不動産を物納するか、すぐに支払えなければ延納をすることも可能です。

相続税のかかる財産を把握しておこう

財産には相続税がかからないもの、かかるものがあります。相続税がかかる財産とは、土地では宅地・田畑・山林、土地の権利では借地権、建物では家屋や構築物、現預金では現金・預貯金・未収利息などです。有価証券では株式・投資信託・公社債など、家庭用財産ではゴルフ会員権・貴金属・書画骨董など、事業用財産では商品・機械装置、その他では貸付金・電話加入権などが、相続税がかかるものになります。

各相続人の負担額を計算しておこう

各相続人の負担する税額は、各相続人の法定相続財産×税率-控除額という、算出方法で求められます。なお、各相続人に個別の事情がある場合には、納付する相続税額が違います。例えば、子・親・代襲相続人となった孫などの一親等の血族か、配偶者以外の人が財産を取得した場合は、その人の相続税額の2割が加算されることになります。また、相続財産に加算された贈与財産に対する贈与税は、税額から控除されます。他にも配偶者は法定相続分か、1億6,000万円以下の財産を取得するのであれば、相続税はかからない決まりや、未成年者控除、障害者控除などもあるので、きちんと確認して計算してみてください。

まとめ

少し前まで、相続税という税金は、一部のお金持ちにしか関係ないものでした。しかし、相続税が平成27年1月1日に改正されてから、相続税は一般人の多くに関係するものに変わりました。ここでは、相続税の計算方法について、詳しく説明してきましたが、計算方法を分かっていただけましたか?注意しなければならない点も多く記載したので、実際に相続税を計算する時は、注意してみてください。なお、素人の判断では分からないという部分があったら、相続のプロである弁護士や司法書士などに聞いて計算をすると、より正確に相続税を計算できます。

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