成年後見人の報酬相場は?支払われる時期や報酬額の決められ方について

高齢者で悪徳商法にだまされて高額な商品を買わされた、知的障がいや精神障がいを持っていて何か生活で不利益をこうむった、などの話はよく聞かれます。高齢者や知的障がいや精神障がいを持つ方は、判断能力が十分でないことが考えられるため、そういった方々を守る制度があります。それが成年後見人制度という制度になります。成年後見人制度について、成年後見人になればいくら報酬がもらえるのかについて、細かく解説したいと思います。

成年後見人とは?


成年後見人とは、知的障がい・認知症など様々な障がいなどの理由により、適切な判断が十分にできない人が不利益を被らないように、その方を援助してくれる人のことです。成年後見人制度の基本理念は、自己決定権の尊重・残存能力の活用・ノーマライゼーションの3つになります。
この中のノーマライゼーションとは、障がいのある人も家庭や地域で、日常生活をできるような社会を作りましょうという理念です。何らかの障がいを持ち、成年後見人が選ばれても、普通にスーパーで買い物したり、レストランで食事したりすることは、本人が自由に行うことができます。

成年後見人となった人への報酬は?


成年後見人になれば、本人の財産管理や身上監護などの仕事をします。財産管理は、現金・預貯金・不動産などの管理、収入・支出の管理、有価証券などの金融商品の管理、確定申告・納税などの税務処理を行います。
身上監護は、医療に関する契約、施設への入所契約、介護に関する契約、生活・療養看護に関する契約などを行います。
なお、身上監護には介護行為は含まれません。このように成年後見人は、様々な仕事をするため、報酬が発生します。管理財産の金額によって決まる基本報酬について、色々説明したいと思います。

基本報酬

成年後見人の報酬額の相場は、大体2万円~6万円です。
この相場は、地域によって物価が違うこともあり、各地域にある家庭裁判所により決められる金額は違います。どうして家庭裁判所が報酬を決めるのかというと、成年後見人が自分で自分の仕事に対する報酬が決められないからです。法律や福祉のプロである、司法書士や弁護士などに成年後見人を依頼すると、報酬が発生しますし、成年後見人の報酬は高くないため、専門にやる人はほとんどいません。そのため成年後見人になる人は、一部の法律や福祉のプロ、被支援者の親族などが多いようです。

管理財産が1,000万円以下:報酬月額2万円

被支援者の管理財産が1,000万円以下の場合、報酬は月額2万円となります。
この報酬付与の申し立ては毎月行うことはせず、半年か1年に1回程度、家庭裁判所に申し立てを行います。報酬は必ず受け取る必要はなく、被支援者の親族などの身内がなる場合は、無報酬でも就任が可能となっています。

また、報酬を受け取る意思がない人も、申し立てをする必要はありません。司法書士や弁護士などの法律や介護のプロが、成年後見人に就任する場合は、およそ月々2万円~報酬が発生します。

管理財産が1,000万円~5,000万円:報酬月額3万円前後

被支援者の管理財産が、1,000万円~5,000万円の場合、報酬は月額3万円前後となります。
この報酬を受け取る成年後見人になれるのは、特別な資格や研修は必要なく、誰でも成年後見人にできます。ただし、未成年者・破産者・被後見人に対して訴訟を起こしている者・起こした者・また、その配偶者か直系血族はなれません。以前は親族が成年後見人に就任することが多かったですが、親族が成年後見人に就任できない場合もあります。
それは親族の成年後見人が財産を着服してしまう事件が起こったためで、各地の裁判所では被支援者の財産が1,200万円以上ある場合は、司法書士などの専門職の人を選任することがあります。

管理財産が5,000万円以上:報酬月額5万円前後

被支援者の管理財産が5,000万円以上の場合、報酬は月額5万円前後が目安となります。財産が多いと起こりやすいのが、成年後見人の着服です。最高裁判所のデータによると、平成23年~平成24年の2年で、900件以上の被害があり、被害総額は80億円にのぼります。
それを防ぐために作られたのは、平成24年に作られた後見制度支援信託という制度になります。後見制度支援信託は、被支援者の日常生活で使う分を除いた金額を、信託銀行に信託して、着服を防ぐというものです。高額な財産を管理する時には、被支援者の財産を守るために必要な制度と言えます。

管理が複雑である場合は付加報酬

管理が複雑でない場合は基本報酬となりますが、管理が複雑だった場合は成年後見人の基本報酬額の50%の範囲内で、付加報酬が支払われることもあります。

また、被後見人の不法行為の被害を原因とする、1,000万の損害賠償請求を訴訟して、勝訴判決を得た場合は管理財産額が1,000万円増加するため、約80万円~約150万円(8%~15%)の付加報酬が支払われることになります。なお、成年後見人が複数いる場合、基本報酬額と付加報酬額を割り振りしている事務権限の内容に応じて、最適な割合で分けるようになります。

報酬が支払われる時期

成年後見人の仕事に対して報酬が支払われる時期ですが、親族ではなく第三者の専門職の弁護士や司法書士などが就任した場合、役割を請け負って1年間経ってから報酬は支払われます。これは成年後見監督人(家庭裁判所による成年後見人の監督を補う期間で、家庭裁判所が選ぶ人)も同様です。成年後見人の報酬が支払われるのは、家庭裁判所の審判によって決まります。その金額が確定するまでは、報酬の支払いは行われません。

成年後見人の報酬はどのようにして決まる?

成年後見人の報酬は、どのようにして決まるのでしょうか。成年後見人の報酬は、家庭裁判所が成年後見人の提出する資料によって、金額が決まります。その資料とは、報酬付与申立事情説明書・報酬付与申立書・付加報酬を求める場合の資料などになります。ここではその資料について説明していきたいと思います。

成年後見人が報酬付与申立てを家庭裁判所にし、家庭裁判所が報酬を決める。

成年後見人の報酬は、成年後見人の提出する資料を元にして決められます。基本的には成年後見人の報酬は、本人の金融資産が多いほど多くもらえます。次に不動産売却・遺産分割協議・保険金の受領・調停や訴訟や示談などで、本人の金融資産を増やせば多くなります。

また、本人の身上監護を多く行っても成年後見人の報酬は多くなりません。親族の成年後見人より弁護士や司法書士などの第三者の成年後見人の報酬金額は多くなる傾向があります。

成年後見人の報酬付与申し立てに必要な書類は?

成年後見人の報酬付与申し立てに、必要になる書類について、説明します。

ここでは報酬付与申立事情説明書、報酬付与申立書、付加報酬を求める場合の資料について説明していきます。他には成年後見人の事務の報告に関する資料のひとつとして、後見等事務報告書・財産目録・報告対象期間部分の預貯金通帳の写し・弁護士や司法書士などの専門職の場合は収支状況報告書・その他の裏付け資料・申し立て人か本人の住民票写しか戸籍の附票写しが必要となります。

報酬付与申立事情説明書


報酬付与申立事情説明書には、報酬付与申し立て時点で管理している流動資産の金額、報酬付与申し立て期間または該当する期間中の収支、付加報酬の請求を記入します。
報酬付与申し立て時点で管理している流動資産の金額は、細かく説明すると、現預金・後見制度支援信託による信託財産・株式や投資信託などの金融資産を、1万円未満は切り上げで記入していきます。酬付与申し立て期間または該当する期間中の収支の欄は、年月日を記入して、収支についての黒字・赤字を記入します。
付加報酬の請求の欄は、付加報酬を求めるかどうかをチェックします。なお、報酬付与申立事情説明書は、裁判所のホームページからダウンロードできます。

報酬付与申立書

報酬付与申立書には、収入印紙800円・予納郵便切手82円が必要になります。他には申し立て人や本人の住所・氏名・電話番号、押印、添付書類について記入します。添付書類の種類は、報酬付与申立事情説明書・後見等(監督)事務報告書・財産目録・預貯金通帳の写し等・後見登記事項に変更がある場合は住民票写し・戸籍謄本などがあります。該当する添付書類がある時に、こちらにチェックを入れて提出します。

付加報酬を求める場合の資料

弁護士や司法書士でない人が、付加報酬を求める場合の資料を作成することは、中々難しいものがあります。付加報酬を求める場合の資料は、具体的に書くフォーマットは決まっておらず、成年後見人に就任して苦労したこと、財産を確保するために行ったことなどを、フリーフォーマットで書くことが多いようです。例えば、本人の娘が成年後見人に就任したケースで言うと、本人が認知症で預貯金通帳を全て捨ててしまった時は、銀行口座を探して、口座統合したりすることもあります。いくら家族と言っても、銀行口座を探したり、口座統合したりすることは簡単にはできません。しかし、成年後見人に就任していれば、こういったケースでも対応することができます。本人が正常な判断ができないために様々なトラブルが起きやすくなるので、その大変なトラブルを、付加報酬を求める場合の資料として、書き出して提出してみてください。

まとめ

現代は超高齢化社会を迎え、自分の判断が正常にできずに、様々な困りごとに直面することがあります。また、知的障がいや、精神障がいがある方で、正常な判断ができない状態の場合、その人にとって不利益になるトラブルも発生します。そんな損をさせないために誕生した成年後見人の制度について、詳しく説明してみました。親族で心配な人がいれば、成年後見人の制度を利用して、守ることをしてみてはいかがでしょうか。

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